【知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ】
暑い季節の行楽シーズン真っ只中ですが、みなさんの愛車の調子はいかがでしょうか? 今回は「A PIT オートバックス 東雲」にお邪魔して、知っているようで知らないクルマのアレコレについて伺ってきました。第2回はメンテナンスでもよく聞くワード“オイル交換”。「そもそもオイルって?」といった素朴な疑問をはじめとしたクルマにまつわる初級のアレコレ。実際の作業シーンと一緒にお届けします。
A PIT オートバックス 東雲 髙橋虎之介さん
入社初年度より「A PIT オートバックス 東雲」に在籍。現在は3年目でメンテナンス部署を担当。幼少期よりクルマが好きでレースなどの観戦も行っていたそう
■今更聞けない“オイル交換”のアレコレ!
定期的に交換を勧められるエンジンオイル。ですが、その役割や交換する意味、必要性などあまりわかっていないままスタッフさんに任せきりになっている人は多いのではないでしょうか。行楽シーズン真っ最中にクルマが不調、なんて事態を避けるべく、しっかりとした知識を身に付けておきたいものです。
――そもそもオイル交換の“オイル”って何ですか?
髙橋:エンジンオイルは、言わばクルマの“血液”のようなモノ
クルマに関するオイルと呼ぶ名称はエンジンオイルやブレーキオイル、ミッションオイルなど実にさまざま。ですが、最もメジャーなオイル交換というとエンジンオイルのことを指します。エンジンオイルはその名の通り、クルマを動かすために必要なエンジンに使用するオイルなのですが、その役割は大きく5つあります。
【エンジンオイルの5つの役割】
1. エンジン内の潤滑
最も代表的なのは、エンジン内の金属摩擦や摩耗を軽減するための潤滑機能としての役割。シリンダー内部で高速運動するピストンと、シリンダー内膜部の接触部分の潤滑などを担っています。
2. エンジン内の冷却
さまざまな金属部品の高速回転やガソリンの燃焼によりエンジン内部は常に数千度の高温状態。エンジンオイルが金属部品の間に入り込み、その熱を吸収してくれます。この冷却機能によりエンジンの焼き付きなどを防止できます。
3. エンジン内の清浄
ガソリンの燃焼や金属部品の摩耗により発生する燃えカスや鉄粉といった不純物をエンジンオイルが絡め取り、エンジンをきれいに維持。
4. エンジン内の防錆
エンジン内部は作動時に高温になるため外気温との急激な温度差によって水蒸気が生じ、それが金属部品を錆びさせる原因に。金属部品の表面を油膜でコーティングすることで錆びを防ぐ役割を担っています。
5. エンジン内の密封
エンジン内部のピストンとピストンリングの間に隙間があるとピストン内で燃焼したガスが抜け漏れてしまい、パワーロスしてしまうことも。そのため常に気密性を保つ必要があり、エンジンオイルの油膜による密封機能が役立つというわけです。
――オイル交換ってしないとどうなるの? いつやるべき?
髙橋:オイルは汚れたり、減ったりするので車種によって適切な交換時期があります!
エンジンオイルは走行していくと汚れでドロドロとしてきます。この汚れには鉄粉などが含まれるので、そのまま放置してしまうとエンジン内部にうまく行き届かなくなったり、根詰まりを起こしたりしてしまうことも…。その場合はエンジンに悪影響を及ぼしてしまい、燃費や走行に不具合を発生させるおそれもあります。
汚れ以上に怖いのが“減り”です。エンジンオイルはエンジン内の状態や交換サイクル長期化によって燃焼して量が減るケースがあります。許容内の減りであれば問題ではないのですが、長く交換をしないことでオイルが全く入っていない、なんてことになると最悪の場合エンジンが焼き付いてしまうことも。また、燃焼以外では経年劣化などが原因でオイルパン(※エンジンオイルが入るタンクのようなもの)から漏れ出してしまうケースもあります。そのような不具合をチェックするためにも、定期的なオイル交換をオススメしています。
<オイル交換の目安>
ガソリン車:6か月、または5000km
ガソリンターボ車:3か月、または2500km
ディーゼル車:3〜6か月、または2500〜5000km
――オイル交換って時間や費用ってどれくらいかかるもの?
