サイトアイコン IT NEWS

黒×白のインベイジョンストライプ塗装とデカール貼り【達人のプラモ術<フェアリーガネット>】

【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 フェアリーガネット AS.1/AS.4」
04/06

今回も機体の塗装を進めます。機体はペンギンカラー(ダックエッググリーン×エクストラダークシーグレー)の迷彩が入ると一気に英国機らしさがUP! さらに今回はイギリス海軍航空隊 第847スコードロンのインベイジョンストライプ(※1)が施された機体をチョイス。英国機…ガネットには白×黒のストライプが良く似合います。

(※1)「インベイジョン・ストライプ(Invasion Stripes)」
第二次大戦のノルマンディー侵攻作戦用の際、連合国側の航空機が、敵味方識別の為に主翼と胴体に施した白と黒のストライプ塗装。第二次大戦後は廃止されたが。1955年のキプロス紛争の際に参加したイギリス軍機に再び施されている。

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeチャンネル
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■ペンギンカラーの塗装

さて今回ガネットは英国機好きにはお馴染みの2色迷彩、言うところのペンギンカラーで塗装を進めていきます。

前回、ダックエッググリーンを塗装した機体の上面と主翼上面を、エクストラMr.カラーの333番エクストラダークシーグレーで塗装。Mr.カラーの333番を使用していますが、個人的な好みから3パーセント程、Mr.カラー色の素=シアン(クリアーブルー)を加えることで、グレーにほんの少し青味を持たせています。英国機のエクストラダークシーグレーは半光沢ということもあり、晴天の下を飛んでいると空の青が写り込んで、かなり青味の強いグレーに見えるんですね。

▲シアンを混色したエクストラダークシーグレーで機体上面を塗装。シェードの黒を塗り潰さないように、色を薄く塗り重ねていく。塗るというよりも色を線で描いていくイメージ

▲エクストラダークシーグレーによる塗装がほぼ完了

 

■意外と大変、インベイジョンストライプの塗装

機体の基本塗装の後、胴体と主翼にインベイジョンストライプを塗装していきます。

付属の塗装図には1/48スケールでの白と黒のストライプの幅が記載されており、ありがたいのですが、マスキングは結構大変です。特に胴体は曲面となるので、6.4mmと指定されている黒の線2本を平行に塗り分けるのが思いのほか大変なんです。

作例の塗装は、ノギスで平行を出したつもりでしたが、微妙にズレてしまったので、白と黒の線が平行に、また同じ幅になるように何度か修正を加えています。

さらに、ガネットのインベイジョンストライプはコードレター(機体番号)を避けて入れられているので、その部分をマスキングしておく必要があります。

▲胴体のストライプはコードレターとラウンデル(国籍マーク)を避けて描かれているで、マスキングテープにデカールを写し取ったものを貼り込んだ後の塗装となる

▲胴体のストライプは、まず白を32mm幅で塗装。乾燥後に6.4mm幅にカットしたテープで白部分をマスキングして黒を塗装する。しかし垂直尾翼付け根から胴体にかけては微妙な曲線で構成されていて、どうしてもマスキングテープが歪むため、線の幅を正確にかつ平行を出すのが難しい

▲マスキングでストライプの平行を出すのに苦労しつつも、黒を塗装。この際も、塗り分けの段差の原因となるので塗装が厚塗りならないよう注意すること

▲マスキングテープを剥がして、インベイジョンストライプの塗り分け完成!と言いたいところだが、白ラインと黒ラインが微妙に平行になっていないので修正が必要

 

■あると便利なデジタルノギス

今回、マスキングテープの切り出しや曲面への貼り込みに際して重宝したのがデジタルノギスです。曲面でも幅を正確に測れるので、今回のような作業にはオススメです。ホビー用ならば価格も1000円前後のもので充分です。

▲展開状態の主翼を塗装。胴体と同様に白→マスキング→黒の順でストライプを描いていく

▲曲面にマスキングテープを貼る際に、目測ではどうしても平行が出しにくい。デジタルノギスを使えば正確に作業が進められる

▲だいぶ以前に通販サイトで購入したままツールの中で埃をかぶっていたデジタルノギス

▲インベイジョンストライプの塗装が完了した展開状態の主翼上面

▲主翼下面の中央が切れているのはコードレーターが入るため。このあと折りたたんだ状態の主翼にも同じようにストライプを塗装していく

▲修正塗装も済ませて、胴体と展開状態の主翼のインベイジョンストライプの塗装が完了

▲伸ばした主翼は、インベイジョンストライプの塗装した後、ファウラーフラップを下げた状態で取り付けている

▲折りたたみ状態の主翼パーツのマスキングテープを剥がしていく。塗料が厚塗りだと塗り分け部分に段差がつき、またテープをはがす際にエッジが欠けることがあるので要注意

▲折りたたみ状態の主翼も同様にインベイジョンストライプを入れていく。主翼が2組で、当然ながら作業量2倍となるのでストライプの塗装だけで半日費やしている

 

