巻き尺(メジャー)や定規が手元になくても、スマホの計測アプリで物のサイズを測れるようになった昨今。従来のアナログ計測ツールより正確で効率的な計測・測定を実現するデジタル測定機器全般の市場が成長中だ。
アナログ計測がデジタル化によって正確かつ効率的に
メジャーや定規のように物のサイズを測るデバイスのほか、コロナ禍で一気に普及した非接触型の体温計もデジタル計測器の一つ。
また、日本でも電気メーターやガスメーターのスマート化がほぼ完了し、使用量のリアルタイム計測と通信機能により検針・保安業務の省人化・効率化が実現している。
導入のハードルもさほど高くなく、ASIOTの「A Smart」などのAIoT技術を活用したメーター自動検針サービスは、アナログメーターに後付けするだけでデジタル化が完了。既存メーターの交換や工事が不要という利点がある。
デジタル庁は今年1~2月に「アナログな測定・分析をデジタル化する製品やサービスの情報」を募集。アナログ規制の見直しに活用可能性がある製品・サービスに関する情報を集め、技術カタログにまとめるとしていた。第5弾となったこの時の公募では、水質測定器やガス濃度計のほかAI活用予兆検知システムなどを対象としたもの。
クラファンサイトではREEKONとHOZOが人気
簡単に使えて持ち運び可能なワイヤレスポータブル計測器の需要増も市場拡大の一因だ。クラウドファンディングサイトでもアナログ計測器をデジタル化した製品のプロジェクトが多くの支援を集めている。
たとえば2018年に海外サイトで成功を収めた「Smart Scale Ruler」(Smart Scale社)は、同社初となる日本でのクラファンプロジェクトをMakuakeにて先月7月22日から実施中だ。
Image Credits:Smart Scale
REEKONは9月に新プロジェクトローンチ予定
ボストンを拠点とするREEKON Toolsのデジタル計測器は、プロの大工が考案・MITのエンジニアによって開発されたプロ仕様の工具(ハードウェア)だ。
同社のクラファンプロジェクトは、2万5175%や1万2750%といった異様な目標達成率が目を引く(目標金額1万ドルが控えめすぎるのかも)が、支援者数も獲得金額も桁違い。2020年の「M1 Caliber」プロジェクトでは1万367人の支援者からおよそ1億9000万円を、2022年には「T1 Tomahawk」デジタルテープメジャーが1万1274人の支援者から約3億7000万円を獲得した。
Image Credits:Kickstarter
Image Credits:Kickstarter
HOZOのコンパクトなデジタルメジャーはクリエイター向け
REEKONのデジタル工具が直線や平面を計測するのに対し、HOZO Designのデジタルメジャーは曲線や曲面も計測できるコンパクトさが特徴。主に製造業向けの製品が多いデジタル測定器の分野で、クリエイターや一般消費者の「日常的な測定作業」の精度と効率を改善している。
2018年の「Rollova」を初め2021年の「Meazor」や2022年の「Meazor 3D」など、コロコロ転がして距離を計測するデジタルメジャー、レーザーメジャーのプロジェクトで4桁の目標金額達成度を実現してきた。
Image Credits:Kickstarter
デスク上での専門的・包括的な計測を目的とした「NeoRuler」が“転がすタイプ”ではない「定規」であるのに対し、最新モデルの「NeoRulerGO」はMeazorに似たコンパクトデザイン。外出先でのスマート測定作業で活躍する。
Image Credits:HOZO Design
HOZO Designは2018年にニューヨークで誕生したスタートアップ。翌2019年には研究開発センターを香港に開設した。「デザイン+インテリジェンス」を理念とする同社は、世界中に4万人以上のアクティブユーザーを擁し、65以上の国と地域に製品を届けているという。
参照:
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/237309
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