【とりあえずユニクロで。のその先〈PART.4〉】
■そもそも、「パフテック」とは何ぞや?
ユニクロの冬アウターといえば、有名なのが「ウルトラライトダウン」だろう。ダウン90%:フェザー10%の黄金比率を採用し、フィルパワー750+の高品質なプレミアムダウンを使用。東レとの共同開発により、羽毛パックを使用せず、高密度ナイロン生地と特殊な加工技術で軽量化を実現した同シリーズは、大ヒットを記録した。
そんな「ウルトラライトダウン」に続く次世代アウターとして、存在感を増しているのが「パフテック」である。軽量化と保温性の両立というコンセプトは同じだが、こちらはダウンではなく機能性中綿を採用している点が特徴的だ。2023年から展開され、以前は「ウォームパデッド」として知られていたが、改良を重ねてきた。
語るべきポイントは、東レと共同開発した独自の機能性中綿にある。より多くの空気を溜め込むことで高い保温性を発揮する独自構造がストロングポイントだ。デイリーユースには十分な暖かさを確保し、空気に包まれるような軽い着心地を提供する。この冬は繊維構造のアップデートを行い、“ユニクロ史上もっとも軽くて暖かい”パフテックアウターが完成した。
では、「パフテック」のどこがスゴイのか。続いて、そのポイントを3つのトピックに分けて解説していこう。
【パフテックはここがスゴい!】:「軽いのにちゃんと暖かい」
かつてはアウターの重量と防寒力が比例するのが当たり前で、暖かい服は重いものだった。分かりやすい例がレザージャケットだ。しかし、ライフスタイルの変化に伴い、今や冬アウターは「軽くて暖かい」が常識に。その令和時代にフィットするのが、驚くほど軽くて暖かい「パフテック」である。
先述した独自構造について補足すると、パフテックは中空構造の2種類の繊維で構成されているのが特徴。そのうち1種類を髪の毛の約1/5の細さにすることで、繊維の層が多重化し、より多くの空気を含む仕組みになっている。
さらに、繊維をバネのように連続する特殊な3D形状にすることで、かさ高(フィルパワー)が向上。これにより保温性だけでなく弾力性も増し、柔らかく快適な着心地を実現している。それでいて、メンズの「パフテックパーカ」は500mlペットボトル1本と同程度の軽さというから驚き!
【パフテックはここがスゴい!】:「自宅で手洗いができる」
アウターで一番面倒なのは、洗濯などのメンテナンスだろう。その点、パフテックは家庭で簡単に手洗いが可能なのがうれしい。羽毛のように綿抜けの心配が少ないため、気軽に扱えるのもありがたい。洗う際は、汚れが気になる部分をぬるま湯で部分洗いし、それ以外は中綿が片寄らないよう押し洗いするだけ。
洗濯後は、厚みのあるハンガーにかけて干すのがおすすめ。これにより、よれにくくなり、シルエット崩れも防げる。このひと手間を惜しまないのがポイントだ。また、保温性はダウンに劣らず、乾きやすさではむしろ優れている。夜に洗って干せば、翌朝には乾いて快適に羽織れるという実用性も魅力的。要するに、使い方次第でさらなる可能性を引き出せるアウターなのだ。
【パフテックはここがスゴい!】:「ダウンよりも湿気に強い」
先述したダウン以上の乾きやすさは、湿気に強いという点でも優れている。湿気を吸収しづらいため、雨や霧など湿度90%以上の環境下でも保温性が下がりにくいのだ。さらに、パフテックはダウンより湿気に強いだけでなく、表生地には撥水機能も備わっているため、急な小雨に降られても多少であれば問題なく対応できる。
これらを要約すると、パフテックの魅力は“着やすさ”と“気軽さ”にある。朝晩の冷え込みが気になる初秋から真冬、さらには天候が変わりやすい春先まで、一年を通して長く活躍してくれる万能アウターだ。
■今冬押さえておくべき「パフテック」アウター5選
ここからは、そんな優れたパフテックの2024年秋冬ラインナップから、注目の5つのアイテムを紹介する。
【アイテム1】:「パフテックコンパクトベスト」3990円
秋冬の重ね着スタイルで重宝するのが、インナーとアウターを兼ねるインサレーション(中綿入り)ベスト。インナーダウン的な使い方をする場合、肌に近くなることが多いが、そこで“湿気に強い”というパフテックの特性が活きる。
デザイン面では、角度浅めのVネックが程良いバランスで、厚みを抑えた仕上がりが気軽に羽織れるポイントだ。
カラーバリエーションは写真のネイビーに加え、ブラックとダークグレーを展開。シルエットは体にフィットするジャストめで、どの色を選んでもシックな仕上がり。スーツスタイルにも問題なく馴染むデザインだ。さらに、持ち運びやすいパッカブル仕様で、活躍の幅がより広がるのも魅力的。
