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開放型+ノイキャンの「AirPods 4」は低音と空間オーディオが強烈!これは面白い!

2024年9月20日に発表されたアップルの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods 4」。開放型である「AirPods」の新製品で、正確にはノイズキャンセルなしの「AirPods 4」(2万1800円)と、「アクティブノイズキャンセリング搭載AirPods 4」(2万9800円)の2製品が登場しました。いずれもAppleの最新ワイヤレスチップ“H2”搭載やUSB-C充電、“声の分離”機能、Siriへの“うなずき”による応答などの機能も搭載しています。

なかでも注目は、「アクティブノイズキャンセリング搭載AirPods 4」(以下、「AirPods 4 ANC」)の存在です。アップルはカナル型でノイズキャンセル搭載の“AirPods Pro”シリーズを2019年から展開していますが、開放型イヤホンのAirPodsシリーズにノイズキャンセル機能を搭載したのは、アップル製品としては今回の「AirPods 4 ANC」が初となります。

ここ数年のワイヤレスイヤホンの市場は、音質や装着性と共に、ノイズキャンセル機能の搭載、外音取り込み対応、オープン型イヤホンと、快適さと外音の扱いに関する機能が一大テーマ。

▲「AirPods 4 アクティブノイズキャンセリング搭載モデル」

そんな「AirPods 4 ANC」をレビューしながら、ワイヤレスイヤホンの現在地をチェックしていきます。

 

■ノイズキャンセルだけでなく音質アップも優秀

まずデザインから見ていくと…イヤホンは2016年発売のAirPodsシリーズ初代のコンセプトを継承した、アンテナが下に伸びるタイプに変更はありません。

▲見た目としてはほとんど従来シリーズ通り

厳密にはイヤホンの筐体(耳に収まる箇所)は若干平らに、スティックがミリレベルで短くなった…と微調整はあるのですが、見た目の印象、耳に掛けてフィットさせる構造含めて“ほぼ同じ”と言っても差し支えありません。

そして、「AirPods 4 ANC」はイヤーピース(イヤーチップ)のない開放型イヤホンです。耳に軽く掛ける装着感で、耳穴(外耳道)には接触しない構造です。

装着してみても、カナル型(耳栓型)イヤホンにあるような接触によるストレスがなく快適。これなら長時間着けっぱなしにしていられるでしょう。

一方で、カナル型のように物理的に耳穴を塞がないため周囲の音も聞こえてきますが、「AirPods 4 ANC」はそこをノイズキャンセルで補っています。

ではiPhoneと接続して検証していきます。

アップル純正らしく、iOSの“設定”画面から各種設定変更が可能です。

▲“設定”画面内にAirPodsの設定カスタマイズ画面が現れる

ノイズキャンセルを検証してみると、屋内のエアコンのような規則的な音にはとても効果的。路上でも周囲の喧騒をボリュームダウンしてくれますが、電車内に持ち出すと騒音も多少は聞こえてきます。

▲電車内でもノイズキャン性能をテスト

なお、ノイズキャンセル効果に伴う違和感がややあるところは注意点。iOSの設定からノイズキャンセルを“適応型”に設定すると強度と共に違和感も小さくなるので、気になる人はカスタマイズしておきましょう。

▲アプリで設定後は、スティック長押しでモード切り替えが可能

また「AirPods 4 ANC」では「外音取り込み」の設定もオススメです。元から周囲の音がやや聞こえる開放型スタイルですが、さらに「外音取り込み」をオンにすると、音楽を聴きながらでも周囲の喧騒がよく分かります。

▲開放型にプラスして「外音取り込み」で音楽をリスニング

充電ケースは小型化と共にUSB-C端子を採用し、さらに“探す”にも対応。バッテリー性能はイヤホン単体で約5時間(ANC有効時は4.5時間)、充電ケース込みでは30時間(ANC有効時は20時間)となっています。

▲コンパクトな「AirPods 4」の充電ケース

 

■開放型ゆえに気になる音質は…

では音質もチェックしていきます。新製品のアップデートとしてドライバーユニットも上位機種の「AirPods Pro 2」に近いものへと刷新。ハイダイナミックレンジなアンプを搭載しています。

Apple Musicでサム・スミス&宇多田ヒカルの新譜である『Stay With Me』を聴いてみると、「AirPods 4 ANC」の音質の凄みがよく分かります。リズムの刻みにディープに深みある重低音を取り入れた楽曲が、頭の周りで叩きつけるような空気感で再生されます。シンバルやタンバリンの高域もシャープに再現。宇多田ヒカルとサム・スミスによる歌声もムーディーに広がります。

エド・シーラン『Shape of You』でも、男性ボーカルの聞こえる位置が近く、センターからサイドへと移動する定位の再現も丁寧。リズムの音の立体感、アコギの音の歯切れ良さと高域の再現が強力。空間オーディオではない楽曲でも音を空間上に展開してワイドレンジに再生する、そんな狙いがよく分かります。

Dolby Atmosによる空間オーディオで配信中のエド・シーランの『You Need Me I Don't Need You』では空間上にダイナミックに配置された音源の遊びが強烈。ボーカルをセンターに定位させながら、音の迫力や余韻を前後方向の位置で再現します。

「AirPods 4 ANC」が得意とするのは、重低音と空間的な再現性。これが音楽リスニング体験として“面白い”ということは間違いありません。

そして「AirPods 4 ANC」では通話マイクにも新機能“声の分離”も利用できるので、テストしてみました。

▲マイク音質をテスト

ビデオ会議で自分の通話マイク音質を収録して確認してみます。

AirPodsシリーズ従来機種と同様に、声を拾う音質はクリアで通話性能の良さは文句ナシ。そして、屋外レベルの騒音を流してみても通話マイクは全く拾わないレベルでの効果を確認。“声の分離”込みの通話マイク性能の良さは本物です。

*  *  *

アップルによる最新ノイズキャンセル搭載の完全ワイヤレスイヤホン「AirPods 4 ANC」。オリジナルのAirPodsが2016年の登場以来、採用している開放型スタイルによる快適な装着感はそのままに、ノイズキャンセルも外音取り込みも対応とワイヤレスイヤホンの新スタンダードを示したことがポイント。音質については、特に重低音と空間再現という方向性を示しています。

iPhoneユーザーにとって「AirPods 4 ANC」が定番というだけでなく、今後のワイヤレスイヤホンにとっても新基準を決める1台となっていくでしょう。

>> Apple「AirPods 4」

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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