5月15日にソニーがXperiaの最新フラッグシップ「Xperia 1 VI(エクスペリア・ワン・マークシックス)」と「Xperia 10 VI(エクスペリア・テン・マークシックス)」を発表しました。Xperia 1 VIは6月上旬以降、Xperia 10 VIは7月上旬以降に発売されます。
「&GP」は発売に先駆けてXperia 1 VIを試用させていただき、5月17日にメディア向けに開催された体験会にも参加してきました。率直な感想を交えて、新モデルの特徴を紹介します。
■象徴だった4Kシネマワイドディスプレイを変更した理由は?
フラッグシップのXperia 1 VIは、前モデルの「Xperia 1 V」から大きな変更点がふたつあります。まずはディスプレイ。Xperia 1シリーズの従来モデルは画面アスペクト比が21:9の4Kディスプレイを搭載していましたが、Xperia 1 VIでは19.5:9に変更。解像度もハイエンドスマホとして一般的なFHD+に変更されました。ソニーによると、ユーザーからの要望に応えての変更とのこと。
従来のディスプレイは「シネマワイドディスプレイ」と呼び、横向きで映画を観るには向いていましたが、スマホ向けの多様なコンテンツに適しているとは言えませんでした。4Kコンテンツも少なく、実際にはFHDで十分だったのです。また、電池持ちも向上します。ユーザー目線ではメリットのある変更と捉えていいでしょう。
なお、前モデルから50%明るくなり、屋外での視認性を向上させる「サンライトビジョン」という新しい技術も追加されています。
■16mm(0.7倍)から170mm(7.1倍)までの幅広い焦点距離をカバー
もうひとつの大きな変更点はカメラ。超広角+広角+望遠という構成は前モデルと同じですが、前モデルでは85-125mm(35mm換算)の光学ズームが可能だった望遠カメラの焦点距離が85-170mmに拡大。なお、広角カメラ(24mm)は通常は4つの画素をひとつに結合させて撮影し、2倍ズームではその結合を解除する仕組みによって、48mmでも光学2倍相当の画質で撮影できるようになっています。
カメラアプリも変わりました。前モデルでは写真は「Photography Pro」、動画は「Videography Pro」というアプリで撮影し、映画のような動画が撮れる「Cinematography Pro」というアプリもプリインストールされていました。
Xperia 1 VIでは、これら3つのアプリを新しい「カメラ」アプリに統合。初めてXperiaを使う場合にもわかりやすい操作性になり、「Pro」モードを選択することで「Videography Pro」と同じように凝った設定も行える趣向です。なお、発売時点では「Videography Pro」のような動画のマニュアル撮影モードがありませんが、今後のアップデートで「Pro Video」モードが追加されるそうです。
■本格的なマクロ撮影に挑戦できる
カメラの進化によって実現した新機能が「テレマクロ」。望遠カメラでマクロ撮影ができる機能です。最短撮影距離は4cmで、数十cm離れた場所からの撮影可能。最大約2倍で撮影でき、ナチュラルなぼけ感も演出できます。
筆者が実際に撮ってみると、マニュアルフォーカスなので、通常の撮影よりは難しく、手ブレにも注意する必要を感じました。ピントが合っていることを確認できるピーキングを表示できるので、それを頼りに、Xperiaを持つ手を安定させて撮るとよさそう。いままでのスマホカメラのマクロ撮影とは全く異なる、本格的な “作品撮り” を楽しめること請け合いです。
広角カメラは、前モデルと同じく1/1.35型の「Exmor T for mobile」を採用。2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサーで、高感度・低ノイズで撮れることが特徴。夜景撮影や、暗い場所での人物撮影でも力を発揮します。
従来から搭載されているAIによる被写体認識に「AI姿勢推定」を追加。動く人物を撮影する際に、人物が後ろ向きになったり、木陰に隠れりしても、ピントが追尾して撮影できるように進化しています。
■スピーカー音質や基本性能も着実に進化
左右から均等に出力される「フルステージステレオスピーカー」は、新しいスピーカーユニットの搭載によって低音域の音圧レベルが向上。体験会で前モデルと聴き比べて、よりクリアで厚みが感じられる音質になったことを確認できました。
CPUはSnapdragon 8 Gen 3。メモリ(RAM+ROM)は12GB+256GB、12GB+512GB、16GB+512GBが用意されます。バッテリー容量は5000mAh。前モデルと同じ容量ですが、動画の再生時間は前モデル(17時間)の2倍以上の36時間以上で、Xperia 1シリーズで最長の電池持ちを実現しています。
Xperia 1 VIはドコモ、au、ソフトバンクが取り扱い、ソニー直販のSIMフリーモデルも発売されます。それぞれの仕様、カラー、発売日は下記の通り。SIMフリーモデルは予定価格も発表されています。
【キャリア向けモデル】
12GB+256GB/ブラック、プラチナシルバー/6月上旬以降発売
【SIMフリーモデル】
12GB+256GB/ブラック、カーキグリーン、プラチナシルバー、スカーレット/6月21日発売/19万円前後
12GB+512GB/ブラック、カーキグリーン、プラチナシルバー、スカーレット/6月21日発売/20万5000円前後
16GB+512GB/ブラック、カーキグリーン/8月23日/21万9000円前後
■進化は小幅ながら、完成度をさらに極めた「Xperia 10 VI」
ミッドレンジのXperia 10 Vは、前モデルの「Xperia 10 V」と同じ約6.1インチのディスプレイを搭載。上位モデルのXperia 1 VIの画面アスペクト比は変更されましたが、Xperia 10 VIは前モデルの21:9の縦に長いディスプレイを継承。ボディ幅が約68mmで、片手で操作しやすいのも利点。
約164gのコンパクトなボディに5000mAhの大容量バッテリーを搭載し、標準的な使い方で2日以上の電池持ちを見込めます。
大きな変更点はカメラ。前モデルは超広角+広角+望遠の3眼でしたが、超広角+広角の2眼に変更。ただし、約4800万画素の広角カメラで、約1200万画素で捉えた範囲を切り取る形で光学2倍相当の画質でも撮影できるようになっています。
暗い場所で自撮りをする際に自動でフラッシュが点灯する機能や、好きな色味で撮影できる「ルック」などの新機能も追加。撮影した写真や動画を使って、簡単にショートムービーを作成できる「Video Creator」 もプリインストールされています。
音が左右均等に手前に広がるフロントスピーカーを搭載していることも魅力。前モデルから低音域、高音域の両方の音圧が向上。音量がアップし、よりクリアな音質で再生されるようになっています。
CPUはSnapdragon 6 Gen 1、RAMは6GB、ROMは128GBという構成。ミッドレンジの王道とも言えるスペックで、多くのユーザーは “これで十分” と思うこと請け合い。
カラバリはブルー、ブラック、ホワイトの3色。ドコモ、au、UQ mobile、ソフトバンクが取り扱い、SIMフリーモデルも発売予定。SIMフリーモデルの価格は7万円前後と予告されています。
>> ソニー「Xperia」
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
【関連記事】
◆AI機能が進化した「Google Pixel 8a」はやっぱりお買い得!?「Pixel 8」との違いをチェック
◆もはやカメラ(スマホ機能付き)! ライカ印の「Xiaomi 14 Ultra」でいろいろ撮ってみた!
◆新デザインで世界に挑戦!シャープがスマートフォンAQUOSの最新モデルを発表
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/603632/
- Source:&GP
- Author:&GP