アップルが9月20日にワイヤレスイヤホンの最新モデル「AirPods 4」シリーズを発売しました。アクティブノイズキャンセリング機能(以下、ANC)を搭載した「Air Pods 4 アクティブノイズキャンセリング搭載モデル」(以下「AirPods 4 ANC」、2万9800円)と、従来のAirPodsと同じようにANCを搭載しない「AirPods 4」(2万1800円)の2モデルが用意されています。
AirPodsは耳を完全に塞がないインナーイヤー型(開放型)で、圧迫感のない軽やかな装着性が魅力。ですが、ANCがないことが弱点でした。ANCを使いたい人に向けて、カナル型のAirPods Proが発売され、ANCの精度が高いこともあり、爆発的な人気を呼んだわけです。
AirPods 4 ANCは、インナーイヤー型の装着感を好み、ANCによる没入感も味わたいという人には格好の選択肢となりそうです。
筆者は、現在、2022年に発売されたAirPods Pro(第2世代)を使っています。筆者が使っているのはLightning対応モデルで、現行モデルは2023年に発売されたUSB-C対応モデルですが、イヤホン本体の機能に差はありません。また、AirPods 4の発売を機に、AirPods Pro(第2世代)のモデル名は「AirPods Pro 2」(3万9800円)に変更されました。適宜、AirPods Pro 2の違いにも触れつつ、AirPods 4 ANCをレビューしていきます。
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
■充電ケースが小さくなり、ANCモデルはワイヤレス充電にも対応
AirPods 4 ANCは充電ケースが小さいことが魅力。サイズは46.2×50.1×21.2mmで、重さは34.7g(ANCなしモデルは32.3g)。筆者が使っているAirPods Pro 2の充電ケースよりも小さく、手のひらで握って隠せるような大きさです。
充電ケースのフロント面には何もなく、スッキリとしています。しかし、何もないわけではなく、ケースを開けるとインジゲーターが点灯し、充電の状態がわかる仕組み。従来モデルにあったペアリング用のボタンは見当たりませんが、フロントパネルにタッチセンサーが搭載され、ダブルタップでペアリングモードに切り替えられるようになっています。筆者がAndroidスマホとペアリングしてみたところ、AirPods Pro 2と同じように問題なく接続できました。
充電ケースの底にはUSB-Cケーブルの接続口を搭載。ケーブルは同梱されていませんが、USB-C対応のiPhoneを使っていれば、iPhoneと同じように充電できます。なお、ANC搭載モデルのみ、ワイヤレス充電にも対応。AirPros Pro 2と同じように、Qi対応のワイヤレス充電器やApple Watch用の充電器などでも充電できます。
充電ケースの底にはスピーカーも搭載。AirPros Pro 2と同じように、iPhoneの「探す」アプリなどで所在地を探して、音を鳴らしたりすることも可能。これも、ANC搭載モデルだけの機能です。
■ノイズコントロール機能はAirPods Pro 2と同等
注目のANC機能は、ただ雑音を除去するだけでなく、多彩な機能を備えています。
ノイズコントロールは「オフ」「外部音取り込み」「適応型」「ノイズキャンセリング」の4つのモードに切り替え可能。このうち「外部音取り込み」は、周囲の音を聴こえやすくするモード。イヤホンのマイクから音が取り込まれて、誰かに話しかけられたら、すぐに返答しなければならない状況や、周囲の音に注意しなければならないランニングやウォーキング時にも適しています。
「ノイズキャンセリング」は、マイクが感知した雑音を除去して、メディアの音声だけが明瞭に聴こえるようにするモード。最も音楽に集中でき、没入感を味わえるモードです。
「適応型」は、「外部音取り込み」と「ノイズキャンセリング」を組み合わせたモード。周囲の雑音状況に変化に合わせて、イヤホンから聴こえる雑音のレベルが自動で調節されます。なお、聴こえるノイズの量を調整することもできます。
「会話感知」も設定できます。これは、ユーザーが会話を始めたことを感知すると、イヤホンから聴こえる音量が下がり、目の前にいる人の声が聴こえやすくなる機能です。筆者は、愛犬を散歩する時にこれをオンにしています。近所の人から声をかけられたときに、いちいち音量を下げたり一時停止にしたりせずに済むので重宝しています。
AirPods 4 ANCのノイズコントロール機能は、AirPods Pro 2とほぼ共通しています。アップルはAirPods Pro 2のANCの精度は「最大2倍」としています。ノイズ除去率はAirPods Pro 2のほうが高く、外部音取り込みモードで聴きているときに、大きな音を低減してくれる機能があったりもしますが、機能としては “ほぼ同じ” と言って差し支えないでしょう。
ただし、AirPods Pro 2には、まもなく(2024年秋)「ヒアリングチェック」と「ヒアリング補助機能」が追加されることが予告されます。自分の聴力をチェックでき、難聴の兆候がある場合に、音が聴こえやすいように最適化される機能です。補聴器とは呼べないものの、「最近少し聴こえづらい」などと感じている人に役立つ機能になる可能性があります。これはAirPods 4 ANCでは利用できないので注意が必要です。
■ANCオンでも最大4時間聴き続けられる
AirPods 4 ANCは、ANCをオンにした場合は最大4時間、オフにした場合は最大5時間の再生が可能。ちなみに、ANCなしのAirPods 4の連続再生時間も最大5時間です。AirPods Pro 2は最大6時間なので、電池持ちはProに優位性があります。
充電ケースを使用すると、ANCをオンにした場合で最大20時間、オフにした場合は最大30時間再生できます。AirPods Pro 2は、充電ケース使用で最大30時間なので、ほぼ互角。いずれにしろ、余裕で1日使い続けられそうです。
■開放型とは思えないほどノイズキャンセリングは優秀
AirPods 4(ANCあり・なしどちらも)には、AirPods Pro 2と同じ「H2」チップが搭載されています。インナーイヤー型とカナル型という違いはありますが、オーディオの基本設計は共通しているようです。
気になる音質は、実際にアップルストアで確かめさせてもらったり、オーディオに詳しい人のレビューをチェックしたりすることをおすすめしますが、筆者なりの感想も述べさせてください。
普段AirPods Pro 2で音楽を聴いている筆者が、AirPods 4 ANCに付け替えてみたところ、音質にはほとんど差がないように思えました。もちろん、AirPods 4 ANCは耳を完全に塞がないので、周囲の音の遮蔽性は若干劣ります。ですが、ノイズキャンセリングの性能の高さには驚きました。これまでに開放型イヤホンのANCを試したことがありますが、AirPods 4 ANCはインナーイヤー型とは思えないほど。自宅のエアコンの音も、電車に乗っているときのガタゴト音も、すーっと溶けるように滑らかに消えます。外部音取り込みモードで周囲の音がミックスされる感じや、適応型モードでの人の声が明瞭に聴こえる感じも、AirPods Pro 2と同じでした。
現在AirPodsを使っていて、使い勝手をアップデートしたい人はもちろん、AirPods Proを使っていて、耳への圧迫感が気になる人も、AirPods 4 ANCへの乗り換えを検討する価値は十分にあるでしょう。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/632120/
- Source:&GP
- Author:&GP