【男前マルチツールの世界】
マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。
男前なマルチツールの魅力を紹介する連載の記念すべき第50回は、LEATHERMAN(レザーマン)「MICRA(マイクラ)」(実勢価格:9900円)です。
1996年に発売されてから28年間、大きなモデルチェンジすることなく発売を続けるこの製品は、キーチェーンシリーズの唯一の生き残り。プレスされたステンレスハンドルが光るシルバーモデルは、古き良きレザーマンの面影を今に伝える貴重なモデルのひとつです。
■日常使いに最適なハサミをメインにした初のマルチツール
今でこそハサミをメインにしたモデルは数多存在しますが、ナイフやプライヤーをメインツールとしたモデルが一般的だった時代に初めて登場したのがこの「MICRA」。
折り畳んだ全長は、わずか6.5cm。キーホルダーに付けても全く邪魔にならないコンパクトさが売りの「MICRA」は、一躍人気のアイテムとなりました。何よりナイフではなく、ハサミという安全かつ慣れ親しんだツールがメインであったこともそのヒットの要因のひとつだと思います。
「MICRA」の革新的な技術のひとつが、ハサミのオートマチック開閉機能です。ハサミの基部に鉤式のパーツがあり、これがハサミを閉じる時(つまり切る時)にハンドル内部の板バネを押して負荷をかけた状態にします。実際にハサミを閉じる時、わずかに動くバネの様子が見えます。閉じる力を緩めれば、バネの力でハサミが開くので、円環状のハンドルが無くてもスムーズな開閉が可能です。
刃渡り約2.5cmとコンパクトながら切れ味は鋭く、パラコードなどの丈夫なナイロン糸でも簡単に切れます。このバネを使ったハサミの開閉技術は、その後のマルチツールの発展に大きく寄与したものと思われます。
6種のサブツールはハンドルの内側にあり、使用する場合は、ハンドルを一度開く必要があります。なので、使用時はハンドルを閉じる必要があります。もちろん、片側だけ開いて使うこともできますが、安全面を考慮するならば一度ハンドルを閉じて使用すべきでしょう。若干面倒ではありますが、ハンドルを閉じた時に内側にすべてのツールが美しく収まり、箱型のキーホルダーになるのも「MICRA」の魅力のひとつです。
ハサミがメインですが、刃渡り約4cmのミニナイフも搭載。「MICRA」にはロック機能はありませんが、展開時のテンションは程よくあり、ハンドルを閉じてしまえばユーザー側に向かって倒れる心配はなく安全に使用できます。何より切れ味が良く、箱だしでも充分使えます。
日常使いに優れたツールが揃っているのも「MICRA」の特徴。ピンセットは特にあると便利なツールのひとつです。屋外や旅行先で使えるのが良いですね。いかんせん短いので、細かなネジやパーツを掴むような繊細な作業に使えるものではありませんが、指に刺さった小憎たらしい刺を抜くには充分なものです。
フルサイズのマルチツールであれば、通常の十字型プラスドライバーを装備しますが、このサイズのマルチツールでは、マイナスドライバーの先端が細くなったようなハーフ型が一般的です。「FOR PHILIPS」と刻印されているのがプラスドライバーです。強いトルクをかけるような作業はできませんが、調整ネジなどをその場でサッと回したい時に便利です。
ハーフのプラスドライバーの先端は、そのままマイクロマイナスドライバーとして使えますが、一般的なサイズのマイナスドライバーも装備します。こちらも強いトルクをかけるような使い方には不向きですが、充分使えます。着脱可能なビットタイプは便利ですが、紛失の恐れもあります。こうして本体から展開してそのまま使えるツールは、マルチツールでは無くてはならない存在です。
ハンドルを左右に90度展開すると12cmと4.7インチのスケールになります。簡易的なものになりますが、錆に強いオールステンレス製なので、海や山のアウトドアでも躊躇なく使えます。採ったキノコや釣った魚の大よそのサイズが知りたいときにも便利。
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マルチツールの進化のスピードは、電化製品に比べると遥かに緩やかです。28年の月日が流れても変わることのない使いやすさは、当時のエンジニアの高い技術力を今に伝えてくれます。
コンパクトなサイズと多機能性が魅力のキーチェーンツール。鍵と一緒に持ち運べるほどの小ささでありながら、日常で役立つ機能が満載。アウトドアや防災グッズとしても活躍し、いざという時に頼れる存在です。あなたの日常をサポートする頼れる相棒として、ひとつ持っておくと重宝すること間違いなし! これからも誰かの鍵束の中で、そっと輝き続ける存在でいて欲しいです。
>> レザーマン
<取材・文/GOL 撮影協力/レザーマンツールジャパン>
GOL|現在、東京近郊の山村と都会で二拠点生活をしています。ライター業がメインですが、地方の魅力発信にも力を入れています。実地でのレビューがしやすい環境を活かしてアイテムを紹介していきます。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/626977/
- Source:&GP
- Author:&GP