【達人のプラモ術】
海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」
01/04
今回の達人のプラモ術は、海洋堂が展開するブランド「ARTPLA(アートプラ)」の新作「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」を製作します。
本モデルは、2016年に発表された谷明によるアナログ(手作り)原型から全パーツを3Dデジタルデータに変換し、プラスチックモデルキット用に再構築されたもの。『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』において、第6使徒への反撃をおこなうため、陽電子砲による第2射の射撃体勢に入るエヴァンゲリオン初号機は、固定ポーズモデルらならではの自然なポージングを再現しており、そして全長360mmにもなる大出力型第2次試作自走460mm陽電子砲の迫力を堪能できます。
海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」(8800円)
※ノンスケール(全幅約360mm)プラスチックモデルキット
© カラー
■新世紀エヴァンゲリオン
今年でTVシリーズの放送開始から30周年を迎えた新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis EVANGELION)は、GAINAX制作による日本のアニメーション作品です。1995年10月4日~1996年3月27日にかけてテレビ東京系列他で放送されたテレビアニメ全26話とその劇場版になります。
内容については多くのメディアで語られているので、ここでは割愛しますが、1990年代の第3次アニメブームのきっかけとなり、その影響は社会現象にもなりました。
ホビーの世界でもプラモデルをはじめガレージキットが数多く発売され、現在でも新製品が発売されており、その人気は今も衰えていません。
■海洋堂アートプラとは
アート作品、仏像、動物、SFメカ、アニメキャラクターなどバラエティに富んだモチーフをフィギュア化してきた海洋堂が、過去発売していたガレージキットを再構築。過去の原型を3Dデータ化し、原型師自身がリファイン。より精密で魅力的なモデルとして、新ブランド「ARTPLA(アートプラ)」としてプラスチックモデル化したもので、2022年から展開されています。
現在、「太陽の塔」をはじめ、造形作家・田熊勝夫氏による名作メカニックキットの復活、また恐竜やアニメに登場するメカやキャラクターフィギュアなど、海洋堂の過去・現在・未来の作品がラインナップされています。
>> 海洋堂「プラモケイ」
達人がホビーイベントで製作、アクリルガッシュの筆塗りで仕上げた「ARTPLA エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト“ジオフロント血戦”」(7150円)など、アート的な塗装をはじめさまざまな楽しみ方がARTPLAの魅力でもあります。
■ARTPLAの新作
©カラー/EVA製作委員会
© SUNRISE
TM & © TOHO CO., LTD.
©カラー
■ARTPLAを楽しむ
クオリティの高さを維持しつつプラモデル化したARTPLAは、より万人向けのホビーアイテムになっています。
可動を排した固定ポージングとしたことで、筋肉の質感など生物的な要素を持つエヴァンゲリオンのディテールが強調されており、大出力型第2次試作自走460mm陽電子砲の射撃ポーズが見事に再現されています。キットの成型色はブルーグレー。組み上げるだけで劇中のイメージを再現できる色プラを見慣れた目には、新鮮に感じられるかもしれません。ちなみに成型色は劇中における夜戦のイメージだそうです。
ARTPLAは、プラモデルではありますが、アートとして楽しんで欲しいというコンセプトが込められており、それゆえに素材としてさまざまな楽しみ方ができるという成型色でなんですね。設定カラーで塗装しても良いし、素材色を活かした仕様も面白い。要は作り手の自由なセンスで楽しめるアートなキットとなっています。
■悩ましきはエヴァンゲリオン初号機のカラーリング
