次期アメリカ大統領に、ドナルド・トランプ氏が再選したことは、Appleにとって良い影響と悪い影響の両方が想定される、とBloombergのマーク・ガーマン記者がニュースレターPower Onで記しています。
トランプ氏の勝利にクックCEO、祝福のメッセージ
ドナルド・トランプ氏の当選が確実となった際、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、Xで祝福のメッセージを投稿していますが、まだ公式な対面を果たしていません。
ドナルド・トランプ氏の掲げる政策は、Appleのカーボンニュートラルをはじめとする環境重視の方針に合わないものの、バイデン政権時代よりも関係は改善するだろう、とマーク・ガーマン記者は見込んでいます。
バイデン政権とは対立関係にあったApple
バイデン政権は、Appleを反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の疑いで訴えており、Appleとは対立関係にありました。
このほか、Apple Watchの血中酸素濃度センサーが知的財産権侵害にあたると訴えられた際、バイデン政権はAppleを支援する動きを見せることはありませんでした。
第1期トランプ政権時代に、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、頻繁にホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領と意見交換していました。対して、バイデン政権時代にクックCEOがホワイトハウスを訪れることはありませんでした。
トランプ氏の関税政策に懸念も、回避の実績あり
Appleは、現在も製品の多くを中国で製造しており、米国内ではほぼ何も製造していません。そのため、中国からの輸入品に60%、それ以外の国からの輸入品には20%という高い関税を課すトランプ氏の政策が実行に移されると大きな打撃となります。
第1期トランプ政権時代にクック氏は、iPhoneへの課税強化は韓国企業のSamsungの利益になること、Apple Watchが多くの人命救助に役立っていることをアピールし、製品への関税を回避していました。
また、iPhoneは現在、製造能力を中国からインドにシフトしていることをアピールすると考えられます。インドの大統領であるモディ氏は、トランプ氏の盟友であります。
クック氏はトランプ氏に積極アピールか
2025年には、新型Mac Proが発売される見込みです。テキサス州オースティンで組み立てられるアメリカ製造モデルであるMac Proを米国で製造していることは、大きなアピール材料になると考えられます。
2009年にクックCEOは、Appleの工場を訪れたトランプ大統領との共同記者会見で、Mac Proをアメリカで製造できていることについてトランプ氏への感謝を述べ、大統領を持ち上げています。
米アリゾナ州のチップ製造工場は、バイデン政権下で設置が決まったものの、2025年にチップが市場に出回れば、トランプ政権は自政権の成果としてアピールできる可能性があります。
Appleのノースカロライナ州への新キャンパス設置計画は停滞気味ですが、計画が中止されたわけではありません。トランプ政権時代にこの計画が進めば、Appleがアメリカに投資を続ける姿勢をアピールするチャンスとなります。
クックCEOは、App Storeの独占的地位に厳しい姿勢をとるEUへの対応について、トランプ氏に助けを求める可能性がある、とガーマン氏は指摘しています。
イーロン・マスク氏、Apple従業員も懸念材料に
トランプ氏を支援し、政権で重要な役割を担うと見込まれるイーロン・マスク氏はクックCEOに敵対心を持ち続けており、App Storeの手数料率などを批判しています。Appleを助けるような動きに対して、マスク氏が異を唱えることは考えられます。
また、Appleがトランプ政権と親しくすることを、快く思わない従業員が一定程度いることも確かです。第1期トランプ政権発足当時には使われていなかったSlackを使って、Appleの方針に異議を唱える従業員が出てくることは考えられます。
Source: Power On/Bloomberg
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-590534/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato