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フォルクスワーゲンの新型「パサート」はクルマにとって大事な部分がすべて高得点のステーションワゴン

フォルクスワーゲン・ジャパンが新型「フォルクスワーゲン・パサート」を2024年11月25日に発売しました。25年1月の東京オートサロンで、新しくなったゴルフGTIやゴルフRを発表したばかりのVWですが、パサートにはまた別の魅力がたっぷり詰まっていると感じられました。

■ボディスタイルはステーションワゴンのみ

新型パサートの最大の特徴は、ボディスタイルがステーションワゴンのみとなったこと。1973年の初代以来続いてきたセダンはついに廃止となりました。

▲欧州市場のトレンドでワゴンボディ専用モデルとなった

たしかに昨今のSUVブームで、市場では、ステーションワゴンですら分が悪いのが現状。でも、乗ってみると、新しいパサートは、大変良い出来で、クルマ好きなら、一瞬で虜になってしまいそうです。

▲特徴的な発光パターンで後続車からの視認性を高めたLEDテールランプ

どこがいいかというと、パワーと操縦性と乗り心地と室内空間という、クルマにとって大事な部分のすべてにおいて高得点であることです。

新型パサートの特徴を、ここで、列記してみましょう。

・ワゴンボディ専用モデル
・シャシーはMQB evo
・サスペンションシステムに「DCC Pro」採用
・パワープラントはマイルドハイブリッド、ディーゼル、プラグインハイブリッドの3本立て
・車体はやや大型化
・「パークアシストプラス」の新採用など駐車支援システム充実
・「Elegance Basic」「Elegance」「R-Line」の3グレード(「Basic」は「eTSI」にのみ設定)

▲ボディ面のつくりはていねいで質感が高い

ボディ寸法は、全長4915mmで、ホイールベースが2840mm。余裕あるサイズです。ルーフが長くて、スタイリッシュであり、同時に荷室容量は690リッターもあります。全高が1500mmに抑えられているので、立体式駐車場にも入れやすいというメリットもあります。

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▲最大照射距離を500mに伸ばしたマトリックスタイプの「IQ.LIGHT」装備

▲SUVよりじつは使い勝手のよいステーションワゴンボディ

■高速でも静かにぐんぐん加速!フォルクスワーゲンの“ファーストクラス”

▲右は同時に発売された「R-Line(アールライン)」

▲1.5eTSIをベースに開発されたプラグインハイブリッドのeHybrid

今回乗ったのは「eHybrid(イーハイブリッド)エレガンス」。2グレードあるプラグインハイブリッドのうち、操縦性が快適志向の仕様です。静かで力強く、走りだしてすぐに好きになれました。

エンジンは1497cc4気筒にインタークーラー付きターボチャージャーを装着し、110kWの最高出力と250Nmの最大トルクを発生します。これに85kWと330Nmのバッテリー駆動のモーターが加わります。

▲15インチのモニターをつかうインフォテイメントシステム「Discover Pro Max」装備

▲すべりにくく座り心地も良いシート

▲足元の広々感は特筆もの

EV航続距離は142kmということで、実際、私が乗ったとき、普通に走っているぶんにはエンジンはお休みしたままでした。ピュアEV経験者が、充電施設を探す必要がないとプラグインハイブリッドに注目しているようで、その人たちも違和感なく乗れる静粛性とパワー感です。

高速道路でもぐんぐん、静かに加速していきます。ではエンジンが動くとどんなだろうと、あえて強めにアクセルペダルを踏み込んでみて、エンジンを始動させました。「ブースト」モードというモーターとエンジンを使う全力加速モードもあります。それでもエンジン音は静かで、印象はほとんど変わりません。ちなみに、走行中にエンジンを回してバッテリーへの給電を行う、いわゆるチャージモードは備わっていません。

このエンジン、SUV「ティグアン」でも体験しましたが、よく回ってトルクが十分あって、大変良いフィーリングを持っています。パサートも同じエンジンなので、やはりティグアンと同様のマイルドハイブリッド「eTSI」というグレードもきっと良さそうだなあと思いました。

▲ドアを開けると傘が取り出せる

▲荷室容量は690リッターで最大は1920リッターに達する

サスペンションシステムには、この「エレガンス」ではオプションとなる「DCC Pro」が組み込まれていました。いわゆる伸び側と縮み側、個別に電子制御の調節用バルブが設けられて、乗り心地とハンドリングともに高い水準の達成を狙ったものです。往々にして”縮み側はいいけれど、伸び側がよくないから、カーブなどでは乗り心地に悪影響が出るね”などと、クルマの評価で言われたりする部分ですが、パサートはともに高得点でした。

「フォルクスワーゲンのファーストクラス」というのが、カタログに書かれているコピーです。広さと快適性でもって、納得いくように思えました。あとは内装のテイストとして、いまはシート表皮の素材は違ってもカラーはブラックのみなので、明るい色などが設定されると、より「ファーストクラス」のリアリティが増すかもしれません。

燃費は、マイルドハイブリッド「eTSI」がリッター17.4km、2リッターディーゼルに4輪駆動システムを組み合わせた「TDI 4MOTION」が同16.4km、プラグインハイブリッド「eHybrid」が同18.0km(すべてWLTCモード)とされています。

価格は「eTSI」が524万8000円から、「TDI 4MOTION」が622万4000円から、「eHybrid」が655万9000円(今回のモデル)から。「eHybrid」には、政府から55万円の助成金が出るので(2025年1月時点)、「TDI 4MOTION」より安くなります。

【Specifications】
Volkswagen Passat eHybrid Elegance
全長×全幅×全高:4915×1850×1500mm
ホイールベース:2840mm
エンジン:1497cc4気筒ガソリンエンジン+電気モーター
駆動:前輪駆動
変速:6段デュアルクラッチ
最高出力:110kW(エンジン)+85kW(モータ-)
最大トルク:250Nm(エンジン)+330Nm(モーター)
バッテリー容量: 25.7kWh
燃費:18.0km@L

>> フォルクスワーゲン・ジャパン

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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