髙橋:車種や交換の項目にもよりますが、普通車であれば7〜8000円、作業時間は30分程です
オイル交換の基本は、古いエンジンオイルを抜き取って新しいエンジンオイルを適正量入れる作業となります。オイルの種類によっても金額が変わりますがおよそ軽自動車で5〜6000円、普通車で7〜8000円くらいでしょうか。交換の時間は30分ほどと考えていただければと思います。
また、オイルの汚れや不純物を取ってくれる「オイルフィルター」や新しいオイルを入れる前にエンジン内部を洗浄する「フラッシングオイル」、エンジンオイルの性能をより高める「エンジン添加剤」といった交換のときのオプションもあります。詳しくは作業や予約の際、お気軽にご相談ください。
――自分でできる作業や日常のメンテナンスはある?
髙橋:できれば各専門店へ。日常で異変を感じたらすぐご相談を!
オイル交換自体はそこまで難しい作業ではありませんが、古いエンジンオイルは産業廃棄物扱いとなるため適正に処理をしなければなりませんし、異なるエンジンオイルを入れてしまったり、エンジンルームにこぼしてしまったりでトラブルになってしまうこともしばしば。オートバックスなど整備ができる専門店にお願いしていただくほうが安全です。
皆さんでできるメンテナンスで言うと、定期的にオイルの汚れや量のチェックをすることですね。エンジンルームを開けるとオイルゲージという器具があるので、それで確認ができます(※詳しくは後半に)。その際、必ずエンジンを切った状態で行ってください。あとは運転席のメーターパネルに表示されるオイルランプも確認を。点灯しているとオイルが少ない警告となりますので交換が必要です。
■“オイル交換”を実際にやってもらいました!
筆者のクルマを実際にオイル交換していただきました。普段見られない整備風景を特別にご案内。よりエンジンオイルについて深く知れました。
まずは現状の確認から。オイル交換は前回の車検時からしていない筆者(すみません…)。適正なタイミングを大きく超えてしまっていることを説明(写真左から:&GP編集部・手柴、筆者、整備担当の相田涼太さん)。
オイルの汚れや残量を計測できるオイルゲージ。上下にある凹凸の範囲内であれば適正量なのですが、全然と言っていいほどに足りていません。「これは…良くないですね(苦笑)」と相田さん。
専用の機械を用いて古いエンジンオイルを抜き出します。以前はオイルパンのドレンボルトから抜き出す方法が主流でしたが、ボルト部分の劣化やどうしても抜き切らないという難点があったため現在では機械を使った回収が主流だとか。
機械から回収されている古いオイル。後ほど出てくる新品のオイルとは全く異なり、真っ黒に汚れています。これが約2年の汚れ…。
こちらが抜き切ったあと。メモリを見ると2.5Lほどしかありませんでした。筆者のクルマは適正オイル容量が5.5Lとのことなので3Lも減っていたなんて…。日頃の確認がいかに大事か、身を持って痛感。
今回は基本のオイル交換のみなので古いオイルを抜いたあと、新しいオイルを注入。車種やエンジンの種類によって適切なオイルの種類もあるとのことで、今回はオートバックスさんオススメのオイルを入れていただくことに。古いオイルと違って、ライトブラウンのような色味です。
オイルを抜くのは機械でも入れるのは人力なんですね?」と聞くと、「入れるときに空気が入ることで溢れたり漏れたりしてしまうと、エンジン内をすべてクリーニングしなければなりません。ですので、ここだけはずっとアナログなんです」と相田さん。
オイルを入れ終わり、オイルゲージで再度チェック。適正範囲内に収まっていますし、何より付着したオイルがキレイ! これにて作業は終了。ありがとうございました!
【最後に】オイル交換を経て…
今回「A PIT オートバックス 東雲」さんにご協力いただき、エンジンオイル交換について教えてもらったわけですが、実際に作業をしてもらい、正直まだ大丈夫と思っていたオイルがこんなに汚れている&減っているというのに驚愕…。筆者同様、「車検時に整備しているから大丈夫!」という人も多いと思いますが、この暑さや遠出の中で万が一エンジントラブルを起こしたら…。そんな事態は絶対に避けたいところですよね。未然に防ぐという意味でも、オイル交換は適正なタイミングで行うべきということが皆さんもおわかりいただけたと思います!
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>> 【連載】知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ
<取材・文/小林大甫 写真/田中利幸 協力/A PIT オートバックス 東雲>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/692691/
- Source:&GP
- Author:&GP