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ドアが5枚で話題沸騰! ジムニー専門店「アピオ」が手掛ける「ジムニー ノマド」の“日常を旅する”魅力

「なんでドアが5枚になっただけで話題なの?」と門外漢にはさっぱり「???」の「ジムニー ノマド」。予約開始からわずか4日で受注停止となり「現物を目にする機会もない」と噂のこの一台をジムニー専門店「アピオ」で取材したら、とんでもない伏兵が!

■「ジムニー ノマド」が納車されたらしい!

本記事をお読みの皆さんならたぶん、いや絶対に気になっているだろう日本が誇る世界の名車、それが「スズキ ジムニー」だ。1970年の誕生以来連綿と歴史を紡ぎ、着実な進化を続けてきたこのジムニーに55年目の大進化が訪れた。そう「ドアが5枚で「ジムニー ノマド」!」の誕生である。

窓は5枚である。決してNO窓(=ノーマド)ではない…。

さて、インド生産の輸入車である「ジムニー ノマド」の当初の月産は1200台とされたが、早々に受注を停止。受注再開時期は未定とされている。当面はジムニー3ドアの1500㏄モデル「ジムニー シエラ」のバックオーダーユーザーを優先に「ジムニー ノマド」へのオーダー変更に対応するとのことなので、実際のところ、今からオーダーを入れていつ納車されるのかは誰も知らない(スズキも判らない!?)状況である。

▲「ジムニーノマド」発表会での鈴木俊宏社長

従って、ショーやイベント以外に「ジムニー ノマド」の現車に出合えることもほぼない状況だ。

そんな中、「ジムニー専門店のアピオにジムニー ノマドが納車され、カスタムした車両が取材できそうだ!」と編集部に吉報が寄せられた。

■アピオの河野社長は「ジムニー ノマド」をどう読む?

「日常を旅する」のキャッチフレーズでアピオジムニーを送り出し、現在のジムニー人気の一翼を担ったのが神奈川県綾瀬市を拠点とするアピオだ。

アピオはもともとレース志向の強いカスタムパーツブランドだったが、2005年に河野仁社長が就任して以降、「日常を旅する道具」としてのジムニー提案にシフト。本家「スズキ ジムニー」とは異なる「アピオジムニー」を提案してきた。アウトドア好き、キャンプ好きにはお馴染みと言っていいブランドだろう。

▲満面の笑み。アピオの河野仁社長

「おそらくこれまでは『5ドアって本当に売れるのか?』といった感じだったのでしょう。ジムニーは3ドアが完成形だと思いますが、使用目的が明確な人向けでもありました。林道を走りたい、撮影や釣りに行きたい、カップルで楽しみたい。でも家族+道具、家族四人になるとかなりしんどい。そうしたニーズにこれ以上なくハマるのが『ジムニー ノマド』」と河野さん。

なるほど「ジムニー ノマド」はインドからの輸入車ということからも、スズキは日本専売車として想定しなかったと読める。日本市場だけでは足りない、ということだろう。ただし、根強いニーズはある。まさに時は今。ただし、あまりにも「今」が的中し過ぎて受注停止となったが…。

「家族が増えたのでジムニーより大型の四駆車へ乗り換える方がいます。すると積載など使い勝手は増すのですが、車体が大きすぎて今まで行けた林道や釣りのポイントまで入れないこともあるようですので、そういった点でも、横幅そのままで5ドア化したのは賢明です」

■アピオの「ジムニー ノマド」はどう違う?

印象的な「タクティカルフロントグリル」、ちょいリフトアップされたスタイリング、トーヨータイヤの「OPEN COUNTRY」ほかアピオを印象付ける要素はいくつもあるが、初納車「ジムニー ノマド」にはどのような手が加えられたのだろうか。

「家族で乗るシーンが想定されますので、乗りやすさの向上を目指しました。具体的には“車高を上げずに乗り味を上げる”アピオ独自の「ゼロライズ」。これは大まかに言うとサスの動きをよりよくする、精緻なものにする内容です。また顔つきを決める「タクティカルフロントグリル」と、スチールホイールを思わせるデザインのアルミホイール「WILDBOAR D」にルーフラックも加えてアピオらしく、しかし派手過ぎることなく仕上げました。現在のところコンプリートカーの名称は未定ですが、原点回帰的に「TS-0」という案もあります」

「ジムニー ノマド」は、“ノマドでなければならない人”が乗るクルマだ。

ジムニーやジムニーシエラより向上した車内のゆとりと積載。ホイールベースが延長されたことによる乗り心地の良さはいずれも「ジムニーは欲しいけど利用実態に合わない」と諦めていた人(特に家族)の最適解になる。だからこその“さりげないカスタム”なのだろう。

■思わぬ伏兵!? アピオロードスター誕生!

今回は「アピオジムニー ノマド」の取材で伺ったのだが、撮影場所でアレコレしていると、ブロロとエグゾーストノートが近づいてくる。目を向ければそれはマツダ「ロードスター」なのだが…近づいてくる。止まる。あれドアにアピオのマークが「?」の取材陣に河野さんがフフフと笑う。

「実はロードスターもはじめました!」

ジムニーのアピオが「冷やし中華はじめました」よろしく「ロードスターはじめました」とはいこれいかに!

「コンプリートカーではなくてホイールです。ジムニーパーツNo.1ヒットの「WILDBOAR」をロードスター用に開発したのです」

峠を行くイメージの「ロードスター」がジムニーのホイールとはまるでビジネスパーソンがマウンテンブーツを履くようだが…いや、しかし妙に似合っている。思えば50~60年代のレーシングカーの足元はこうした真っ黒いスチールホイールだったではないか!

「実はアピオジムニーのユーザーにはロードスターとの2台所有の方や、バイク乗りだった人もいます。しかしバイクはヘルメットやライダーズウエアなど乗る準備が必要ですし、特に都市部では二輪駐輪場が見つけづらいこともあって、ロードスターへの乗り換えも多いようなのです」

そんな背景から生まれたのがロードスター用「WILDBOAR」。むろんジムニー、ロードスターともに“日本が生んだ世界の名車”であり、アピオがテーマとする“日常を旅する”ことが似合うクルマでもある。

読書や音楽鑑賞、旅行、スポーツなどと並んでかつてはドライブが人気の趣味とされたが、昨今、街には箱バンばかりが走っていて、趣味性を感じることが少なくなってしまった。

「アピオはドライブや旅という“シーンをクリエイトする道具としてのクルマ”を提案したい。その道具として適うのがジムニーでありロードスターだと思います。この可能性を拡張する意味でも「ジムニーノマド」登場のインパクトはとても大きいと感じています」。

実に絵になるクルマである。それがスズキ、マツダという国産車である事実をわれわれは誇っていい。さあ旅を、ドライブを取り戻そう!『&GP』読者のみなさんにとっての最適解は「ジムニー ノマド」か「ロードスター」か、あるいは「アピオ」だろうか?

【店舗紹介】
ジムニー専門店アピオ
住所:神奈川県綾瀬市吉岡651
電話番号:0467-79-3732
営業時間:10~18時
定休日:隔週火曜日、毎週水曜、祝日

<取材・文/前田賢紀>

前田賢紀|モノ情報誌『モノ・マガジン』元編集長の経験を活かし、知られざる傑作品を紹介すべく、フリー編集者として活動。好きな乗り物はオートバイ。好きなバンドはYMO。好きな飲み物はビール

 

 

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