【アイテム2】:「パフテックパーカ」6990円
2着目は、キルティング模様が新鮮で遊び心を加えた「パフテックパーカ」。今秋冬のラインアップを象徴するアイテムだ。ボディには東レ製の特殊素材を採用。2枚の生地を織り合わせた構造で、針穴がなく雨や風の侵入を防ぎやすいのが特長だ。
また、腕の可動域を広げ、動きやすさを追求した3Dカット設計も大きな魅力。
カラーバリエーションは、オフホワイト、グリーン、ブルー、ダークグレー、ブラックと、今期のパフテックの中でも最多の5色展開。
注目すべきポイントは、袖口と裾の脇から後ろにかけて配された伸縮性の高いテープとギャザー。このディテールが冷気の侵入を防ぎ、過度な重ね着をせずとも快適に冬を過ごせる仕上がりとなっている。
【アイテム3】:「パフテックキルティングジャケット」6990円
細かいステッチで仕切ることで中綿の片寄りを防ぐと同時に、シンプルなデザインにアクセントを加えるのがキルティングの魅力だ。さらに、カジュアル過ぎないダイヤ型のキルティング模様は、さまざまなシーンで活躍。
適度なリラックスシルエットは性別を問わず着用でき、ユーティリティ性に優れた本アイテムならではの特長といえる。
カラーバリエーションはベージュ、ブラック、グリーンの3色展開。デザインは袖リブ仕様のコーチジャケットを彷彿とさせ、ダイヤ状のキルティングが醸し出すノスタルジックな雰囲気も肩の力を抜いた印象で実に良い仕上がりだ。
アウターとして1着で完結するデザイン性は、今期ラインアップの中でも随一の実力を誇る。
【アイテム4】:「パフテックジャケット」5990円
パフテックの強みである軽量性を活かすなら、ミドラーとして使いやすい「パフテックジャケット」が最適だ。すっきりとしたナローキルトデザインとレギュラーフィットにより、体にほど良くフィットし、アウターを重ねても収まりが良いのが特徴。
また、静電気の発生を防ぐ裏地を採用している点もうれしいポイントだ。
気になるカラーバリエーションは、清潔感と汎用性を兼ね備えたネイビーと、どんな着こなしにも馴染む定番のブラックという鉄板の2色展開。
パッカブル仕様で、収納袋は裏地にワンタッチで着脱可能。コンパクトにまとめて持ち運べるため、旅先に持参する“常備ミドラー(中間着)”としてもおすすめの一着だ。
【アイテム5】:「パフテックボリュームパーカ」1万2900円
“今冬押さえておくべき「パフテック」”のラストを飾るのは、アウトドアウェアやミリタリーウェアから着想を得た「パフテックボリュームパーカ」。
ゆったりとしたシルエットが映えるデザインで、無骨さを感じさせるシンプルな仕上がりだ。太めの糸を使用したステッチワークが大人の装いに馴染み、自然なカジュアル感を演出している。
カラーバリエーションは、ナチュラル、ダークグレー、ダークブラウンの3色展開で、どれも“こなれ感”を演出しやすいカラー。手元まですっぽり覆うゆったりとしたシルエットでざっくり羽織れるため、重ね着にも最適だ。
また、ポケットの内側片面には起毛素材を使用し、ハンドウォーマーとしても機能。肌寒い季節にうれしいディテールが備わっている。
* * *
本記事のタイトルでも触れたように、「ダウンは本当に必要なのか」。年々暖冬傾向が強まる日本列島では、秋冬のアウター選びが難しくなっている。暖かさを重視するのは当然だが、過剰な防寒がトゥーマッチになることも。その点で、時代にフィットした選択肢として浮上しているのが「パフテック」だ。
ただし、ユニクロの柳内会長は「現状のパフテックがダウンを凌駕しているとは言えない部分もある」と率直に語る。しかし一方で、「羽毛が飛び出しやすいダウンとは異なり、デザインの自由度が高い」というメリットも挙げており、その進化の可能性を示唆している。
さらに、ユニクロならではの良心的なプライス設定も見逃せない。年末年始で出費がかさむこの時期にとってうれしいポイントだ。暖冬時代における新たなパートナーとして、パフテックは果たしてその期待に応えられるか。その答えを出すのは、あなた自身である。
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<取材・文/TOMMY スタイリング/井上裕介 写真/田中利幸 取材協力/UNIQLO>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/641825/
- Source:&GP
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