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細かい艤装パーツを取り付け、アンテナ線を張って完成!【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドッグMkⅡ>】

【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱ」

06/06

前回、機体下面の張り線の内側のデカール貼りに苦戦。あろうことか作業中に取り落として機体の一部破損させてしまい、ムムムな状態となったブリストル・ブルドッグですが、無事修復も完了しました。最終回となる今回は、機体の小パーツや爆弾などを取り付けて、最後にちょいと面倒なアンテナ線を張って完成を目指します!(全6回の5回目/1回目2回目3回目4回目5回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■艤装パーツの取り付け

さて、張り線と修復を終えた機体に、翼下の爆弾や排気管、翼下面の支柱、さらには翼上面のアンテナ線ステーなど、細かな艤装パーツを取り付けていきます。

インストでは、張り線の取り付け前に、これらのパーツの取り付けが指示されていますが、接着がほとんど点付けで作業中に破損しやすいパーツなので、最後に取り付けることをオススメします。

 

■機体下面のパーツ取り付け

<爆弾の取り付け>

ブリストル・ブルドッグは左翼下面には爆弾を搭載しています。爆弾と言ってもWWⅡの爆撃に積まれていた250kg爆弾といったような大型爆弾ではなく、ちょっと小さめ9kg爆弾が4発です。

飛行機が初めて戦場に登場した第一次大戦初期では、パイロットがレンガを敵陣に落としたり、コクピット横にロープで吊るした手りゅう弾を敵陣にボトボト落としていたことを考えれば、翼下に爆弾架を装備して爆弾を搭載しているのは大したモンだと思います。小型とはいえ塹壕の歩兵などへの攻撃には充分効果があったのではないでしょうか。

▲小さいながらも、ちゃんと個別にパーツ化されている9kg爆弾

▲専用の爆弾架に搭載し、翼下面に取り付ける

▲インストには書かれていないが、爆弾架は翼下面のコードレターの上に取り付けることになるので、デカールを先に貼っておく必要がある

<排気管の取り付け>

カウリングのないむき出しのエンジンから機体下側に長く伸びる排気管は、インストではエンジンを組み上げる際に取り付けることになっていますが、主脚の張り線作業を考慮して、後付けにしました。エンジンとの合いも良く、後付けでもピタリと位置が決まります。

塗装は自作の焼鉄色(つや消し黒6+レッドブラン3.5+銀少0.5)で焼けた排気管を再現しています。

▲自作の焼鉄色で塗装した排気管。こうした小パーツはランナーから切り離なさない方が塗装は楽だ

▲エンジンの環状排気リングから主翼下面まで伸びる2本の排気管を取り付けた状態。コードレター(機体番号)デカールの上にまでかかっているので、こちらも後付けが正解

<発電機用プロペラの取り付け>

主翼の張り線時に破損するリスクが大きかったため、後付けにした下翼左右上面の風力発電機のプロペラを塗装したのち取り付けます。接着は点付けなので、あとでポロリがないようにしっかりと固定します。

▲発電機用プロペラはウッドブラウンで塗装した後、左右の発電機に接着

▲瞬間接着剤を使って位置を決め、そののちプラ用の接着剤を接着面の周りに塗布して接着強度を確保している

 

■主翼上面パーツの取り付け

小さな艤装パーツを取り付けていくに従い、機体の取り扱いには注意が必要になります。基本、ほとんどの艤装パーツは点付けなので、指やピンセットをひっかけると簡単に外れてしまい、また折損してしまいます。

というワケで、機体下面に続いて主翼上面の信号銃や翼端灯、そしてアンテナ線のステーといったパーツを取り付けていきます。

アンテナ支柱は翼上面のラウンデル(国籍マーク)の中に位置するため、取り付け前に接着面のデカールを削っておく必要があります。また、アンテナ線を張るテンション支柱にかかってしまうので、接着強度も確保しておく必要があります。

さらに米粒より小さい翼端灯! クリアパーツで成型されている上に、翼への接着はほとんど点付け! ピンセットで挟んだら間違いなく飛ばしてしまうので要注意。取り付け後は絶対に触っちゃいけません。そんなワケで塗装を忘れました(泣)。

