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ビンテージボックスの中にハーバータグボートのジオラマを製作!【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】

【達人のプラモ術】
ドイツレベル
「1/108 ハーバータグボート」

01/06

さて酷暑も収まり、やっと秋らしい心地良い風が吹くようになった今日この頃。秋といえばプラモの季節でもあるんですねぇ。というワケで今回のテーマは“ジオラマ・アート”。小さなタグボートのプラモデルを使って、アートな洋上ジオラマを製作します。(全6回の1回目)

※画像はメーカーの完成見本

※画像はメーカーの完成見本

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■半世紀前の艦船模型

製作するキットは、現在もドイツレベルから発売されている「ハーバータグボート」(2970円)です。

現行販売されているキットですが、最初の発売は1973年! 半世紀前のオールドタイマー・プラモデルです。1/108スケールは、1/350や1/700あるいは1/200といったスケールがスタンダードとなっている現在の艦船モデルの中にあって、なんとも中途半端に感じますが、60~70年代のレベル社のプラモデルは箱のサイズに合わせてスケールが決められていたものが多かったのです。

箱スケールとは少し違いますが、同時代、日本でもニチモ(現在は廃業)という模型メーカーから全ての戦艦が同じサイズの30センチシリーズ(モーターライズで水上走行)という人気艦船プラモデルありました。値段が安かったこともあり、子どもに人気のプラモデルでした。達人も何隻も作って公園の池などで遊んだ記憶があります。

▲コチラは戦艦U.S.S.アリゾナ。ハーバータグボート同様、70年代に、同じくRevell社から発売されていた。スケールは1/426。現在はドイツレベル版で購入可能なキットだが、こちらも中身は当時のままである

▲ニチモの30センチシリーズ。価格が1000円以下だったこと、そしてスケール感はそこそこでも水に浮かべて遊べることができたので子どもに人気が高かった

 

■1/108 ハーバータグボート

さてキットを見てみましょう。

箱からパーツを出すと、鮮やかな赤いプラが目に飛び込んできます。現在のプラモデルのようにピシッとしたランナーではなく、木の枝みたいなゴツイランナーにパーツがゴチャゴチャと生えています。当時のレベルのキットは一度箱から出してしまうと箱のふたが閉まらなくなったのを思い出しました。

パーツ数は展示台を含めて88個。これにデカールが付属します。

またキットには2センチほどのフィギュアが3体付属しているのですが、そのうちの一体はよく見るとひげ面で、見るからに海の男!を再現しているのが分かります。こうした遊び心に当時のレベル社のセンスを感じることができます。

▲パーツは88個とそう多くはないが、年配モデラーなら分かる、いかにも往年のRevellといった乱雑さが郷愁をそそる

▲船底には©1979 REVELL, INC.の刻印

▲煙突パーツの内側にはVENICE. CALIF. COPYRIGHT 1973と刻印されていた

▲パーツの調所にバリが…。古いキットだから仕方がないと思いがちだが、当時からレベルのキットはバリが出ているのが当たり前だった(※バリ:成型時にパーツのまわりにはみ出した薄い膜)

▲付属の乗組員フィギュアは2センチ足らずのサイズだが、ちゃんと海の男のディテールが再現されている。ひげを生やしてるいのは船長だろう。丁寧に塗装してタグボートの甲板に乗せてやりたい

▲簡単なディスプレイ台も付属している

▲今回は洋上ジオラマとして制作するので、展示台やスクリュー等のパーツは使用しない

 

■以前にも製作していました

このハーバータグボート、実は10年位前に個人的に製作をしていたのを思い出しました(製作途中で放置プレイ状態のままクロゼットに収まっていました)。キットは発売当時のもので、淡いブラウンで成型されています。今回製作のキットと同じものです。

