Appleが、人工知能(AI)スタートアップ企業Perplexity AIの買収を検討している、とBloombergが報じています。AI分野での遅れを取り戻し、Safariに独自開発の検索エンジンを搭載する目的があるとみられます。実現すれば、2014年のBeats買収をはるかに上回る史上最大規模の買収となります。
Apple社内で検討中、買収交渉はまだ先か
Apple社内では現在、サービス担当上級副社長のエディ・キュー氏や企業買収の責任者らがPerplexity AIの買収が妥当かの検討を進めている段階だ、と匿名の関係者から得た情報としてBloombergのマーク・ガーマン記者が伝えています。ただし、まだ買収交渉は開始しておらず、交渉が行われない可能性もある、とのことです。
ただし、AppleがPerplexity AIに買収交渉を持ちかけるのは、AppleとGoogle間の契約に関する米司法省による調査が終わってからになるだろう、とも同記者は述べています。Appleは、Safariのデフォルト検索エンジンにGoogleを採用する見返りに巨額の支払いを受けてきたことが問題視され、司法省による調査が続いています。
なおエディ・キュー氏は、2025年5月に米司法省による調査での証言で、Google検索に取って代わるAIサービスとして、Perplexityの名前を挙げています。
iPhone用AI検索エンジンの開発が目的?
Appleが買収を検討しているPerplexity AIは、2022年に米サンフランシスコで創業されたスタートアップ企業で、AIチャットボット型検索ツールのPerplexityを提供しています。日本では、ソフトバンクが業務提携しています。
Perplexityは、Web上の最新情報をもとに質問に答えることができるサービスです。Appleは、iPhone用の検索エンジンに、Perplexity AIの技術を用いた独自検索エンジンを採用することを検討していると見られます。
AppleによるPerplexity AIの買収が実現すれば、Apple Intelligenceの開発遅れを巻き返す人材と技術が手に入るのに加えて、AI人材の獲得にも有利に働くことが期待されます。
Perplexity AIの評価額は約2兆円、実現ならApple史上最大の買収
Perplexity AIの最近の企業評価額は140億ドル(約2兆円)に達しています。
仮にPerplexity AIの買収が成立した場合、2014年のBeats買収(30億ドル:現在のレートで約4,400億円)をはるかに上回る、Appleとして最大規模の買収となります。
Beats以外では、Intelのモデム開発部門を約10億ドル(約1,450億円)で買収したほか、中国版UberといわれたDiDiにも約10億ドルを出資したものの、中国政府による規制もあり事業は失敗に終わっています。
なお、Perplexityには、Metaも買収を打診したものの交渉が成立せず、MetaはScale AIの株式の49%を143億ドル(約2兆500億円)で購入しています。
Appleは、MetaやGoogleと比べると大規模な買収には慎重な姿勢をとってきました。
しかし、次世代製品の開発を進めるうえで不可欠なAI分野での遅れを取り戻すためにも、方針転換が避けられないだろう、とガーマン記者は指摘しています。
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-intelligence-595961/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato