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散歩ついでにスマホ以上の写真をサクッと撮る。FUJIFILM「X-M5」は日常を充実させるカメラだ

【趣味カメラの世界 #15】

前回の記事では、軽量コンパクトなボディと本格的な画質を両立したFUJIFILM(富士フイルム)「X-M5」を、主に街中のスナップ撮影で試しました。では、ポートレート撮影や動画機能ではどんな実力を発揮するのか?

今回は、そのあたりにフォーカスして、さらに深掘り。レビューしてくれるのは、本連載ではおなじみの田中さんです。

監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

*  *  *

「X-M5」(13万6400円/ボディのみ)は、スナップ撮影にぴったりな軽快さと高画質を兼ね備えたカメラ。街を歩きながら気軽に撮るのに最高な相棒ですが、ふと思いました。

「これ、スナップだけじゃなくてポートレートもいい感じに撮れるんじゃない?」

というわけで、今回は「XF27mmF2.8 R WR」(6万2700円)を装着し、ポートレート撮影での使い勝手をチェック。スナップシューターとしての顔だけでなく、人物撮影でもその実力を発揮できるのか? じっくり試してみることにしました。

■小型軽量ボディとレンズだから、歩きながらの撮影もなんのその

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシックネガ

それでは、さっそくポートレートの作例を紹介します。

「XF27mmF2.8 R WR」は単焦点レンズだけど、めちゃくちゃボケるわけではなく、ボケ具合はちょうどいい感じ。背景はふわっと溶けつつも、街の雰囲気がしっかり残るので、スナップ感のあるポートレートにぴったりです。

それに、この組み合わせはコンパクトなのがいい。でっかいカメラを構えていると「なに撮ってるんだろう…?」って周りの人に見られることもあるけど、「X-M5」とこのレンズなら、さりげなく撮影できるのがうれしい。こういう街中での撮影では、「悪目立ちしない」って意外と大事なポイントなんですよね。

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO320、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

ピントをどこに合わせるかで、写真の印象ってガラッと変わるんですよね。 たとえば、背景のボケを活かしたいなら、グッと寄って撮ると、ちょうどいい具合にふわっとボケてくれる。 スマホと比べて、ミラーレス一眼ならではの自然なボケが、被写体をスッと際立たせてくれるのが気持ちいいんです。

「X-M5」は、フォーカスのレスポンスも抜群! 狙ったところにスッとピントが合うと、「おっ、決まった!」って気持ちになります。AFの速度が速いと、撮影のテンポもどんどん良くなるので、スナップポートレートにはまさにうってつけ!

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO320、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO320、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

41mm(35mm判換算)の画角は、いわゆる標準レンズとされる50mmよりちょっと広め。だから、スナップ寄りのポートレートにぴったりだと思います。

人物だけを切り取るんじゃなくて、その周りの街並みや雰囲気も一緒に収めて、その場の空気感を感じられるような一枚を撮るのが、このレンズの得意技。「X-M5」と組み合わせることで、街角の風景に溶け込むような自然なポートレートが撮れるんです。

▲ シャッタースピード1/400秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:REALA ACE

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:REALA ACE

逆光で撮ると、どうしてもコントラストがちょっと低くなって、ふわっと柔らかい雰囲気になりますよね。

むしろ、フレアが写真にちょっとした味を加えて、表現の一部として使いたくなるくらい。光が溶け込んだような、幻想的な雰囲気を作り出してくれるから、思わずカメラを向けたくなっちゃう瞬間です。

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO200、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

▲ シャッタースピード1/400秒、F3.6、ISO400、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

▲ シャッタースピード1/800秒、F2.8、ISO800、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシックネガ

1〜2時間ほど、プラプラと歩きながら撮影しましたが、カメラが軽いので、全然疲れません。 露出はカメラにおまかせ、フィルムシミュレーションを使えば、パッと撮るだけでいい感じの写真が仕上がる。 まるでスマホ感覚でサクサク撮影できちゃいます。

でも、それだけ楽して撮っても、仕上がりはやっぱり富士フイルム。 ちゃんと高画質で、スマホの写真とはひと味違うんですよね。画質が違うだけで、撮る楽しさまで変わってくるんだから、おもしろいもんです。

■動画機能の実力は? 実際に使ってみた感想

「X-M5」は、Vlogや動画撮影でも注目されていますが、実際に撮影してみると、スチール撮影でも手軽に高画質な写真が撮れるカメラだと実感しました。 スナップでもポートレートでも、しっかり頼れる相棒になってくれます。

とはいえ、やっぱり動画機能も気になるところ。 というわけで、ちょっとだけ試してみました! そのあたりをサクッと紹介していきます。

今っぽい機能として、9:16の縦構図で撮れるショート動画モードがあったので試してみました。 横で撮ってから後でトリミングするのとは違って、撮影時点でしっかり構図を決められるのが便利! なんというか、「最初から縦で撮れる安心感」があるんですよね。

AFもかなり優秀で、人物をしっかり追いかけてくれる。 しかも、後ろ姿でも意外とピントが合ってる場面が多くてビックリしました。人物の動きに対する追従性が思った以上にしっかりしてる。 これなら、歩いているシーンとかも安心して撮れそうです。

スチール撮影ではそこまで気にならなかったのですが、動画撮影になるとボディ内手ブレ補正がないのが、ちょっと気になりました。とはいえ、電子式の手ブレ補正はしっかり機能してくれるので、このコンパクトなボディにそこまで求めるのは、ちょっとぜいたくかもしれません。

ただ、電子式の手ブレ補正を使うと画角がクロップされるので、どっちを取るかは悩ましいところ。手ブレ補正が内蔵されたレンズを選ぶという手もあるので、状況に応じてうまく使い分けるのが良さそうです。

■価格と性能のベストバランス。「X-M5」は、日常の相棒としてまさに理想的な一台だ

「X-M5」は、その小型軽量なボディと高画質な描写力で、日常の撮影をもっと楽しく、もっと手軽にしてくれるカメラだと感じました。 「XF27mmF2.8 R WR」との組み合わせなら、街歩きやスナップ的なポートレート撮影にもぴったり。自然なボケ感とフィルムシミュレーションの豊かさで、なんでもない一枚がグッと雰囲気のある写真になるんです。

動画機能もバッチリ搭載しつつ、クラシカルな操作感と富士フイルムらしい色彩表現がしっかり活きているのも魅力的。 「Xシリーズの大きなカメラを持ってるけど、もうちょっと気軽に撮りたいな〜」なんて人にも、サブ機としてちょうど良さそうです。

「X-M5」は、日常の何気ない瞬間から、ここぞという特別なシーンまで、どこにでも連れていきたくなる一台。 これが手元にあれば、撮るのがもっと楽しくなること間違いなしです!

>> FUJIFILM「X-M5」

>> 趣味カメラの世界

<取材・文/田中利幸 モデル/マナ(@_97ma09) 取材協力/富士フイルムイメージングシステムズ>

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