【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱ」
05/06
複葉機のキモである張り線を機体に取り付けたことで、ぐっと密度感がアップして、いい感じに完成が近づいてきたブリストル・ブルドッグ。しかしここにきていろいろとトラブル発生しました。いや一筋縄では完成させてはくれないようです。(全6回の5回目/1回目、2回目、3回目、4回目)
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■ピアノ線を使った張り線 その2
前回、ブルドッグの張り線は、極細0.2mmのピアノ線を使用して、張るのではなく部位に応じて必要な長さにカットしてはめ込んでいると書きました。これに関して「それぞれカットするピアノ線の長さはどうやって決めているのか?」といったご質問を頂きました。
金属線をカットしてはめ込みタイプの張り線の場合、デバイダーで翼間や支柱間の長さを確認して必要な長さにカットすると言われてもいますが、今回のブルドッグでは、長めにカットしたピアノ線を使用する部位に合わせて最適なサイズになるように、言うとこの現物合わせで都度長さを調整しながらカットしています。
さらに言えば、キット張り線の取り付け位置にはガイドの凹みがあるので、それをさらにピンバイスで穴を深くしており、そこにカットしたピアノ線をたわませて穴にはめ込んでいるため、実際の長さより0.3~0.5mm程度長くカットしています。
■張り線にベストな素材とは?
また別の方からは、今回のような金属線をはめ込む張り線と、テグスやリギングを使った張り線はどちらがやりやすいのか? といったご質問を頂きました。
これは機体やスケールによってもやり方や使用素材も変わるので、一概に今回のピアノ線はめ込みがベストですよとは言えません。あくまでも個人的な経験値から、今回の1/48ブリストル・ブルドッグは極細ピアノ線をはめ込むやり方ベストではないかとオススメしている次第です。
テグス(釣り糸)を使った張り線は丸まりグセが強いので、ビギナーには扱いづらいかもしれません。少々高価なのが辛いのですが、メタルリギングやストレッチリギングは扱いやすいので愛用しているモデラーが多いのも事実です。
大事なことは、ひとつのやり方に固執するのではなく、いろいろな素材ややり方を試して、製作者が使いやすいアイテムを選べば良いのだと思います。
■さぁお楽しみのデカール貼り…のはずが問題発生!?
複葉機の難所(さっきはキモと言っていたような…)も無事完了したので、次の工程はといえば、みんな大好きデカール貼りです。
ブリストル・ブルドッグは大戦間の機体という事もあるんでしょう。RAF(イギリス空軍)の機体は模型映えする派手なマーキングが多いのが素敵です。
キットには3種類のマーキングのデカールが付属しています。今回の作例は、主翼上面と胴体側面に特徴的なギザギザが描かれたイギリス空軍第17航空隊をチョイスしました。
私の知る限りこんなギザギザを描いた機体はブリストル・ブルドッグだけなんですよね。何の意味があるかは不明です(理由をご存知の方いたらご一報ください)。このギザギザとスピンナーと主脚のホイルカバーの黄色が銀色の機体に映えてオシャレです。
■張り線が邪魔してデカールが貼れません!?
デカール貼りは、主翼上面の大判のラウンデル(国籍マーク)からスタート。ラウンデルはエルロン(動翼)部分にもかかっているので、切れ込みを入れてマークセッターで動翼の凹部分に馴染ませていきます。
そして胴体のラウンデルと例のギザギザを貼り込んで…いやなんか貼りにくい。主翼と胴体の間に張られた張り線が邪魔で指定の位置にデカールが非常に貼りにくいのです。
この時点で気付きました。張り線を張る前にデカールは貼っておくべきだったんじゃないかと…。胴体上面のアンチグレア塗装(ダークグリーンの部分)は上翼を取り付けたら塗れなくなるのを確認して先塗り。その時点で気づくべきでした。
それでも胴体側面のギザギザ模様はピンセットを駆使して何とか貼れたのですが、機体下面のコードレター(機体番号)のデカールを貼る位置を見て「あっこりゃイカンわ」と思わず口走っちゃいました。そう、機体番号が書かれた部分から主脚柱張り線が張られているんですね…。
というわけで、ここで訂正します。機体の塗装が完了したら張り線を張る前にデカールを貼ってください。
さてくだんの機体下面のコードレターですが、当初は主脚柱の張り線をいったん外して貼ることを考えたのですが、せっかくビシッと取り付け出来た張り線を外すのは忍びなく…。張り線の位置に合わせてデカールに切れ込みを入れて、指定の位置にじわじわすべり込ませるという、面倒な方法で何とか貼ることができました。
後から考えると張り線を外した方が間違いなく手間がなかったと思います(泣)。
■大判デカールを馴染ませるテクニック
大判のラウンデル(国籍マーク)は、貼る際に内側に空気が入ると気泡になってしまうので要注意。気泡は、濡らした綿棒を使いデカールの内側から外側に追い出していくと良いです。破けやすいので位置修正は水をたっぷりとつけて行いましょう。
また垂直尾翼の方向舵は別パーツ化され、英国旗の3色での塗り分けが全面デカールで再現されています。方向舵はリブの凹凸がモールドされているので、ここはマークセッターを使いしっかりとデカールをしっかりと密着させます。
■張り線とデカールが干渉!
胴体側面のギザギザマークは張り線の内側になるため、非常に貼りにくくなってしまいました。はめ込み式の張り線はガイド穴にはめ込んで瞬間接着剤で固定していますが、それほど強度があるわけではないので、力を入れると外れてしまいます。そのため、極力張り線に触れないようにデカールを貼るハメに…。
■デカールを乾燥させている間にプロペラを塗る!
さて苦労した甲斐もあってデカール貼りも何とか完了しました。
まぁ直後に機体を落として、垂直尾翼が外れ、主翼の張り線も3本外れてしまい、泣く泣く直すハメになったのはさておき、機体のデカールが乾燥するまで間にプロペラを塗装します。
ブリストル・ブルドッグのプロペラは木製で金属製のスピンナーが取り付けられています。インスト指定ではプロペラはダークアース(茶色)に塗装せよとなっており、実機の写真を見ても博物館の機体は確かにダークアース系のカラーで塗られているようです。しかしせっかくなので、模型映えするように、作例はWW-1大戦機の木製プロペラによく見られた木目が見えるものに仕上げました。
■残るは機体の艤装のみ! 次回完成ブリストル・ブルドッグ
いやー今回は、いろいろあって思いのほか製作に手こずりました(ちゃんと製作手順を組まない結果なので深く反省)。しかし張り線もバッチリ決まり、デカールによるマーキングも完了。木目仕上げにしたプロペラも気に入っています。
機体はほとんど完成したように見えますが、主翼上面の機銃や、排気管などがまだ取り付けられていません。しかしここまで組みあがるとぐっとモチベーションもアップしますよね。次回完成を目指します! 乞うご期待!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
【関連記事】
◆第二次大戦期に活躍したイタリア空軍の傑作戦闘機を作る!【達人のプラモ術<マッキ MC.202フォルゴーレ>】
◆一度見たら忘れられない!? 異形の輸送機「ベルーガ」を製作!【達人のプラモ術<エアバスA300-600ST ベルーガ>】
◆傑作ヘリ「SH-60」米海軍HSL-51“ウォーローズ”所属機を製作【達人のプラモ術<SH-60B シーホーク>】
- Original:https://www.goodspress.jp/howto/625118/
- Source:&GP
- Author:&GP