ガーナのスタートアップKofaが展開するのは、あらゆる用途の動力に転用できるバッテリーのシェアサービスと、その充電管理ステーションである。バイクから電動工具まで、安価なエネルギーを市民に提供することをミッションにしている。
Kofaのバッテリーが電動工具や家電の電源に
まずは、KofaのInstagramアカウントで公開されている以下の動画をご覧いただきたい。
ヘルメットを被った作業員が、木の板を加工している。屋外で作業しているようだが、電動工具の電力はどこから供給しているのだろうか?
正解は、Kofaのバッテリーである。充電ステーションからバッテリーを取り出し、コードをつないで工具を動かす。バッテリーの電力がなくなったら、充電ステーションに戻って交換すればいい。もちろん電動工具に限らず、eバイク、照明や扇風機・冷蔵庫・テレビなどの家電などにも転用できる。
先進諸国に比べて電力供給が安定しているとは言いがたいガーナでは、エネルギーバンクの役割を果たす大型バッテリーは必需品。停電が発生した際のバックアップ電力としても活躍する。
中国eバイクメーカーTAILGと提携
そんなKofaにとって最大のマイルストーンとなったのは、2023年10月に発表された中国eバイクメーカーTAILGとの提携合意であろう。
この提携でTAILGはバッテリー交換式eバイク「Jidi」を開発。使用するバッテリーは、当然ながらKofaの製品だ。Kofaのサービス試験導入は2022年開始であるから、この提携は同社の急成長ぶりを証明するものと言える。TAILGとの提携により、2030年までにKofaバッテリー搭載のJidiを20万台配備およびアフリカ大陸全土で5000ヵ所の交換ステーション建設を目指すとしている。
アフリカ全土での展開目指すKofa電力ネットワーク
2024年1月には次世代Kore 2 Swap&Goネットワークのローンチを発表。エッジAIでモニタリングすることによって、全バッテリーステーションが24時間常に稼働できる。常時データを処理・アップロードすることでユーザー体験を最適化するという。
各ステーションの容量とバッテリー充電レベルについてのライブデータをリアルタイムで把握、バッテリーが残り少なくなったユーザーは、フル充電されたバッテリーのあるステーションに誘導される。インターネットインフラが整っていない地域でも自律的なバッテリー管理ができる仕組みを確立させた。都市部のみならず、農村部にもリーチできるのがKofaの強みだ。2024年のうちにアフリカ全土の複数都市に80ヵ所のステーション、6000個のバッテリーを追加で設置する予定だ。これによりバッテリー交換能力は月10万件に達する見込みで、上述のeバイクJidiだけでも年間2160トンのCO2削減効果が期待されている。
さらに、翌2月にはケニアの自動車販売企業Autopax Kenyaと提携を交わした。ケニアのメディアKBCの記事に詳しいが、ケニア政府は2030年までに電動モビリティ分野への100%移行を目標に掲げている。それを達成するため、Kofaに助力を求めた形だ。 今後、アフリカ各国でこのような「エネルギー革命」が発生するだろう。同時に、Kofaは更なる躍進を遂げる可能性がある。一時も目の離せないスタートアップだ。(文・澤田 真一)
- Original:https://techable.jp/archives/234017
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:澤田真一