MM総研は11月13日、「2024年度上期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」の結果を公表しました。各キャリアの競争激化もあり、総出荷台数は2020年以降最少だった前年同期からは8.3%増加したものの、2番目に少ない水準となりました。スマートフォンに占めるiPhoneの出荷台数シェアは44.7%でした。今後、総務省が検討しているミリ波対応モデルの割引拡大や、キャリアお試し割引による影響も見込まれます。
携帯電話の出荷台数増、キャリアの販売戦略と新機種投入効果
MM総研の調査によると、2024年度上期(2024年4月〜9月)の携帯電話総出荷台数は1,325.1万台でした。2020年度以降の上期として最少となった前年同期からは8.3%増えたもの、前年同期に次ぐ2番目に少ない出荷台数となりました。
総出荷台数が前年同期と比べて増加した理由についてMM総研は、携帯キャリアが新規獲得に加え、既存顧客の流出を防ぐために機種変更も重視した販売戦略を強化したことに加えて、人工知能(AI)スマートフォンや折りたたみ式などの新製品が多数登場したことも影響していると分析しています。
総出荷台数のうちスマホが96.5%
総出荷台数のうち、スマートフォンが1,279.2万台(前年同期比10.5%増)で、スマートフォンが96.5%を占めています。
フィーチャーフォンの出荷台数は45.9万台(29.6%減)で、過去最少を更新しました。
スマートフォンのうち、5G対応機種は1272.9万台(11.1%増)で、割合は99.5%を占めています。
メーカー別シェア、iPhoneが44.7%で13期トップを維持
2024年度上期のメーカー別スマートフォン出荷台数シェアは、AppleのiPhoneが44.7%(前年同期比4.5ポイント減)でトップでした。上期におけるAppleの首位は、13期連続です。
MM総研は、Appleが首位の座を維持できる理由として、1年前のiPhone15シリーズ、2年前のiPhone14シリーズも価格改定しながら販売を継続して根強い人気を獲得できている点を挙げています。
2位以下は、シャープ、Google、Samsung、Xiaomiの順で続き、上位5社でシェア85%を占めています。
2024年度の出荷台数は2023年に続く少なさと予測
MM総研は2024年度通期の総出荷台数を、2,903万台と予測しています。これは、前年度からは8.8%増えているものの、2020年度以降の通期出荷台数としては2番目に少ない数字です。
2024年度通期のスマートフォン出荷台数は2,797万台(9.8%増)で、5G対応機種の割合は2024年度は99.6%、2025年度は99.7%、2026年度は99.9%と上昇を続け、2027年度には5G対応比率が100%に達するとMM総研は予測しています。
総務省の政策による影響は?
今後の携帯電話出荷台数は、総務省が議論を進めている電気通信事業法に基づく省令改正のうち以下3点が影響するだろう、とMM総研ははみています。
1: 下取り金額プログラムの是正
2年後などに端末をキャリアが下取り(返却)することで残債が免除される購入プログラムは、実質的な大幅値引きとなっています。
この販売方式が、中古端末の買取・販売事業者との競争環境に影響を与えている、として見直しに向けた議論が進んでいます。見直しによって、一時的に端末需要が落ち込むものの、各キャリアの端末ラインナップ見直しや新たな施策により、影響は一時的とみられます。
2: ミリ波対応スマホの割引上限引き上げ
2023年の電気通信事業法の省令改正におり、定価8万円以上の端末の値引き上限は4万円に設定されました。現在、ミリ波対応モデルについては値引き上限を1.5万円引き上げることが検討されています。
なお、iPhoneは、ミリ波対応モデルが販売されているのはアメリカのみであり、Androidスマートフォンでも一部の高価格モデルに限定されています。
ミリ波対応モデルの値引額引き上げが、iPhoneの販売戦略にどう影響するのかも興味深いところです。
3: お試し契約による6カ月・最大2万円の割引
お試し契約割引は、楽天モバイルが導入を求めているもので、早ければ2024年にも開始される見込みです。
導入されれば、6カ月間で最大2万円の割引が提供されることとなり、MNP件数の増加や、複数回線契約者の増加によるスマートフォン出荷台数増加につながる可能性もあります。
Source:MM総研
- Original:https://iphone-mania.jp/carrier-590518/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato