【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 ルノー5ターボ ラリー仕様」
01/04
さて今回からは、今年2月に再販されたタミヤ「1/24 ルノー5(サンク)ターボ ラリー仕様」を製作します。
初回発売は1982年! 当時はモーターライズ仕様で走行可能なモデルでした。久しぶりの再販(記憶によれば前回の販売1999年だったかな)ということで、現在は先に発売されたノーマル仕様と併せて人気を博しているカーモデルです。
ルノー5の実車はもともとFFですが、3ドアハッチバックの後席を取り払ったスペースにエンジンを搭載し、MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)に変更。WRCで勝つことを目標とした、ルノー自身による魔改造で作り上げられたラリーカーです。(全4回の1回目)
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■1980年代のラリーシーンで活躍したフレンチ・ロケット!
大衆車として作られたFFの5(サンク)をベースに、世界ラリー選手権(WRC)用マシンとして開発されたのがサンクターボです。
アルピーヌのエンジンをベースに開発し、ギャレット製インタークーラー付ターボチャージャーを装備した水冷式直列4気筒1397cc OHVユニットを、5速ミッションと共に本来後部座席があった位置にミッドシップマウント。最高出力160ps/6000rpm、最大トルク22.5kgm/3250rpmを発揮しました。
サスペンションの強化版ダブルウィッシュボーン4輪独立など、当時ルノーがF-1で培ったノウハウも惜しみなくつぎ込まれています。
3ドアハッチバックボディは、ルーフやドア、ボンネットなどが軽量化のためにグラスファイバーやアルミとなっており、車重は1トン以下。リアの大型オーバーフェンダーや、バンパー一体型のエアダムスカート、ルーフ後端にはスポイラーが装着されるなどWRCで勝つためのマシンに仕上げられていました。
ワークスマシンは1981年のWRC開幕戦、モンテカルロラリーでターボ車として初のWRC優勝車となり、翌年の1982年ツール・ド・コルスでも優勝したことでその性能の高さを証明しました。さらにグループB時代となった1985年のツール・ド・コルス、1986年のポルトガルでもそれぞれ勝利。合計4勝を挙げ、以降のさまざまなラリーでも上位に食い込む走りで、ラリー史にその名を残しました。
■当時、大人気ないほど速かったルノー5ターボは憧れだった
1981年に発表されたルノー5ターボ、フロント周りだけ見ると「なに軽自動車なの?」的なおとなしいイメージですが、リアから見ると左右に大きく張り出した大型のオーバーフェンダーやバンパー一体型のエアダムスカート、ルーフ後端にはスポイラー装備とラリー仕様そのままの凶暴…、もとい迫力あるフォルムが堪りません。
中身も、ベースとなったルノー5とは別物で、本来の後部座席部分に1.4リッター直列4気筒エンジンをミッドシップで搭載。ターボチャージャーと電子制御燃料噴射装置を組み合わせて160馬力を発揮し、最高速度は200km/h、0-400m加速は15秒台を誇ります。足回りはダブルウィッシュボーン4輪独立、ブレーキは前後ともベンチレーテッドディスクで抜かりなし!といった仕様でした。
小型軽量ボディに排気量1397ccのターボエンジンを搭載したルノー5ターボは当時、個人的にかなり気に入っていたクルマだったので、一時は購入も考えたことがあるんですが、フランス車乗りの知人から「ともかく壊れるよ、1年のうち6カ月は工場入りの覚悟が必要。日本で足代わりに乗るのは無理」と言われて諦めました。
■キット解説
先にも書きましたが、久しぶりの再販となったルノー5(サンク)ターボ ラリー仕様です。もともとはモーターライズ仕様でしたが、その後ディスプレイモデルに変更されたモデルとなっており、ラリー仕様ということもあってドライバーとペースノートを読むコドライバー2体のフィギュアが付属しています。
1970~80年代当時のカーモデルはモーターで走行するものが多かったんですが、大抵のキットはフィギュアが付属していませんでした。そうした中にあって「走るクルマにドライバーが乗っていないのはおかしい」ということで、タミヤはモーターライズ仕様のカーモデルにドライバーのフィギュアを乗せていたんですね、流石です。
フィギュアを乗せちゃうとせっかくのインテリアが見えなくなってしまうという声もありますが、乗せる乗せないの選択肢があるのは良いと思います。
ボディはオーバーフェンダーなども一体成型ですが、ルノー5ターボ ラリー仕様のボリューム感あるフォルムを特徴を良くとらえています。元がモーターライズなのでエンジンはシャシーと一体成型で、下回りだけモールドで再現。コクピットもシンプルなパーツ構成ですが、組み上げればちゃんとそれらしく見えるのはいかにもタミヤらしいところです。
唯一気になったのはシートがバケットシートではなく、ノーマルサンクのパーツのままとなっている点です。まぁフィギュアを乗せてしまえば、見えないのでほんとんど気にならないですけどね。
■製作スタート!
今回もキットの素性を活かしてストレートに製作を進めます。
黄色と白、そして黒という、カーモデルの塗装としては、ちょっとばかり面倒くさい 手間がかかるワークスカラーの塗り分け。そして派手さがうれしいデカールの貼り方などにポイントを置いて解説していきます。
■まずはパーティングラインをチェック
43年前に発売されたキットということもあり、状態は良いのですが、ボディの表面にヒケとパーティングラインが目立ちます。研磨処理には、発売されたばかりのタミヤ製布ヤスリを使用して600番→1500番で表面を整えていきます。
この布ヤスリ、以前から達人も使用していたコバックスのものと同じで、柔軟性があり、カーモデルのボディなど複雑な三次曲面にも使いやすい。深いスクラッチ傷が付きにくく、ヘタリにくく耐久性も高いといった特徴があるので、お勧めです。
■お次はボディの塗装!
サーフエイサーを使っての下地処理が完了したら、いよいよ塗装に入ります。ワークスカラーのボディはイエローベースに白と黒で塗分けられており、実にカッコ良いのですが、カーモデル的には「塗り分けが大変なのよね~」の部類に入ります。特にイエローは下地に白を塗らないとキレイに発色してくれません。以前製作した「ポルシェGT3 RS」もイエローで塗装したので、それなりに手間をかけています。
というわけで今回はここまで
次回ボディの塗装、マスキングと塗分けを解説していきます。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/684562/
- Source:&GP
- Author:&GP