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目指したのは「セロー」のようなe-Bike!クロスセクションの「eEDIT 275」に試乗

かつてはオンロードモデルに匹敵するくらいの人気を誇っていたオフロードバイクですが、近年では国産車のラインナップが激減してしまっています。バイクで走れる未舗装の林道が減り、走れるオフロードが少なくなっているのが原因のひとつですが、代わってオフロードライダーの注目を集めているのがe-Bikeと呼ばれる電動アシストのスポーツ自転車。特にe-MTB(アシストのあるマウンテンバイク)と呼ばれるカテゴリーです。

そのカテゴリーに登場したのがクロスセクションというブランドの「eEDIT(イーエディット) 275」。オフロードバイク向けのカスタムパーツをリリースしているダートフリークが手掛けたマルチに使えるe-MTBです。

 

■スペックではない扱いやすさに注目

「eEDIT 275」が目指したのは、かつてのヤマハ「セロー」シリーズのようなe-Bike。「セロー」は1985年に「セロー225」としてデビュー。2005年には「セロー250」に進化し、2020年のファイナルエディションまで長きに渡ってオフロードバイクの定番モデルとして多くのファンを獲得していました。

「セロー」が支持されたのは、エンジンのパワーやサスペンションストロークなどスペックの数値は劣るものの、オフロードでの扱いやすさにフォーカスして開発されていたため。空冷エンジンはお世辞にもパワフルではありませんでしたが、扱いやすく足付きがいいので、“2足2輪”で結構ハードなシーンも走破でき、初心者だけでなくベテランライダーにまで愛されていました。

「eEDIT 275」はe-MTBではありますが、サスペンションは装備していないシンプルな作り。e-MTBの中には“フルサス”と呼ばれる前後にサスペンションを装備したモデルもありますが、スペックが高いだけあって価格も高価です。それに対して「eEDIT 275」は29万7000円とe-Bikeのエントリーモデルとしてはリーズナブル。それでいて“e-Bike界のセロー”の名に恥じない性能と拡張性を持っています。

e-Bikeの心臓部といえるドライブユニット(モーター)はオリジナル。重心の配分を考慮し、車体中央に配置するセンターモータータイプとなっています。価格の安いe-Bikeはハブモーターと呼ばれる車軸に組み込まれたタイプが増えていますが、山道を走るe-MTBらしいセレクト。最大トルクは65Nmと特筆するほどトルクフルではありませんが、急坂を登るにも十分なスペックです。

バッテリーは流行りのフレームに内蔵されるタイプではありませんが、これは重量増を抑えるための選択。容量は504kWと十分で、最大120km(ECOモード)のアシスト走行が可能です。

前後ホイールは27.5インチと、e-MTBの中ではやや小さめのサイズ。スピードを出して楽しむには大径の29インチの方が有利ですが、コンパクトで取り回しがしやすいため日本の里山を走るには向いているホイール径といえます。ブレーキは前後とも油圧のディスクブレーキを採用し、山道を駆け下っても不安のない制動力を確保しています。

実際に山道を走ってみましたが、太めの2.4インチ幅のタイヤと、MTBらしいフレーム設計のおかげで荒れた道でも十分に楽しむことができました。見た目だけMTBっぽくしたルック車ではなく、きちんと作り込まれたe-MTBであることが伝わってきます。アシストがあるので登りも楽にこなせて、体力に自信のない人でも山の中を走り回ることができるでしょう。

 

■街乗りやツーリングにも使える懐の深い設計

e-MTBではありますが、オフロード性能だけにフォーカスしているわけではありません。ハンドルは高さを設けたアップライトなもので、上体が起きた楽な乗車姿勢を実現。幅は広いので荒れた道でも押さえが効きますが、街中をのんびり走っても気持ちいいライディングポジションです。

BMXを思わせるハンドル形状ですが、補強バーの部分もハンドルと同じ22.2mmとされていて、ライトやスマホホルダーなどのアクセサリーが装着しやすくなっています。このハンドルもオリジナルで作ったものとのことで、手を掛けて作られたe-Bikeであることが感じられます。

変速ギアはリアのみの8段。変速段数としては少なめですが、ギア比はワイドなので登坂ではしっかりと軽いギアを選ぶことができます。アシストがあるため、ギアの段数は多い必要はなく、その分太くて耐久性のあるチェーンを使おうという意図があるようです。

バッテリーから給電されるタイプのライトも標準装備。ツーリングで帰り道が暗くなってしまった際に役立つだけでなく、通勤などでも役立つ装備です。サイドスタンドも、オリジナルで剛性が高いアルミ製のものを作っているので、街乗りでの使いやすさも配慮されていることが感じられます。

フレームやフォークには、随所にキャリアやボトルケージを装着するためのダボが設けられています。近年は、自転車にキャンプ道具などを積み込んで出掛ける“バイクパッキング”というスタイルが世界的に流行していますが、そういう使い方も視野に入れた構造。「セロー」もツーリングライダーに大きな支持を得ていましたが、そのことを思い起こさせる作りです。

カスタムの余地がしっかり設けられているのも「eEDIT 275」の特徴。より太いタイヤを履いたり、大きいサイズのホイールに入れ替えたりすることも可能なクリアランスが確保されています。フロントにはサスペンションフォークを装着することも前提に設計されているので、好みのサスペンションを入れてオフロード性能を高めることも可能。実際にサスペンションフォークを付けた車体にも乗ってみましたが、荒れた路面の下り坂などで走破性が圧倒的に高くなっていました。

かつてオフロード走行を楽しんでいたライダーであれば、オフロードバイクや走れる場所の激減を残念に思っているかもしれません。そんなライダーには、e-MTBを体験してもらいたいと思っています。荒れた路面や凹凸に対応するオフロード走行の楽しさは同じですし、e-MTBであれば走れるコースも増えています。バイクパッキングでキャンプツーリングのような楽しみ方も広がっていますので、ライディングの幅が広がるかもしれません。シンプルな作りながら、オフロードから街乗りまでマルチに使えて、カスタムする楽しみも味わえる「eEDIT 275」は、これからe-MTBデビューするなら注目の1台です。

>> CROSS SECTION「eEDIT 275」

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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