数十年前から「マインドフルネス」の考え方が浸透している欧米諸国では、瞑想アプリや書籍、ワークショップなどの多様な製品・サービスをカバーする関連市場が巨大なエコシステムを形成している。
特に、マインドフルネス瞑想アプリ市場は順調に拡大中だ。technavioが先月公開した最新分析によると、今後2028年までにCAGR 47.4%という驚異的な成長率を見せるという。
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職場のストレスが軽減され、従業員のメンタルヘルス改善およびポジティブで生産性の高い職場環境の実現が期待される。政府の支援もあって、こうしたプログラムは教育機関でも採用されているそうだ。
マインドフルネスを実践するユニーク腕時計に注目
マインドフルネスの台頭と共に時間の捉え方にも変化が生まれ、「一方通行・直線」としての時間観も問い直されている。マインドフルネスの実践においては、過去や未来のことを思い悩むのではなく「今現在」への集中が推奨されるためだ。
このマインドフルネスの実践を体現し、従来の時間の概念を覆すようなユニークな腕時計がいくつも登場している。特に、クラウドファンディングサイトでは時刻表示に針を使わない回転盤ウォッチのプロジェクトが目を引く。
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スマートウォッチ市場が二桁成長を続けるこの時代に、時間の捉え方を再定義するユニーク腕時計各種の中から、特にユニークで比較的新しい製品をピックアップして紹介しよう。
過ぎた時間と先の時間は目に入らない「REAL TIME」
ウクライナ出身でデンマークのデザイナーAleksej Iskos氏とウクライナのチームZAVODが生み出した「Real Time」は、名前のとおり「リアルタイム」を表示し、キャッチコピーは「デジタル時代における、アナログ世界賛歌」だ。
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REAL TIMEのプロジェクト自体は昨年実施され、成功を収めている。プロジェクトタイムラインによると、ZAVODは今まさに新規コレクションを開発中とのことだ。
マインドフルネスの筋力を鍛える「STUND」
Indiegogoで約600人からおよそ1400万円を集めた「STUND」は「時を告げる」という時計本来の機能を覆す、「時間の経過を感じさせる」製品。(Techableでも以前紹介したことがある)。「STUND」は、古代ノルド語で「ほんのわずかな一瞬」を意味するという。
Image Credits:Indiegogo
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たとえば同じ60分でも「スマホ見てただけなのに」「友達とおしゃべりしてたら」では感じ方が異なる。一定のはずの時間の流れが実は主観的なものだと理解し、自分がその時間をどんな気持ちで過ごしていたのかを実感できるという。
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部品も組み立ても完全デンマーク製で、直径41ミリ、厚さ7ミリ、重さ50グラム。本体はステンレス鋼材sus316、ストラップは本革だ。製作はデンマークのスタジオNærwear。デンマーク語で「この瞬間に全身全霊で存在すること」を意味する。
文字のない文字盤はアートキャンバス、Humismコレクション
一方、Humismのオートマチック時計コレクションは「時間をアートに変える」がキャッチコピー。Humismの時計の文字盤には“文字”がない。レイヤーが回転することで次々とパターンが変化し、時の流れを美しく表現する。
ディスク外周に突き出た「●」が時間を、「〇」が分を示すので時刻を把握することができる。
42ミリコレクションと新作2モデルとも、現在はHumismのサイトで通常購入が可能だ。
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“現代社会で時間に押し付けた、人々の生活を数字で縛るという役割”を、同社のデザインによって否定。「現在」が常に流れ去っていく時の美しさに気づかせるという。
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哲学者たちが培ってきた時間の概念を問い直すPhilosopher
哲学といえば、イタリアの時計ブランドであるTrifoglio Italiaの新作は『PHILOSOPHER / フィロソファー』という名称だ。ユニークな回転盤ウォッチを手掛けてきたトリフォグリオが、1本の針で時刻を示す「ワンハンドウォッチ(一針計)」を生み出した。
また、派生モデルとして「Memento mori/メメント・モリ」も特別限定で展開された。名前の通り文字盤に配されたスカルモチーフが人生の時間が限られていることをストレートに伝えてくれる。
ちなみにイタリアの天才物理学者カルロ・ロヴェッリのベストセラーは『時間は存在しない』という署名だが、「物理学者」という商品名だとどんな腕時計になるのか見てみたい気がする。
マインドフルネスの源流は仏教、アジア圏に逆輸入もあるか
腕時計という身近なアイテムによって、時間の概念が再定義されつつ状況は、時間の捉え方だけではなく生き方をも問い直す良い機会になりそうだ。
長時間労働やサービス残業の問題がなかなか解消されない日本社会にこそ、マインドフルネスの実践が必要といえるかもしれない。そんな日本でも、最近は「もっと自分の時間を大切にしたい」という思想の萌芽が若い世代の発信から感じられる。
そもそも、「マインドフルネス」は仏教用語の「サティ」を英訳したもので、仏教を源流とする考え方だ。欧米での盛り上がりを受け、10年ほど前から日本を含むアジア圏への「逆輸入」が始まり、今に至るという状況。マインドフルネスの本場として、「今を大切にする」を実践できるような社会になっていけるだろうか。
(文・Techable編集部)
- Original:https://techable.jp/archives/243209
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:芥田かほる