▲上翼上面のやや左にオフセットされた信号銃?を塗装して取り付ける。まだ無線機の性能が良くなかった当時は、航空機から地上部隊へ信号を送る際には信号拳銃が利用されていたので、そのための装備と思われる

▲主翼前縁に突出するように装備された翼端灯。翼端に埋め込まれた後の単葉機に比べて空気抵抗は大きそうだ。レンズ部分は右をクリアーリーン、左がクリアーレッドで塗装する必要があるのだが、塗装し忘れている(インストの塗装図には指示あり)。国籍マーク内に接着されたアンテナ線のステーは点付けで強度に不安があるので、金属線を打ち込んで補強することをオススメする

 

■あとはアンテナ線を張ればブリストル・ブルドッグの完成!

機体艤装パーツも取り付けが完了。完成!と言いたいところですが、最後にもうひと作業、主翼から胴体にかけてアンテナ線を張る作業を進めます。

インストを見ると両翼の上面から垂直尾翼にかけて長いアンテナワイヤーが張られています。さらにそのワイヤーの中程からコクピット後方にかけてもワイヤーが伸びています。

今回の作例では、ストレッチリギングを使用してアンテナワイヤーを再現しました。0.2mmを使用したのですが、ちょっと太かったようです。オススメは0.6号(0.13mm)のストレッチリギングです。

ストレッチリギングは伸縮性があるので、軽くテンションをかけることにより弛むことなくラインを張れるため、今回のようにクロスしたワイヤーの再現に向いています。リギングの接着には瞬間接着剤(硬化促進スプレーとの併用)を使用します。

▲アンテナワイヤーの再現には1.5号(0.2mm)のストレッチリギングを使用したが、張りやすくはあるものの、やや太く実感を損ねてしまった。折を見て0.6号(0.13mm)のストレッチリギングに張り替える予定

▲ストレッチリギングを使用したアンテナワイヤーの取り付けが完了。リギングに伸縮性があるので、弛むのを防げる

▲モデルカステン「0.6号(0.13mm)ストレッチリギング」(1980円) 1/48スケールなどの飛行機模型の張り線を再現するのに最適な樹脂製のライン。複葉機における張り線、飛行機の空中線などの再現に使用できる。適度な伸縮性があり、軽くテンションをかけることにより、まっすぐにラインを張れるほか、太さの微調整も可能

 

■いろいろ苦労しましたが…ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱ完成です!

デカールを貼るタイミングを勘違いしたり、製作中に機体を落としたり…と、苦労させられましたが、無事ブリストル・ブルドッグが完成しました!

複葉機はいいですね。WWⅡで活躍した航空機とはまた違った独特の存在感があります。複葉機は「張り線とか製作のハードルが高いんだよなぁ」と敬遠されることが多かったのですが、今回のこのブリストル・ブルドッグは組みやすく、また張り線も再現しやすく工夫されています。もちろん簡単にできるとは言いませんが複葉機入門にオススメのプラモデルとして、魅力にあふれるキットだと思います。

作例は、達人が待ちきれず、個人でエアフィックスから直で取り寄せたものですが、国内での正規輸入販売はGSIクレオスがおこなっており、発売日は9月30日、価格は6600円とのことです。注目されているキットでもあるので、複葉機にチャレンジしたいという方、発売日に模型店に早めの予約購入オススメします。

それにしても、アンテナ線を張ってしまうと、ブリストル・ブルドッグ機体を持つ場所がすごく限定されてしまいます。胴体後部の下側、あるいは下翼外側くらいしか安心して持てません。うっかり指をひっかけてしまうと張り線とアンテナ線を切ってしまいそうです。

できればケースに固定展示、機体は触るべからずがベストだと思います。

▲アンテナ線と張り線の強度がないので、機体を持つ際には気を使う必要がある

▲下翼外側を持つ、あるいは胴体下側を持つのが破損を防ぐベスト持ち方のようだ

 

■ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱギャラリー

さて次回は何を作りましょうか?

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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