サイトアイコン IT NEWS

中古スマホ購入の安心感アップ!総務省、ネットワーク利用制限を禁止へ

中古スマホを購入した際、前の所有者が端末の分割代金を支払っていない場合に通信が利用できなくなる「ネットワーク利用制限」を禁止する方針を総務省の有識者会議が取りまとめました。中古端末を購入するハードルが下がる効果が期待できます。また、キャリアの郵送下取りの査定結果に不満でもキャンセルできない問題の解消や、5Gのミリ波対応端末の値引き制限緩和についても案が示されています。

実効性の薄れた「ネットワーク利用制限」

総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」(以下「WG」)は、4月24日の会合で、中古端末を含む端末市場のさらなる活性化のための対策について論点をまとめました。

スマホの販売価格は上昇を続けている中、手頃な価格で購入できる中古スマホのニーズが高まっています。しかし、障壁となるのが「ネットワーク利用制限」の問題です。

中古スマホを購入した後、前の所有者がキャリアから購入した分割払いの端末代金を支払わなかった場合、「ネットワーク制限」(いわゆる「赤ロム」)として、同じキャリアのネットワークに接続できなくなります。

しかし、接続できないのは端末を販売したキャリアのみで、他キャリアや海外では利用できること、SIMロックが禁止された現在はSIMロック端末の販売がほぼゼロであり、実効性が薄れていると指摘されていました。

2019年の電気通信事業法改正により、端末販売と通信契約は完全分離されているにもかかわらず、端末代金の債務不履行によって通信サービスに制限を設けるのは制度の趣旨に合致していない、ともいえます。

また、中古端末の購入者が正しく料金を支払っていても、前の購入者の契約不履行により突然通信が利用できなくなる不利益が大きく、消費者が中古スマホ購入に抵抗を感じる一因となっています。

ネットワーク利用制限を原則禁止に

そこでWGでは、ネットワーク利用制限は原則として禁止し、債務不履行の端末情報はキャリア間で共有するなどの対策を求める方針を示しています。

また、楽天モバイルは端末の販売方法をクレジットカードに限定して与信管理していることも引き合いに、端末販売時の適正な審査を行うことなども求めています。

ただし、盗難や不正契約などの犯罪を抑止するため、端末購入から4カ月間を超えない範囲で債務不履行の端末にネットワーク制限を科すことは許容する方針です。

ネットワーク利用制限の原則禁止により、中古スマホを安心して購入しやすくなる効果が期待でき、現在は販売台数のうち7.8%ほどの中古端末比率が向上することが見込めそうです。

キャリアの郵送下取り、査定に不満ならキャンセル可能に

WGでは、キャリアが実施している端末の下取りサービスのキャンセルについても取り上げています。

キャリアの下取りサービスを利用する際、店頭では査定結果に納得できない場合は下取りをキャンセルできる一方、郵送下取りの場合は査定結果が不満でもキャンセルできない規約となっています。

WGは、各キャリアは郵送でも査定結果に不満ならキャンセル可能にするべき、と指摘しています。

MNO4社は、いずれも1年以内には郵送下取りでもキャンセル可能にする方針を示しています(NTTドコモ:2024年4月、KDDI:2024年秋頃まで、ソフトバンク:2024年度中できるだけ早く、楽天モバイル:1年以内)

ミリ波対応スマホの値引き制限緩和も

WGは、5Gの高速大容量、低遅延という特性の真価を発揮できるミリ波対応端末の普及を促進するため、ミリ波対応端末の値引き制限を引き上げる案を示しています。

引き上げ幅は、ミリ波対応端末と非対応端末の販売価格差が約17,000円だったのを踏まえ、ミリ波対応端末の値引き上限を15,000円引き上げることを提案しています。

なお、iPhoneは2020年発売のiPhone12シリーズ以降で5Gに対応していますが、ミリ波に対応しているのはアメリカとプエルトリコで販売されているモデルのみで、日本で販売されているモデルは、最新のiPhone15シリーズでもミリ波非対応が続いています。

2024年秋に発売されるであろうiPhone16シリーズでは、日本で販売されるモデルもミリ波に対応することを期待したいところです。

Source: 総務省

Photo: iPhone Mania

モバイルバージョンを終了