■お楽しみのデカールを貼り

個人的な見解ですが、模型製作の作業でいちばん好きなのがデカ―ル貼りです。国籍マークやコードレター、ノーズアートといったマーキングが機体に貼られると、一気に魅力倍増、カッコよさ倍増で完成へのモチベーションも大幅アップとなります。

ガネットのデカールは、国籍マークと、胴体と主翼に入れられた大判のコードレターと、機体全体に貼る必要がある細かなコーションマーク(注意書き)、合わせ約120枚といったところです。

同世代の航空自衛隊のF-4EJだとコーションマークだけで300枚くらいありますから、まぁ少ない方でしょう。

キット付属のデカールは発色が良く、ややフィルムが薄くてストライプなどがヨレやすいため気を遣う必要がありますが、基本的には貼りやすく、モールドの凹凸にもよく馴染みます。

▲キットは3つのスコードロンデカールが付属。それとは別に共通のコーションマークを約100枚貼っていく必要がある

 

■主翼下面のコードレターで問題発生!

いやー、「イギリス機のラウンデルって、なんてカッコいいんだろ。インベイジョンストライプとの相性も抜群にいいんだよなー」などどテンション上げつつ、デカールを貼り込んでいたワケですが、主翼下面に入る英国機特有の大判のコードレター(機体番号)でムムムな問題が生じました。

コードレターは主翼下面中央に左右いっぱい(折りたたみ部分)のサイズがあるのですが、インストの指示の位置に貼り込んだところ、展開状態の主翼では、後付けするパイロンで文字の一部が2mmほど隠れてしまうことが発覚。しかしだからといってコードレター全体を外翼側にずらすと折りたたみ断面に文字がかかってしまうため、これはこれで位置が不自然になってしまいます。原因はコードレーターがややオーバーサイズだからだと思います。

修正は困難なのですが、幸いなことに翼下面で目立たない、折りたたんだ状態ではパイロンが内翼側に位置するのでコードレターと干渉しない。ならばこのままで、完成優先ポジティブシンキングでスルーすることにしました。

▲デカールは胴体のコードレターから貼っていく。フィルムは薄いが貼りやすく、馴染みも良い

▲インベイジョンストライプとラウンデル(国籍マーク)は相性がいい、英国機独特のレタリングの機体番号も映える

▲フラップ取り付け後にインベイジョンストライプの塗り忘れに気が付く。すでにデカールを貼った後だったのでギリギリのマスキングでリカバリー塗装

▲主翼下面、中央に大きくコードレターのデカールを貼った状態。左右の幅が折りたたみラインギリギリまであるのが分かる。この時点では翼下のパイロンを取り付けていないため、オーバーサイズだとは気が付かなかった。英国機は翼下面のコードレターが左右でそれぞれ逆向きになっているのが面白い

▲主脚と脚カバー、翼下のパイロンは位置関係がかなりタイトで、コードレターの5の一部が明らかに隠れてしまっている。翼をたたんだ状態だとパイロンは内翼側に残るので、この問題は生じない

▲爆弾層内はキットの指示に沿ってジンクロ系グリーンで塗装していたが、実機写真を参考にミディアムグレーに塗り直している。主脚はまだ仮付けの状態

*  *  *

というワケで今回はここまで。塗装もほぼ完了してデカールも貼り込んで、一気に完成が見えてきた…ような気がしますが、まだまだ工作はテンコ盛りで残っています。次回は脚まわりの製作、そして、キャノピーの製作などを進めます。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

【関連記事】

◆複葉機を最新キットで製作!目標は「張り線をビシッとキメる!」【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドッグMkⅡ>】
◆第二次大戦期に活躍したイタリア空軍の傑作戦闘機を作る!【達人のプラモ術<マッキ MC.202フォルゴーレ>】
◆2023年最も話題の最新キット、タミヤ「F-35B ライトニングII」を製作!【達人のプラモ術<F-35B ライトニングII>】

モバイルバージョンを終了