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売れてるのが納得!キャンプ料理好きならAS2OV「ポータブルスティックバーナー」を手にして損なし

【アウトドア銘品図鑑】

アウトドアではどうやって“火”を得ていますか?

マッチは湿気に弱いし、ライターは寒い日に使えないことがあるし、CB缶を装着するトーチバーナーはパワフルだけどでっかい。

大きさや火力、信頼性のバランスがよく、長らく支持されてきたのが使い捨てライターをトーチに変える「ポケトーチ」や充填型「スティックターボ(現在はスティックターボⅡ)」、コンパクトな充填型「スライドガストーチ」。90年代から2010年代に登場したロングセラーです。

燃焼系アイテムの新規参入はないと思っていましたが、2021年、突如として現れたのがAS2OV(アッソブ)「ポータブルスティックバーナー」(3850円)。マットなブラックのグリップと、直線的なデザインがとにかくスマート。

おまけにカラバリも用意してあるとあって瞬く間に入手困難な人気モデルの座に立ったのはご存じの通り。

でも、ライバルをしのぐ勢いでヒットしたのは、スマートなデザインだけが理由ではありません。

実際に購入して、その理由がわかりました。

 

■充填するのはライター用ガス

「ポータブルスティックバーナー」に充填するのはライター用ガスのみ。

カセットガス対応だったらキャンプ場ですぐ充填できるのに…と残念に思うかもしませんが、ライター用ガスのほうが低温に強い配合で不純物も少ないとされています。つまり、ライター用ガスを常時使用することで、比較的気温が低い時期でもより安定して使えるというわけ。

▲本体の底に充填用の穴がある

充填は簡単です。本体を逆さまに立て、そこにライター用ガスボンベを垂直に差して押しこむのみ。

どれだけガスが入っているか確認できないので、少しずつ数回にわけて充填します。満タンになると脇からガスが漏れるので、風通しのよい場所で充填しましょう。

▲この小さなポッチがセーフティボタン。火口を上にした場合、向かって右にスライドさせるとロック

充填時、安全のためにもセーフティボタンをロックしておくことも忘れずに。

 

■重量は約140gでガスを3gほど充填できた

本体は直線的なデザインですが、ダイヤル部分と点火ボタンはちょっと出っぱっています。

▲サイズはφ2.8(グリップ)×全長20.5cm。ダイヤル部で幅は約3cm、ボタン部分になると幅は約3.5cm(いずれも実測)

グリップは梨地というのでしょうか、わずかにザラッとした肌触りで濡れた手でも滑りにくくなっています。

重量は充填前に140g(実測)、充填後は143.3g(実測)。決して超軽量ではありませんが、適度な重みがあるからこそブレることなく狙いを定められます。

▲点火ボタンを上向きにスライドすれば点火

では点火してみましょう。

セーフティボタンを解除したら、火口を対象物に向けて点火ボタンをスライド。たったこれだけでボーッという燃焼音とともに青い炎が噴出します。

▲火力調節ダイヤル

もちろん火力調節もOK。

無段階で、火口から15cmほど伸びるパワフルな炎から徐々に弱めると、燃焼音がしない2cmくらいの極弱火まで自在に生みだせます。

点火ボタンを押し続けないと炎が出ないため、片手で操作する場合は親指でボタンを押しつつ、人差し指で火力調節ダイヤルを回します。ダイヤルが軽いのはこのためなのかも。

点火ボタンをロックできればもっと使いやすくなりそうですが、「ポータブルスティックバーナー」の連続使用時間は10秒で、それ以上点火し続けると破損の危険があるそう。

これはライバルも同様で、ロックなしなのは誤作動やうっかり長時間点火しちゃうのを防ぐ点で妥当と言えます。

▲炎の温度は1300℃

炎の温度もライバルたちと同等ですが、圧倒的に「ポータブルスティックバーナー」のほうが大きさな炎を作れる! 結構感動です。

それもそのはず、火口の大きさが違う!

▲火口はでっかくφ2cm

「スティックターボⅡ」の火口はφ1.6cm、「スライドガストーチ」はφ1.4cm。
一方「ポータブルスティックバーナー」の火口はカセットボンベを装着するトーチバーナー並みなんです。

バーナーや着火剤への点火だけなら火打ち石の火花でも役割を果たすわけで小さな炎でもいいんですが、火口の直径が大きいとより広範囲に熱が届きます。

料理に散らしたチーズを溶かしたい、皮目を軽く焦がして風味を際立たせたいなんてときは「ポータブルスティックバーナー」が有利! それに焚き火だって、炎が長いと遠くから狙えます。組んだ薪の奥のほうにある着火剤に向けても余裕で届くので助かるシーンが増えるんです。

落とすことなく持ち運べる純正オプション「バリスティックバーナーケース」(5500円)が登場したことだし、いろんなところに連れ出したくなりますよ。

*  *  *

ライバル同様、寒い時期や標高が高い場所では点火しづらいし、衝撃による破損点火の不具合、埃っぽい場所での詰まりといったトラブルは0ではありません。

けれどもこの重量で圧倒的なパワーを実現したのはあっぱれだし、インドアでもアウトドアでも使い勝手がいい今どき仕様は心地いい! 価格もいい感じで、思わず手がのびるプロダクトに仕上がっています。

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>> [連載]アウトドア銘品図鑑

<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X

 

 

 

 

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