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飛行機の最強お供はイヤホン?ヘッドホン? JBLの2モデルを海外出張比較レビュー

先日、久しぶりの海外出張で羽田空港から中国・深センへと飛びました。

羽田から深センまでのフライト時間は約5時間。欧米出張ほどの長時間フライトではないけど、それでも機内を快適に過ごすための旅の相棒として、JBLが発売しているノイズキャンセルイヤホンとヘッドホン2機種を持ち込んでみました。

▲羽田から深セン宝安国際空港へのフライトで検証してみました

「なぜJBLのイヤホン・ヘッドホンを2台!?」と思うかもしれませんが、実はJBLはトラベル志向のイヤホン・ヘッドホンを多数手がけているんです。ひとつは、完全ワイヤレスイヤホンの「JBL TOUR PRO 3」。

▲2024年10月発売の「JBL TOUR PRO 3」。取材時点の実勢価格は4万2900円

JBLのフラッグシップワイヤレスイヤホンにして、ワイヤレスイヤホンにスマートタッチディスプレイ搭載の充電ケースという新機軸を見せた最新シリーズ。サウンド面ではJBL初のデュアルドライバーを搭載し、ノイズキャンセル機能も搭載。第2世代モデルで、付属の充電ケースにワイヤレストランスミッタ機能があるので、機内エンターテイメント接続をカバーしています。

もうひとつは、ワイヤレスヘッドホンの「JBL TOUR ONE M3」。

▲2025年5月発売の「JBL TOUR ONE M3」。取材時点の実勢価格は4万9500円。ワイヤレストランスミッタが付属する「JBL Tour One M3 Smart Tx」の実勢価格は5万7200円

こちらは「JBL史上最高の静寂」と「至高のサウンド」を追求したヘッドホン型のフラッグシップ。リアルタイム補正機能付きの強力なノイズキャンセリングに、ハイレゾ対応の40mm大口径ドライバーを搭載。「JBL Tour One M3 Smart Tx」というパッケージでは、バッテリー駆動可能なワイヤレストランスミッタが付属していて、ヘッドホンをワイヤレスで機内エンタメ接続に対応します。

これらJBLの製品名にある“TOUR”という名称は、「アーティストがコンサートツアー時に持ち歩く」という意味が込められているので、実は製品コンセプト通りの利用シーンだったりするんですよね。

そんな事もあって「JBL TOUR PRO 3」を「JBL TOUR ONE M3」の機内持ち込みレビューをお届けします。

 

■ノイキャン性能ではやはりヘッドホン型が有利?

今回の「JBL TOUR PRO 3」と「JBL TOUR ONE M3」の比較レビュー。目的地の深セン宝安国際空港までのフライト時間は約5時間です。

最初に考えたいのはバッテリー性能。フライト中を快適に過ごすためには、途中充電が必要というのは望ましくありません。問われるのは、イヤホン、ヘッドホンどちらも本体のみのバッテリーで、ANC(アクティブノイズキャンセリング)をオンにしたままフライト時間を乗り切れるか、という純粋なスタミナ性です。

その点、「JBL TOUR PRO 3」はイヤホン単体でANCオンでも約8時間の連続再生が可能。一方の「JBL TOUR ONE M3」はヘッドホン単体で約30時間という圧倒的なスタミナ。結論から言えば、今回の約5時間のフライトでは、両機ともバッテリー切れの心配はないので、より快適な方を選んで使っていきましょう。

羽田を離陸し、安定飛行に入ったところで早速テストを開始。まずは、機内エンターテイメントには繋がずノイズキャンセルのみで2機種を交互に装着して、ノイズキャンセル性能から比較してみました。

▲「JBL TOUR PRO 3」のノイズキャンセルは耳栓的な騒音低減

まず完全ワイヤレスイヤホンの「JBL TOUR PRO 3」。耳に装着すると、的確に騒音の芯を捉えて消してくれて、全体的なボリュームダウンが働きます。騒音効果に応じて強度が変わる仕組みですが、飛行機内の騒音はおそらくMAX張り付き。聞こえ方としては完全な無音には届きませんが、耳栓を付けているようなノイキャン効果です。

