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クラシカルなルックスで走りも機敏! トライアンフの新型「スピードツイン900」は上位モデルに迫る完成度

トライアンフといえば、1902年に第一号車を市場に送り出した英国を代表するバイクメーカー。クラシカルなデザインでありながら、走行性能の高さでも評価を得ているブランドです。

そのブランドを代表する車種でもある「スピードツイン」シリーズがモデルチェンジし、扱いやすさがさらに向上しました。実際に試乗してみましたが、多くのライダーに勧められる完成度です。

 

■車体と足回りが大きく進化

「スピードツイン」の名を冠したモデルが初めて登場したのは1938年のこと。当時としては最高峰となる150km/hの最高速度を誇り、一躍人気モデルとなりました。その名を受け継いだ現行モデルには「スピードツイン900」と「スピードツイン1200」があり、クラシックなデザインのネイキッドマシンとして支持を集めています。

今回紹介したいのは「スピードツイン900」の方。以前は「ストリートツイン」と呼ばれていたモデルです。エンジンのクランクケースこそ「1200」と共有していますが、フレームなどは独自の設計で作り込まれたマシンです。2025年モデルでは車体や足回りが大きく進化していて、上位グレードの「1200」との差がかなり小さくなっています。

価格は「1200」が188万9000円〜(「1200RS」は226万9000円〜)なのに対して、「900」は123万9000円〜。安いとは言えないものの、お得感のある価格設定になっています。

搭載されるエンジンは900ccの水冷並列2気筒。水冷エンジンですが、大きな空冷フィンが刻まれていてラジエーターも目立たないように処理されているため、空冷エンジンのように見えます。シリンダーが直立したシルエットも、英国製バイクらしいものです。

最高出力は65PS/7500rpmと900ccのバイクとしては控えめに見えますが、最大トルクは80Nmを3800rpmと低い回転域から発生するので鋭い加速が味わえそうです。

2025年モデルでの最大の進化点は足回り。フロントフォークが正立式からマルゾッキ製の43mm倒立式に変更されました。リアショックもマルゾッキ製のリザーバー別体のタイプとなり、路面追従性が向上しています。

 

■「1200」との性能差は思った以上に小さい

またがってみると、車体がかなりスリムになっているのを感じます。タンクとシートの前方がかなりスリム化されているため、シート高は780mmですが足付き性は数値から想像する以上に良好で小柄なライダーでも抵抗なく乗ることができそうです。

排気音は2気筒らしく歯切れのいいもの。排気量が900ccあるので、重低音も効いていて迫力があります。2本出しのマフラーから排出されるエキゾーストノートを聴いているだけで気持ちが高まってきました。

270°クランクを採用していることもあり、低回転域からかなり力があって最高出力の数値から想像するより加速はかなり機敏。アクセルを軽く開けるだけで交通の流れをリードできる速さがあるので余裕を持ったライディングができます。「1200」とも乗り比べてみましたが、特に力不足を感じる場面はありませんでした。

倒立フォークとなったことで、フロント回りの剛性感が高まり、走りの質感はかなり向上しています。車重は212kgあるのですが、ハンドリングは軽快で重さを感じることもありません。重心位置が低く設定されているようで、左右へバンクさせる動きは軽く、ワインディングを走るのが気持ちいいマシンでした。

「1200」との大きな違いは、フロントブレーキがシングルディスクとなっていること。高速からのブレーキングでは、さすがに熱容量の違いを感じる場面がありましたが、シングルディスクであることがハンドリングの軽快さにも効いているようなので、どちらを優先するかは好みの分かれる部分かもしれません。

灯火類はLED化されていて、クラシカルな外観と現代的な機能を上手くバランスさせています。レトロな雰囲気のバイクに乗りたいけれど、走りの性能には妥協したくないというライダーにとっては、かなり有力な選択肢となりそう。「1200」との体感できる性能差はかなり小さく、むしろ「900」の軽快さを好ましく思う人も少なくなさそう。大排気量車ビギナーからリターンライダーまで幅広い層に勧められるマシンです。

>> トライアンフ「スピードツイン900」

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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