昨今、「自分色に染める」というべきいろいろなモノのDIYにチャレンジする人が増えているが、クルマを塗るぞって聞いたらさすがに腰が引ける? でも、できます、できるかも! 気になる皆さんにかわって『&GP』編集部のヤマケンが「タカラ塗料」を使い、「BESS多摩」でやってみた!
■タカラ塗料でDIYペイント始めよう!
「大阪の塗料販売店『タカラ塗料』のショールームが京都高島屋S.C.にあり、そこでもらったパンフレットにクルマが塗れると書いてある。『&GP』でやってみませんか?」と、ライターさんからなんともそそられる内容のメールが送られてきた。
タカラ塗料は1948年の創業。プロユースはもちろん、近年ではネット通販で個人の「DIYペイント」を積極的に展開している。京都ショールームの開設もアプローチの一環だ。
クルマを塗るという貴重な体験を買って出たのが、山口健壱編集部員(通称:ヤマケン)。もちろん1人では時間もかかるということで、&GP編集部員総出で手伝うことに。
ヤマケンは、キャンプ、釣り、ゴルフ、カヤックと、アウトドアならなんでも好きな36歳。最近、念願のSUVを購入し、出かけるのはもっぱらそちら。ということで、主役の座を失った約10万㎞を走ったスズキ「エブリイ」が、自宅で出番を伺っていたのである。乗る機会が減っているとはいえ、日常的には何のトラブルもなく、快調そのもの。「さすがスズキ!」である。
■困った時の「BESS」頼み!
実施が決まった本企画だが、問題は「どこで」である。
今回使用する塗料は水性ゆえ気になるニオイの発生はないし、ローラー&ハケ塗りだからスプレー塗装のような噴霧の心配もないが、軽自動車が収まるブルーシートが敷けるそれなりに広いスペースが必要だ。そこでピンときたのがログハウスの「BESS」である。
ご存じのとおり、BESSはログハウスの代名詞的ブランドで、“ログハウス=別荘”といった認識を日常的に暮らす家として定着させた立役者だ。ブランドのスローガンは“「住む」より「楽しむ」”。遊び心に満ちたBESSの家に触れれば、誰しもが「こんな家に住みたいな」と思うだろう。そんなBESSが東京都昭島市に構えるいわゆる展示場「LOGWAY BESS 多摩」に、今回のクルマDIY塗装企画の協力をいただけたのだ!
初めて「LOGWAY BESS 多摩」に来場する部員たちは特に、「ここ、いいねえ!」「土地があれば○○万円くらいで建てられるらしいよ」「本気で住みたくなってきた!」とどうやら心を動かされている模様。いいでしょBESSの家!
■DIYペイントは難しくない
塗装に用いたツールは「クルマを塗る」大仰なイメージより多くはない。ハケ、ローラー、水性塗料、バランサー(乾燥を遅らせる働きがあるうすめ液。水でも可)、非鉄バインダーα(鉄以外の素材に塗る下地液)、他はマステやグローブ、ウェス、ブルーシートくらいだ。
結論から言うと、作業自体テクニックを要するか、つまり「難しいか」と聞かれれば、「かんたん」とは言えないが「難しくはない」。説明書をよく読み、手抜き、見落としなく進めればいい。以下に工程を追うが「それだけ?」と思うだろう。そう、やることはシンプルだ。
塗装前には油脂汚れなどを落とすべく洗車をして乾燥させておくこと。また降雨時の塗装はもちろんNGだし、暑すぎず寒すぎない日取りを選びたい。
■仕上がりは「下地処理が9割」!
▼ACTION-1
マスキングと足付け(やすりがけ)。ズバリこの工程が仕上がりを大きく左右することに、作業後に思い知った(笑)。マスキングは窓やウインカー、ライト、そのほか塗装しない部分をカバーしてゆく。この作業をいかに丁寧に行うかが肝要だ。テープが浮けばスキ間から塗料が入るし、まっすぐ貼ったつもりでも歪んでいれば当然仕上がりの塗り分けラインも歪む。
ボディの塗装面を600番程度の紙やすりでこすって荒らすことで、塗料の密着性を高める。むろん元の塗装をすべて除去する必要はない。表面を荒らすくらいでOKだ。
▼ACTION-2
マスキングと足付けがかなりの手間というのが実感だ。今回は窓から下をグレー塗装とし、元のボディ色である白との2トーン仕上げとするが、軽自動車とはいえバンタイプは表面積が大きいし、なにより屋根部分は高所作業となり大変だ。「バンタイプを塗ってみたい!」方、特にビギナーならば、2トーン仕上げを選択肢に入れるといいと思う。
足付けで出た削りカスや油分をふき取る「脱脂」作業を経て、樹脂バンパーなど鉄でない部品の密着性を高める「非鉄バインダーα」を塗る。非鉄部品で塗装するのは前後バンパーくらいだから、フタに付いているハケで充分作業できるだろう。そろそろ30分~1時間程度乾燥&一休みして、BESS見学といこう。
▼ACTION-3
いよいよ塗装だ。ゆっくり乾燥させたほうがきれいに仕上がるため、水性塗料にバランサーを混ぜる。
塗装は5名の編集部員で、塗料、ハケ、ローラーを手にヤマケン号の各所に散開! ハケ、ローラーに塗料を含ませすぎず薄く手早く塗り広げるイメージで、まず全体を覆っていく。
オーナーのヤマケンはのちに「1回目を塗り終え時はこんな状態で大丈夫かと不安に思った」と言ったが、その通り、1回目は塗りムラが目につき心配かも知れないが大丈夫。レッツ重ね塗り!
ここでランチとし1時間程度乾燥。戻って2度目の塗装をすると、ちょっと驚くくらい塗装面に均一性が出てムラがなくなっていく。「いいじゃん!」とヤマケン&ヒズフレンズ。
しばし後に「もう1回塗るぞ!」と3度目に着手する頃には、部員それぞれが塗装のコツをつかみ上達している。取材当日の東京は快晴&気温28℃と暑いくらいだったが、仕上がりが目に見えてよくなってくるので、みな気持ちがノッている。
そうそう「塗っちゃえクルマ! DIY塗装キャンプ」なんてイベントがあっても楽しそうだ。週末にキャンプ場に集まって、土~日でキャンプしながらクルマを塗装するのって、楽しいに決まってる!
■成果発表:「マステ、はがしま~す!」
作業開始が9時、ランチ1時間をはさんでマステをはがしたのが15時だから、5人作業でざっと6時間。ガレージで作業できる方ならお子さんや友人を招いてワイワイ楽しむのもいいだろう。水性塗料は臭気もなく、安心して塗装できるメリットがある。
マステをはがすと「100%はたらくクルマ」だったヤマケン号がグレーと白の2トーンでまるで別人に! 塗装面に目を近づければムラはあるし、マステの境目にはガタつきもあるけど、全体として編集部一同大満足! 大汗かいてやりきった感があるってもんだ。
「新車で買った時から壊れるまで乗るつもりでしたが、今回DIYペイントをしたことで一層愛着がわいてきました。塗料も残っていますし、雑な箇所については今後じっくり仕上げていくつもりです。資材はしめて3万円弱とお得だと感じました。もちろんプロ塗装とは比べるべくもありませんが、“自らクルマを塗る作業”そのものがすごく楽しい! タカラ塗料さん、BESSさん、そして編集部の仲間たち、協力ありがとうございました!」
■DO IT YOURSELF
アウトドア流行り、キャンプ流行り、ギアへのこだわり、そしてDIY。流行と言えないほどそれぞれ定着したこの頃だけど、DIYだけは、実際に手を動かす(DO)というより、「DIYテイストの製品が好き」といったところで止まっていないだろうか。
手を動かそう。いまやるべきはまさに「DO」なのだ。クルマのDIY塗装はもちろん、BESSの木の家も「壁一面のシューズラックを作るぞ」「子供用のハンモックやブランコを吊りたい」「木の保護剤は自分でメンテナンスだ」といったDOの要素をふんだんにもっている。BESSでクルマのDIY塗装をするのは、実は最高のペアリングだったのだ。おそらくこの記事を読んでくれている皆さんなら、もうBESSの家が気になってしょうがないはず。
DO IT YOURSELF! なにもクルマだけが対象じゃない。部屋やドア、家具や自転車などなど、自分好みに塗ってみないか。手を動かした先にはモノとの新しい関係が生まれるはず。君もDIYペイントで暮らしのあれこれを「DO」してみようよ!
>> タカラ塗料車用塗料「刷毛(ハケ)・ローラーで車をDIYで全塗装しよう!」
>> BESS
<取材・文/前田賢紀>
前田賢紀|モノ情報誌『モノ・マガジン』元編集長の経験を活かし、知られざる傑作品を紹介すべく、フリー編集者として活動。好きな乗り物はオートバイ。好きなバンドはYMO。好きな飲み物はビール
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/690597/
- Source:&GP
- Author:&GP