近年、UberEatsをはじめとする「オンライン出前サービス」が普及し、自宅にいながらレストランのメニューを味わえるようになった。
一方で、飲食店ではオンライン出前サービスにより業務がむしろ煩雑になっているきらいがある。店に足を運ぶ客とオンラインで注文した客の両方に対応しなければならず、オーダー管理や売上管理もそれぞれ別個だ。それでは、それらを一元化できるPOSシステムがあればどうだろうか?
インドネシアでサービスを展開するRunchiseが提供するのは、来店客のオーダーとオンラインのオーダーをまとめて管理できるPOSシステムだ。オンライン出前サービスで増えた「手間」
インドネシアではGoFoodやGrabFoodなど、オンライン出前サービスが市民生活に浸透している。
これはCOVID-19のパンデミックがきっかけというわけではなく、それ以前からスマホで料理を注文する行動は常識として定着していた。飲食店としても、バイクタクシー配車サービスに出前業務を1回ごとに委託できる仕組みのため、非常に手軽だ。
しかし、前述の通り「来店客のオーダー」とは別に「オンラインでのオーダー」を管理する手間も増えたことは事実である。それぞれの管理のために複数のタブレットを用意すれば、経営の合理化どころか煩雑化に向かってしまう。これらをひとつのタブレット、ひとつのアプリで表示する必要がある。
RunchiseのPOSアプリは売上管理はもちろん、GoFood、GrabFood、ShopeeFoodのインドネシア3大出前サービスと連携が可能。オーダーやそれに付随する売上を常時モニタリングする。これにより、オンラインオーダーを店側が見逃してしまう危険性を減らすことができる。家族経営の飲食店のチェーン展開
無論、Runchiseは来店客の管理もこなせる。アプリに表示される店内の席の数や位置をカスタマイズできる機能で、あらゆる店舗のオーダー管理に対応できる。また、複数のチェーン店の売上・オーダーも一元管理できる。
インドネシアでは大企業経営のフランチャイズ店のみならず、家族経営のレストランも「1号店は兄夫婦が、2号店は弟夫婦が経営する」といった具合のチェーン展開をすることもある。UMKM(中小零細事業者)がチェーン店を展開しているということは、インドネシアでは珍しくないのだ。地方都市に由来するローカル料理店は、地元出身の大学生や出稼ぎ労働者の要望に応える形でジャカルタやスラバヤなどの大都市に進出している場合もある(そうした経緯でジャカルタへ初進出を果たしたブランドも存在する)。そのような飲食店にとって、Runchiseはちょうど良い丈のアプリだろう。
むしろ、Runchiseの強みはまさにこの部分かもしれない。
Kontan.co.idが2022年10月に配信した記事によると、この時点でのRunchiseはジャワ島に拠点を持つ約20の飲食店ブランドと契約しているのみだった。だが、それらのブランドの店舗数はインドネシア全土に数百とある。つまり、ひとつのブランドと契約すればRunchiseはその傘下の複数店舗に浸透できるのだ。
日本からも出資が舞い込む
そんなRunchiseは、2024年5月にEast Ventures と Genesia Venturesから100万ドルの追加出資を得た。
それよりも前の投資ラウンドではあるが、実は日本のベンチャーキャピタルのジェネシア・ベンチャーズもRunchiseに出資している。インドネシア国外からも大きな期待がかけられていることが窺える。
2億7,000万の人口を抱えるインドネシアの「食」にまつわる産業は、まさに有望分野と言えよう。今後もRunchiseに追随する飲食店向けPOSシステムが、続々と登場するかもしれない。
参考・引用元:
Runchise
Kontan.co.id
East Ventures
PR TIMES
(文・澤田 真一)
- Original:https://techable.jp/archives/234067
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:澤田真一