残念ながら箱はボロボロだったので捨ててしまい残っていません。しかしインストは当時のキットの方が雰囲気があって良い感じです。

▲お蔵入りさせていたハーバータグボート。素材の色が違うだけで随分と印象が変わる。タグボートは湾内で目立つように派手に塗られていることが多い船なので、キットの成型色も派手なカラーに変更されたようだ

▲当時のインスト(組立説明書)。いかにもレベルらしい味のあるイラストが見ていて楽しく、製作意欲をそそる

▲今回製作のキットに付属するインスト。最近のドイツレベルのスタンダードだが、あまり面白味はない

 

■テーマは『タグボートのいる海』

今回はこのオールドタイマーを使って洋上ジオラマを製作します。

「達人のプラモ術」では、2022年に同じレベル社の「1/144 Uボート」を使って、映画のワンシーンを再現した“嵐の海をいく洋上ジオラマ”を製作しています。

今回も完成すると全長20センチ程となるかわいいハーバータグボートを使い、同様に情景を作るのですが、ただの海上ジオラマでは芸がないので、ちょっと趣向を凝らしてアートジオラマに仕上げていきたいと思います。

今回のテーマを決めるにあたり、ネット上で艦船モデルの情景模型をいろいろリサーチしていたところ、海外のモデラーの嵐の海をいく帆船ジオラマが目に留まりました。

作品自体も見事な出来だったのですが、その嵐の海の情景はアンティークな机の引き出しの中に作られていました。このセンスは凄い!とアイデアをリスペクト。流石に机の引き出しというワケにはいかないので、アンティークな木製ケースを使い、箱の中に『タグボートのいる海』の洋上ジオラマを作ってみようと思います。木箱はネット(Amazon)で販売していたものを使います。

▲2022年に制作したUボートの洋上ジオラマ。スタイロフォームを使い嵐の海を再現している

▲「ヴィンテージスーツケース 木製の宝箱装飾収納ボックスモデル 古いパブ手作りのヴィンテージ装飾」(2440円/Amazon.co.jp購入価格)

▲サイズ:30x16x16cm

▲今回もスタイロフォームを使って木製ケースに海を製作。そこにタグボートを組み合わせる

▲手にしているのがハーバータグボートの船体。木製ケースはもうワンサイズ大きくても良いかもしれない

▲実際のハーバータグボート。この雰囲気をアンティークな箱の中で洋上ジオラマ・アートとして再現する

 

■製作開始

古いキットだけに、パーツはバリ突き出し、ピンの跡、表面も金型の劣化のせいか波打っており、甲板も歪んでいたりします。なので手間はかかりますが、全てのパーツを丁重に修正していきます。

今回パーツの修正研磨にはモーターツールを使用しています。

また甲板にはロープが一体で成形されているのですが、モールドも甘く立体感に欠けるので、モーターツールを使い、いったん削り落としました。ロープ類は糸などを使って改めて再現します。

▲キャビンの天井パーツだが、表面がかなり荒れており研磨整形して面出ししないとパーツが正しい位置に取り付けられない

▲甲板にモールドされたロープ類は実感に欠けるので、リューター(モーターツール)を使い削り落として改めて自作する

 

■電飾もします!

キットは操舵室やキャビン内部が再現されておらず、窓ガラスも省略されています。とはいえストレートに製作しても違和感のない仕上がりにはなるのですが、今回はジオラマとして製作するので、キャビンの窓は透明プラ板で自作しました。またジオラマとすることで内部にスペース的な余裕があるので、操舵室とキャビン内部にLEDを仕込んで光らせます。

▲キャビンと操舵室の窓ガラスは透明プラ版で自作。ただ内部が再現されていないので、スポンジヤスリで研磨することであえて曇らせている。曇りガラスにしたことで内部をLEDで発光させた際に柔らかい光になる

 

■次回は船体の製作を進めます

なにしろパーツが荒れているので、ひとつひとつの修正が大変。でもせっかく作るのならこうした下地処理は欠かせません。次回は船体の製作を進めます!お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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