【とりあえずユニクロで。のその先〈PART.2〉】
普段、我々が何気なく使っている「ビジカジ」という言葉。ご存じのように“ビジネスカジュアル”の略称であり、ビジネスシーンにも対応するカジュアルなスタイルを意味するのだが、「では、その正解とは?」と問われた際に、明確な答えを持ち合わせていない人は多い。スタイリストの井上裕介さんに訊くと、次のような答えが返ってきた。
「最初に結論を述べてしまいますが、万人に共通する正解はありません! 職種や役職、仕事の内容、さらには年齢によっても変わってきますので、そこを見極める必要があります」(井上さん)
となれば、これを念頭に置いた上で、万人向けの最適解を見つけ出すしかないだろう。そこで頼りになるのが、東レとユニクロが共同開発した、伸縮性・軽量性・吸汗速乾性を備えた化繊生地「ウールライク」を採用したジャケットやパンツを展開する「感動シリーズ」だ。
■大人の装いにもマッチする品格と高機能を備えた「感動シリーズ」が使える!
「この『感動シリーズ』がなぜ良いかといえば、大人の装いにもマッチする品格を備えながら高機能であるという点。天然のウールのような質感が落ち着いた印象を与えるだけでなく、家庭用洗濯機にも対応しており、手入れもお手軽です。しかもカジュアルなアイテムにも自然と馴染むので、ビジカジスタイルを組む際にはまさに適任です」(井上さん)
今回は、上記の写真の通り「感動ジャケット」と「感動スラックス」にシャツ&タイを合わせたスーツスタイルを“ビズ度100%”として設定。そこにビジネスとカジュアルのアイテムを足し引きしてアレンジを加え、5タイプのコーデを提案。ビジカジの正解を探っていく。
■ビジカジコーデ1:「ネイビーのセットアップに映えるインナーの白Tシャツ」
ジャケットはウエスト部分の絞りを抑えたスッキリとしたレギュラーフィット。肩から袖にかけての自然なフォルムにより、ビズからカジュアルまで幅広いスタイルに合わせて着用可能である。
「このジャケットに、最大公約数的な美脚シルエットを備えたスラックスを合わせ、Tシャツを挟むだけで、労せずスマートでリラックスした着こなしが狙えます」(井上さん)
【ここがポイント!】「Tシャツは首元の詰まり具合と、素材の質感で選びましょう」(井上さん)
ビズとカジュアルの線引きのひとつが襟の有無。Vゾーンから襟がなくなることで首周りがスッキリとし、軽快な印象も強まる。その際に注意すべきは、Tシャツの首元の詰まり具合と素材の質感だ。
「首元が開きすぎているとダラしない印象を与えてしまうため要注意。鎖骨が隠れるくらいの詰まり具合がシックです。素材の質感に関しては、光沢があると顔周りも明るく見えて好印象です」(井上さん)
■ビジカジコーデ2:「ジャケットスタイルにタートルネックのニットを挿し込む」
コーデ1の“インナーを変えてカジュアルダウン”を秋冬仕様にしてみるとどうだろう? 白Tシャツをタートルネックのニットに変えるだけで雰囲気は一変。首元にほどよいボリュームが加わり、大人の余裕が醸し出されるのだ。
ジャケットとスラックスは「コーデ1」と共通。インナーをニットに変えることで季節感を演出している。このように、TPOを意識することもビズシーンでは重要だ。さらに、足元をローファーに変えて、シックな印象を加える。
「首回りはコーデの印象を左右するポイントです。肌の露出が減ることでフォーマルな場面にも対応可能に。カジュアルにもビズにも使えるタートルネックは、1着持っていれば活躍必至です」(井上さん)
【ここがポイント!】「ニットはハイゲージを選ぶことでクリーンな印象も高まります」(井上さん)
普通のクルーネックも良いけれど、秋冬シーズンに欠かせないのが、フォーマル感と温かみを両取りできるタートルネックのニットだ。明るめの色を選ぶことで、冬コーデ特有の重たさも軽減される。
「ニットを選ぶ際のポイントは編み方です。ざっくりとした風合いで表情豊かなローゲージではなく、密度が高くフラットなハイゲージが正解。高級感とともにクリーンな印象も強まります」(井上さん)
■ビジカジコーデ3:「ジャケットはそのまま、ボトムスをデニムに変更する」
続いては着心地の良いジャケットを主役に起用。スラックスからリジッドカラーのデニムパンツに変更したというよりも、クリーンなデニムコーデにジャケットを羽織ったというニュアンスに近く、かなりカジュアル度の高い装いに。
