現実空間とデジタル空間を融合させる技術「空間コンピューティング」の発展が著しい近年。Apple Vision Proをはじめ、AR/VRに対応した複合(MR)デバイスがエンターテインメント、教育、医療など多様な分野で活用されている。
しかし、市販のAR/VRデバイスの画面では、ユーザーが空間内に表示された物体(オブジェクト)を手の届く範囲に近づけようとすると、輻輳調節競合(VAC)が発生することがよくあるという。
このVACとは、現在のAR/VRシステムでよく見られる問題で、空間内で表現された奥行と物理的な距離との食い違いによって脳が混乱し、吐き気・眼精疲労を引き起こすというものだ。
英国ケンブリッジに拠点を構えるVividQは、独自のコンピューター生成ホログラフィック(CGH)技術でVACによる制限を克服し、「仮想世界と現実の区別がつかない世界」を実現しようとしている。
ケンブリッジ大学研究所でのブレークスルーが起源
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Image Credits:VividQ
VividQの起源は、2016年にケンブリッジ大学フォトニクス研究所で科学上の大きな進歩を達成したところにまで遡る。その後、この大きなブレークスルーを商業化し、ホログラフィーを消費者向け電子機器に導入するためにケンブリッジにオフィスを設立した。
それ以来、同社は急速に成長し、JVCKenwoodを含む大手OEMと提携して、高度なソフトウェア・ハードウェアソリューションをAR/VR、自動車用ヘッドアップディスプレイ、その他の消費者向け電子機器に統合している。
オブジェクトを現実世界にシームレスに固定
VividQの主力製品は、同社のハードウェア開発キット「Cobalt HDK」をベースにしたARヘッドセット「Cobalt AR」とVRヘッドセット「Cobalt VR」だ。
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Image Credits:VividQ
Image Credits:VividQ
Image Credits:VividQ
さらに、サードパーティのトラッキング技術と組み合わせることで、ハンドヘルド・コントローラや周辺機器なしで、快適で自然な手やジェスチャーによるインタラクションを実現する。
高解像度でリアルな3Dオブジェクトを表示
Image Credits:VividQ
Image Credits:VividQ
Image Credits:VividQ
750万ドルを追加で調達、総資金調達額は3,000万ドルに
今年8月、VividQはシリーズA資金調達で750万ドルの追加調達を完了し、総資金調達額が3,000万ドルを超えたと発表した。
同社は日本と米国のゲームおよび自動車業界のOEM顧客へのサービス提供で成功を収めており、来年には米国のリーダーを雇用し、米国オフィスを開設する予定だ。
また、新たな資金調達ラウンドによりVividQの製品開発ロードマップを加速させ、既存・新規のグローバルビジネスパートナーに独自のテクノロジーを提供できるようになるという。
参考・引用元:VividQ
(文・Haruka Isobe)
- Original:https://techable.jp/archives/243695
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:Haruka Isobe