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360度AIビジョンの全自動芝刈りロボット「TRON」、クラファンで約2億円調達

アメリカの映画やドラマでは、青々と芝生が広がる庭とプール付きの家をよく見かける。羨ましい反面、「この立派な芝の庭を維持するのはさぞかし大変だろうな」と思う人も少なくないのでは。

実際、広大な芝生の管理は楽なことではないようだ。子供が小遣い稼ぎに近所の庭の芝刈りをすることも多い。近年では芝刈り代行サブスクサービスまであるほど。2024年2月のSkyQuest報告によると世界の芝刈り機市場は2022年の約312億万米ドルから6%のCAGRで2030年までに約486億万米ドルに成長するとの予測だ。

Image Credits:Airseekers

最新技術を活用して日々の芝生の手入れを効率化するのが、米ラスベガス発のスタートアップAirseekersだ。同社が開発した全自動芝刈りロボット「TRON」は、AIナビゲーションシステムで障害物を回避し、完全自動で芝刈りを行う。

Kickstarterで実施中のクラウドファンディングプロジェクトでは約20万円からリターン購入が可能で、“世界のどこへでも”出荷するという。2024年4月下旬時点で800人超の支援者から2億円近い支援が集まっており、残り1か月でどこまで伸びるか注目だ。

AI搭載全自動芝刈りロボット


TRONは複雑なセットアップや配線は不要。直感的な操作ができる設計で、電源のオンオフから芝刈りの開始など、誰でも簡単に扱える。バッテリー残量が少なくなると自動的に充電ステーションに戻る(雨を検知した場合も同様)ほか、バッテリーを取り外して外部充電器を使う充電方法もある。大容量バッテリーは1回の充電で3時間の使用が可能で、充電時間は120分。

RGBカメラ×3、デュアルステレオビジョンカメラ、リアカメラの合計6台のカメラに加え、ToFセンサを搭載。これによりAIビジョンシステムが詳細な360度のビューを提供する。6台のカメラがとらえた膨大な視覚情報データを分析、かつVisual SLAM(自己位置推定)技術および芝刈りに特化したAIアルゴリズムを用いることで、RTKステーションやシグナルポールなしでも正確で安定したポジショニングが実現する。

Image Credits:Kickstarter

正確に位置情報を取得して、周囲を360度認識したうえで芝生全域をカバー。最適な作業経路を計画、障害物を巧みに回避しながら芝刈りを行う。ユーザーは芝生の形状に合わせて経路や角度、パターンを設定するだけで、あとはTRONに任せればよい。静止していようが動いていようが、障害物をリアルタイムで認識して回避する。

Image Credits:Kickstarter

TRONによる芝刈りは、無料アプリで管理・微調整も可能だ。アプリを使えば仮想境界線の作成や立入禁止ゾーンの指定、複数ゾーン間の経路設定なども簡単。樹木の下や狭いフェンス沿いなど、電波が届きづらい場所でも優れた性能を発揮し、すみずみまで手入れしてくれる。

4G、Wi-Fi、Bluetoothなどとの接続も可能で、どこにいてもリモート管理できる。遠隔操作に加えて監視モードでは屋外を常時把握できるので、リアルタイムで映像確認、過去の映像再生など、敷地内のセキュリティ対策にも使えるのでは。ちなみに、カメラは6台あるので1つが故障・破損しても、他のカメラがスムーズがスムーズに役目を引き継ぐ。

“マルチング”でゴミ捨ての手間もなし、カーペットのような芝生に

また、TRONは刈った後の草や葉を細断し、その刈りくずを地面に戻して芝生を整備してくれる「マルチング芝刈り機」である。

X型のボルテックスチェンバーが芝を吸い上げ刈り取る。鋭利な二枚刃がすばやく刈り込み、マルチングチェンバーが刈りくずを均一に芝生に敷き詰めていく。バキュームカットとマルチングを同時に行うので、ゴミ捨ての手間も省けるうえ、健康的で見た目の良いカーペットのような芝生が広がるという。

Image Credits:Kickstarter

TRONで刈れば芝の長さが均一に整い、端が不ぞろいになることもない。芝生の長さや太さ、乾燥・湿り具合にも対応。調節可能なカッティングチェンバーにより、1.2インチ(約3センチ)から3.5インチ(約9センチ)まで好みの長さに刈り込める。芝生の面積やユーザーの好みに合わせて、カッティングディスクの交換オプションも。

パワフルな後輪駆動と大径の前輪により起伏の多い地面でも走破可能、勾配65度までの坂道を上ることが可能だ。前輪は全方位に動くので軽快かつターンも得意。どこかで動けなくなっても、セルフレスキューシステムにより自動で後退や旋回して速やかな脱出を試みる。

パフォーマンスと機能はともに定期的にアップグレードされるとのこと。特に、庭の特徴をAIが学習するにともない、アップデートの度に精度が磨かれていく。

各分野の専門家集団:米国発Airseekers社が開発

同製品を開発したのは、米ラスベガスを拠点にするスタートアップAirseekers。先進的なスマートデバイスを創造する同社では、ロボット技術のパイオニアを自負するグローバルな専門家チームが、人々の暮らしをより豊かにするべく製品開発に情熱を注いでいる。

Image Credits:Kickstarter

2022年に設立された同社は、AIを活用した屋外用スマートロボットの開発に特化した企業。50人を超えるチームはロボット芝刈り機立ち上げの経験のある創業者を中心に、香港科技大学やオックスフォード大学、北京大学など名門代の卒業生から成る。それぞれ自律走行やロボット工学、農業機械、ドローン、電動ガーデンツールといった分野の専門知識を有するプロ集団だ。

Airseekersでは、B2BとB2Cの両分野をサポートするべく、現地に詳しいチームを擁し、米国内に複数の現地拠点を構えている。持続的なブランド開発に専念するべく、現地のチャネルと顧客は最終的に子会社が対応することになるとも。これまでにベンチャーキャピタル投資家を含め、3回の資金調達に成功している。

最先端技術によって屋外のメンテナンスをより簡単かつ安全に、より効率的にするべく、革命を起こすことを使命に掲げるAirseekers。卓越した技術で設計されたロボット芝刈り機TRONは、「比類なき知能と効率性で芝生のメンテナンスを一変させる」としている。

引用元:
Kickstarter
Airseekers

(文・根岸志乃)

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