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D.I.Y.で仕上げた自作のアイディアガレージ【Garage Life】

長野県伊那市で自動車販売、整備、鈑金業を営むTさん。趣味が高じて、クルマの製作をしようと考えていたときに、工場前のカーポートのモディファイを計画した。その名も「LOW LIFE GARAGE」を自分の手で完成させたのだった。

長野県 T邸

▲床には35mm厚の古材、杉が貼られたガレージ。クラシックカーにはとても似合う。6年が経過しているが雰囲気がいいスペースとなっている

▲1978年式ダットサン620、1967年式ダットサン521、1976年式VW タイプ1が収められたガレージ。いずれもクラシックカーがガレージに並ぶ

▲一番、新しいクルマでも1976年式というクラシックカーばかりが格納されたガレージ。作業途中でも止められるなど、Tさんにとってはガレージは夢のあるスペースだ

■カーポートを活用して、ガレージに大変身

山々の連峰が連なる、自然豊かな長野県伊那市。父親の代から自動車の販売、整備、鈑金作業を営むTさん。いつしかミニトラック、ダットサン620の世界にのめりこみHOTRODの世界にも興味があったため、いつしかは雑誌で見ていたようなカスタムカーを製作したいと考えていた。もちろん、鈑金塗装からカスタマイズまで自分でできるため作業を楽しむことも趣味の1つとなっていた。

今から約6年前に、クルマの製作の前にガレージを建てて作業が途中でも放置できるスペースを手に入れたいと考えていた。そこで、塗装ブースの前に建てられた4台を収めるカーポートをカスタマイズしてガレージにしようと考えた。その作業にはD.I.Yが好きな父親も巻き込んで、基本親子2人での作業となった。鉄骨で組まれたカーポートをいろいろと研究をして外壁を立ち上げる作業から開始。基本は、自宅の近所にあるホームセンターの部材を使い、D.I.Yで作業をすすめること。

▲ガレージにはWORLD WIDE製タイヤチェンジャーCTV-850なども装備。近い将来、旋盤機も導入予定という。TOOLBOXはガレージはなく、ガレージ前のショップにすべて装備されている

▲ガレージの2階のアクセスは木製の自作の階段をつくりパーツを保管するスペースを確保。格納することができるので使用しないときは折りたたむ

▲ガレージの内側は、OSB合板を貼りディスプレイができるようにモディファイ。クルマのパーツやミニカー、アパレルをうまくコーディネイトさせている

木材により柱を組んで、屋根材として施工されている屋根材、オンデュリオンをコークスクリューで留めていくことに。約10日間かけてカーポートの背面、左右両側、そして前面に施工。高い作業は脚立と仕事で使うフォク―リフトを使っての施工。あらかじめグリーンに塗装された軽量な屋根材をコークスクリューで留めていく作業となった。壁面が完成すると、床材の作業になる。

もともと土であったスペースに約55㎡のに35mm厚の古材を敷き詰めることになるが下地処理にも時間を費やした。一般的な防水シートを貼りその上に砂利を敷き詰めフラットにしながら板を固定するための筋交い用の角材を這わせて通信販売で購入した古材をコースレッドで留めていく。

この水平を出す作業に苦心して約1か月の歳月が費やされた。その後、鉄骨で組んだ型枠に木材のガレージドアを製作。クルマのウインチ用のモーターを用いてガレージドアが持ち上がるように設計。これは普段からクルマを運ぶときに使用しているトラックについているウインチからの応用という。そのために、鉄骨の躯体にはガイドも溶接してすんなりガレージドアが上がるように工夫している。唯一の難点は自動でモーターが停まらないため自分でスイッチをオフにすること。あくまでも自己責任における自分のためのガレージドアである。

■「自分の手で満足したガレージを建てる」が実現したクルマの保管スペース

▲ダットサン620には、なんとリアのフレームを改造してフォルクスワーゲンのエンジンが搭載されているカスタムカー。まさに既成概念にこだわらないのがカスタマイズの自由なところ

▲ガレージの裏側を拝見するとブロックが詰まれ、カーポート時代の面影が残っている。ブロックを活かして木製の柱を立ててモディファイさせた

▲カーポートの支柱を鉄骨で強化することで壁面を造作していったガレージ。高所の作業は脚立とフォークリフトを使った難儀した作業

さてガレージが完成してオンデュリンの裏側が黒いため暗かったのでのちにOSB鋼板を貼って壁面を造作するなどガレージは年月とともに進化を遂げている。中2階にはクルマのパーツを保管するための収納スペースがあり木造の階段により行き来ができるなども工夫している。親子でクルマに携わっている仕事をしていることから、溶接技術などの特殊な作業ができるもTさんの強み。

基本はホームセンターで購入している部材と、電動ドリル、電動ノコギリ、コークスクューで完成させたガレージ。このスペースはTさんにとっては自分で自作した満足感と、これらの夢、カスタムカーを産みだす場所となった。今後の夢を聞くと、まずはダットサン620にVWエンジンを積んだカスタムカーを完成させること。そしてVW をベースにしたVOLKS RODの製作をしたいとのこと。クルマのカスタマイズの世界の固定概念を壊すクルマを生み出すのが夢と語る。このガレージから生まれるカスタムカーがデビューするのを楽しみに待っていたい。

▲木製のフレームに2×4材を組んだガレージシャッター。塗料を塗ることで明るいおしゃれなガレージドアを演出している

▲ハイトのあるVW タイプⅡはガレージの外にて保管。カーポートの高さ3600mmに対して半分の1800mmをガレージの開口としていることが分かる。ガレージのサイドに付けられたドアは、人工芝を貼るなど目立たないように。ガレージの前にもクルマが出入りするためのスロープが設けられた

▲ガレージのシャッターは鉄骨で枠組みをつくり2×4との組み合わせ。モーターにはウインチを活用。自動では止まらないので、必ずSTOPを押すことが重要だ

▲ガレージに採用されたライトはホームセンターで販売している工事用のライトを加工。ほか、スポットライトも用意している

▲ガレージに設けられた窓にはセキュリティを兼ねてアイアンで造作した格子を設置。これもTさんのアイディア

▲ショーケースにディスプレイされたのはラットフィンクのソフビやJADTOYSのローダウンされたミニカー。そして壁面にはVWやミニトラックのホットウィールと徹底したディスプレイ

▲内側に貼られたOSB鋼板は柱のブレスをうまく避けて加工。コースレッドを使って固定されている。電動ドライバーがこのガレージには必需品

▲古材を使うことで、板が大きく反ったりしないように考えたものの湿気などの収縮があり多少隙間が空くことも。床を貼る作業が一番苦労したそうだ

■OWNER'S CHECK

▼一番気にいっているところは?
自分で頑張ってはった床は雰囲気がよくて想像どうり。またアメリカのバックヤードのような壁面のディスプレイにも満足している

▼ちょっと失敗したところは?
シャッターに設置した窓はなくてもOKだったかもしれません

▼次の夢はなんですか?
ダットサン620を仕上げて、カスタムカーが集まるショーにデビューさせたいと考えています

PLANNING DATA
所在地:長野県伊那市
家族:1人
敷地面積:約200坪
ガレージ面積:約55㎡
竣工:2017年4月
外装仕上げ:オンデュリン
内装仕上げ: OSB合板
愛車:
1978年式ダットサン620
1967年式ダットサン521
1976年式VW タイプ1

(『Garage Life』vol.99の記事を元に構成しています)

<取材・文/石原淳、写真/石河正武>

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