▲「JBL TOUR ONE M3」のノイズキャンセルは騒音全体を低減

比較対象となるワイヤレスヘッドホン「JBL TOUR ONE M3」は、耳をすっぽりと覆う物理的な遮音性も相まって、エンジン音全体を遠ざけていくイメージ。「ゴォー」という轟音が、「クゥー」という軽めの騒音に変わる感覚。重低音はやや騒音も残りますが、ノイズキャンセル効果は若干強めです。

実はこの時点では「JBL TOUR PRO 3」「JBL TOUR ONE M3」、どちらを機内のメインにするかは決めていませんでした。そしてドリンク、そして機内食の時間がやってきました。

機内食が始まるとイヤホン・ヘッドホンを着脱するような細かな手作業はやりづらく、特にワイヤレスイヤホンの「JBL TOUR PRO 3」は左右別々の付け外しが手間。その点、ワイヤレスヘッドホンの「JBL TOUR ONE M3」は、キャビン・アテンダントさんと話す際にはヘッドホンを首にかけておけたりと地味に便利で、自然と「JBL TOUR ONE M3」を装着して過ごすことに。

機内食を終えたら機内エンターテイメントの時間です。「JBL TOUR PRO 3」「JBL TOUR ONE M3」どちらの選択肢もあるのですが、食事からの流れでヘッドホンを首からかけていたので、「JBL TOUR ONE M3」からテスト。

「JBL TOUR ONE M3」の付属スマートトランスミッタは、USB-Cケーブル経由の接続に対応。機内エンターテイメント用には3.5ミリ端子からUSB-Cの変換ケーブルを利用できます。接続するとトランスミッタの表記は「USB Audio」になり、ヘッドホン側では設定の必要なく機内エンターテイメントのサウンドが流れ始めました。

▲「JBL TOUR ONE M3」に付属するスマートトランスミッタを機内エンターテイメントに接続

「JBL TOUR ONE M3」、その後に試した「JBL TOUR PRO 3」で音質を比較すると、映画鑑賞では「JBL TOUR ONE M3」が若干有利。40mmの大口径ドライバーがもたらす深みと迫力のある低音は、アクションシーンの爆発音やBGMの重厚感を余すところなく伝えてくれて、映画への没入感も優秀。ただ音質ということに限れば「JBL TOUR PRO 3」も映画の緻密な音の再現性では健闘していて、好み次第といったところ。なお、JBLのヘッドホンにある空間オーディオ機能はトランスミッタ接続では利用できません(実はここに期待していたのですが、残念)。

▲『キャプテン・アメリカ』最新作をヘッドホンでがっつり楽しみました

今回の羽田から深センへのフライト対決。携帯性や電車移動など普段使いの利便性では間違いなく完全ワイヤレスイヤホンの「JBL TOUR PRO 3」が優位なのですが、5時間という決して短くはない飛行機移動という条件下では、やはりワイヤレスヘッドホンの「JBL TOUR ONE M3」が最高のパートナーであるという結論に達しました。

決め手は、ノイキャンのわずかな性能差や音質の良さ以上に、長時間装着し続けた際の圧倒的なストレスの少なさ。そして、動きづらい機内環境での取り回し、映画を観る、無音状態で読書をしたり仮眠をとる、というフライト中の行動すべてにおいて、根本的にイヤホンよりもヘッドホンの方が有利なんですよね。

ちなみに、取材を終えた帰路の深センから羽田へのフライトも、無意識のうちにヘッドホン「JBL TOUR ONE M3」を選択していました。航空機移動が多い海外ビジネスマンやインバウンドの訪日客にヘッドホンユーザーが目立つのも納得ですね。

▲深センからの帰路の様子。取材も終えて気も緩んでいますが「JBL TOUR ONE M3」を使っていました

>> JBL

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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