初めてエヴァ初号機のガレキを製作した時に、何ともまぁ悩ましいカラーリングだな~と思ったことを覚えています。色の組み合わせもありますが、どの順番で色を塗っていくのがベストなのか…随分悩まされましたね。グリーンやイエローは当然ながら下地に白を塗装しないとキレイに発色しないし。初号機ボディのメインカラーとなるパープルも下地と重ねる回数でも色調が変わってくる。
とは言うものの、パープル×グリーン×ブラック×イエローの組み合わせでエヴァのデザインをした山下いくと氏のセンスが炸裂したこの機体のグラフィックは、30年経った今でも古さを感じさせませんね(塗るのは大変だけど…)。
再販されたエヴァンゲリオン2号機ベージュカラーバージョンのように単色で仕上げても面白いとは思いますが、今回は劇中のカラーイメ―ジ(『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』)を活かして、メカメカしい陽電子砲と射撃体勢に入るエヴァンゲリオン初号機を塗装で仕上げていこうと考えています。
■組んで塗るか、塗って組むか、それが問題
先にも書きましたが、キットはブルーグレー単色で成型されています。劇中仕様の複雑なカラーリングで塗装する場合、パーツ単位で塗装するか、あるいは組んでから塗装するかの二択となるワケですが、組んでから塗装するとなると、陽電子砲の射撃体勢の固定ポーズなので、マスキングが超大変になってしまい、あまり現実的とは言えません。
というワケで、パーツ単位での塗装がお勧めとなるのですが、キットは接着剤を使わないスナップ仕様ではないので、パーツはすべて接着剤を使って組んでいく必要があります。しかしパーツを接着してしまうと個々のパーツの塗分けマスキングが大変になってしまいます。ポージングの関係でマスキングできなくなってしまう部位も出てしまいますし…。なかなか悩ましい問題ではあります。
またキットはパーツの接着面が目立たない分割とはなっていますが、腕や脚などのパーツの一部は、どうしても接着線を処理をしなくていけない箇所もあります。
■樹脂系ボンドを使って仮組みをする
そこで作例は、パーツを接着して組み上げてしまうのではなく、後でパーツを取り外すことが可能な樹脂系のボンドを使って、まずは機体の仮組みを行い、各パーツの接合部位をチェック。その後、一旦バラして塗装を進めていきます。
使用した樹脂系のボンド(「タミヤ多用途接着剤」)はプラスチックを侵さないので、パーツの仮固定に向いており、硬化後の再分解も簡単に行えます。
■胴体の製作
胴体は左右と脚の付け根に3分割されており、パーツの接着面は目立たない工夫がなされています。組み上げた胴体に装甲を接着していくことで、接合線はほとんど目立ちません。とは言うものの、首の後部や脚の付け根など、一部継ぎ目消しの作業が必要です。
■脚の製作
片膝をついて陽電子砲をかまえるポージングなので、脚は左右で大きく形状が異なります。左右分割されたパーツはプラ用接着剤で接着し、脛の裏側に生じるパーツの接合面を研磨処理で消しておき、脚の外装パーツ類は、胴体と同じく塗装を考慮して、クリアーボンドで仮接着していきます。
■腕の製作
脚に続いて腕の製作も進めます。腕はパーツの合わせ目が目立つので、プラ用接着剤で組んだ後、継ぎ目処理用の瞬間接着剤で丁寧に処理していきます。左腕の肩に装着されているアーマーは、表面にヒケが見られるので研磨して修正しておきます。
今回キットを組んで初めて気が付いたんですが、ヤシマ作戦では陽電子ライフルを抱えるために右肩のアーマーは外されていたんですなぁ。
■頭の製作
特徴的なデザインの初号機の頭部は10個のパーツで構成されています。塗り分けも細かいため、パーツ単位での塗装が必須となります。
■機体の組み立て完了!
キットは、箱を開けてギッシリ詰まったパーツを見ると「あうっ」となるんですが、いざ組みはじめるとサクサクと組み上げられます。これもアートプラの魅力のひとつだと思います。
塗装を考慮して、樹脂系ボンドでの仮組みを配慮する必要はありますが、製作の難易度は高くないので、その分、アートとしてエヴァンゲリオン初号機を楽しめるキットです。
次回は陽電子砲の製作、そして初号機の塗装を進めていきます。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/693082/
- Source:&GP
- Author:&GP