スラックスに比べるとカジュアル要素の強いデニムパンツだが、シルエットや色に気を付ければ、ビジカジにも十分対応可能だ。特に太過ぎず細過ぎずのストレートシルエットは汎用性が高く、シーンを問わない。
「ジャケットとボトムスの色を近づけることで、質感の違いによるチグハグ感を払拭できます。デニムは色落ちしたものよりも清潔感のあるリジッドを選び、カジュアルになり過ぎないようにしましょう」(井上さん)
【ここがポイント!】「細身のリジッドデニムであればオフィスでも履けます」(井上さん)
最近はルーズフィットが人気のデニムパンツも、ビジカジに起用するとなればキッチリ感が求められて当然。細身のストレートをジャストサイズではけば、脚線も美しく見せられて、まさに一石二鳥といえる。
「ビズシーンでの着用を想定するなら、シルエットに密接に関係する太さだけでなく、丈も重要です。裾にワンクッション以上のたるみがある場合は、潔く丈詰めするか、ロールアップを推奨します」(井上さん)
■ビジカジコーデ4:「スラックス&タイドアップにカーディガンを羽織る」
ウールライクの「感動ジャケット」は毎日着ていても飽きないが、たまには雰囲気を変えてみては? ということでアウターをシャツカーディガンにチェンジ。一見カジュアルに思えても、オフィス内での着こなしであれば問題なし。
打ち合わせや外回りから戻り、オフィス内で仕事をする際のスタイルをイメージ。運動性に優れた感動ジャケットから、柔らかなニット素材のシャツカーディガンに着替えてリラックスタイムを想定した。
「感動スラックスにシャツを合わせてタイドアップし、足元はローファー。そこにシャツカーディガンを羽織って肩の力を抜く。しかも動きやすくて上品。そんなワガママにも応えてくれます」(井上さん)
【ここがポイント!】「ニットの柔らかな質感でリラックスした雰囲気に」(井上さん)
やさしい肌触りのニット素材を取り入れることで、コーデ全体が柔らかな雰囲気へと向かう。ビジカジの基本である“節度”を守りながらも快適に着こなすのに、シャツカーディガンは打ってつけだ。
「身頃から袖まで編み地が統一されたミニマルな表情のカーディガンは、オフィス内での軽めの羽織りとしても重宝します。シャツのストライプ柄やネクタイの小紋柄で変化を付ければ完璧です」(井上さん)
■ビジカジコーデ5:「セットアップにダウンジャケットで真冬を乗り切る」
いくらウールライク素材の風合いが良くても、冬本番にセットアップだけで乗り切るのはさすがに難しい。そんなときに羽織るアウターの選択肢といえばコートが定番だが、機能的かつカジュアルに仕上げるならダウンジャケットもアリだ。
「感動シリーズ」のセットアップに白のロンTとグレーのVネックニットを合わせると、ビズ度が高めになる。そこにダウンジャケットをプラスしてカジュアルダウンすることで、真冬のビジカジスタイルが完成する。
「ダウンジャケットは程よくボリューミーながら、着丈が短めのコンパクトなシルエットです。セットアップは表情のあるウールライク素材なので、合わせた際の存在感も十分です」(井上さん)
【ここがポイント!】「色と素材選びで“しっかり感”を演出しましょう!」(井上さん)
ジャケット着用時のVゾーンは重要なポイント。ダウンジャケット→ジャケット→ニット→ロンTと、徐々に素材のボリューム感と色をグラデーションさせることで、自然と顔周りに視線が向かうよう計算されている。
「アウター下のジャケットから肌に触れるロンTまで、3層で重ねることで保温性を保ちつつ洒脱さを狙いました。インナーに襟がなくとも、“しっかり感”さえあればビズシーンでも使える装いになります」(井上さん)
* * *
冒頭でも述べたように、職種や役職、仕事の内容、さらには年齢によってもビジカジのOKラインの匙加減は変わってくるが、「キレイ見え」と「節度」。この2つを備えつつ機能性にも優れた「感動シリーズ」を軸にすれば、カジュアル度が高くとも問題ないことが実証された。
本記事を読んだ皆さんが、なんとなく“ビジカジの最適解”を掴めたのであればこれ幸い。この冬、ビジカジに挑戦するなら、まずは「感動シリーズ」を手に入れるところから始めてみてはいかがだろう。
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<取材・文/TOMMY スタイリング/井上裕介 写真/田中利幸 取材協力/UNIQLO>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/638790/
- Source:&GP
- Author:&GP