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歴史に名を残すキャンプギア!? コールマン「ガソリンランタン」の右に出るモノはないでしょ

【アウトドア銘品図鑑】

名作と言われるキャンプギアは星の数ほどありますが、この先も語り継がれるであろう特級の名品は何かと言えば、コールマンのガソリンランタンをおいて他にはありません。

100年以上前に誕生したガソリンランタンは基本構造が変わらず、1920年代や1930年代のヴィンテージであっても元気に光を灯す“現役”は決して珍しくありません。

時代とともに樹脂パーツが増えていますが、当初から完成度が高かったため現行モデルのパーツを流用しやすい。ちゃんと手入れさえしておけば、100年先の孫たちだって使えるんです。

近年はキャンプ場でもLEDが光の主役になりつつありますが、やさしくも明るい光が広範囲に広がる様子は燃焼系ならでは。

そんなわけでLED全盛でもガソリンランタンに魅了され、ランタン沼に足を突っ込んじゃう人が多いのも致し方ありません。

現在、日本で新品のガソリンランタンを発売しているのはコールマンのみ。大光量の「ノーススターチューブマントルランタン」、マントルを2つ装着する「ツーマントルランタン」、そしてレッドとグリーンから選べる「ワンマントルランタン」です。

▲左は1968年モデル、右が現行の「ワンマントルランタン(レッド)」

今回はもっともスタンダードで、今なおファンの多い200AシリーズのDNAを受け継ぐ286A「ワンマントルランタン」(1万9580円)をピックアップ!

 

■点火にひと手間かければ炎上しない

▲本体φ16×H31cm、重量1.4kg

手配したサンプルは赤い「ワンマントルランタン」です。

イマドキのLEDランタンは手のひらサイズで1000lm、2000lmという光を発しますが「ワンマントルランタン」はずっしり1.4kg。お世辞にもコンパクトではありませんが、アイコニックなデザインでキャンプサイトにあるだけでニンマリしちゃいます。

▲燃料キャップの位置と注意事項

動画サイトには点火時にプチ炎上しているものが結構あって、そのため「ガソリンランタン=怖い」と思う人もいるようです。

でも、ちゃんと手順を踏めば炎は最小限に抑えられるし、当然ですが爆発なんてしません。注意すべきことはちゃんと本体のカラー(タンクの上)に記載されているのも安心です。

▲日本語で点火手順が記載されている

そしてポンピングノブ側にはちゃんと点火手順が書かれていて、各部名称さえ知っていれば説明書がなくても点火できるんです。

▲燃料バルブの指示は簡単な英語と矢印。「Made in U.S.A.」の記載が光る

光量を調節する燃料バルブは、どちら側に回せば大光量になるかを矢印と「LOW」「HIGH」という簡単な英語で明示。バルブには「中にマッチを差し込んで、ハイ側に回して点火」的なことが記されています。

1968年モデルにも燃料バルブにポイントが書かれていて、“ユーザーが現場で慌てずにすむ”よう考えられた親切設計はコールマンの伝統と言えそう。

それでは点火方法をおさらい。

▲ガソリンをフチぎりぎりまで入れると加圧できない

じょうごを使ってホワイトガソリンをタンクの8分目まで注いでおきます。燃料缶の口を上にして持つと、ドバッと出過ぎることはありません。

燃料バルブがオフになっていることを確認し、ポンピングノブを左に2回転。ノブの穴を塞ぐように親指で押さえた状態で、引いては奥まで押し込む「ポンピング」作業スタート。

ノブを押し込めなくなるまで硬くなったら、ポンプノブを右に回します。

▲金色のパイプがジェネレーター

柄の長いライターを差し込み、空焼き済みのマントルに近づけてから燃料バルブを開くと点火。ちょっぴり炎がたちますが慌てずに追加ポンピングしましょう。

ちなみに、事前にジェネレーターをライターであたためておくと、大きな炎上を抑えられますよ。

 

■マントル空焼きには穏やかな火を使おう

“ガソリンランタンは難しい”と思わせるのは、点火時のポンピングだけじゃありません。マントルの取り付けもそのひとつ。

▲バーナーチューブの先端に2つの山があるので、その間にマントルを結びつける

加圧し、燃料バルブをオフにした状態でマントルを取り付け、下から炎をあてて灰化するのですが、ターボライターではせっかくのマントルに穴があくことも。マッチや普通のライターを使うのがお約束です。

▲写真を撮るのに集中しちゃって燃え方が片寄ってしまった…けど大丈夫

マントルが燃え始めたらジェネレーターにも炎をあてて予熱。本来は予熱不要ですが、点火時の炎上を防ぐためのひと手間です。

最後に燃料バルブを開くと霧状になった燃料が出てきてマントルを押し広げます。これでマントルの多少の歪みは解消されるので安心を。

風や衝撃を避けるために、いったん消火してからグローブとトップのベンチレーターを取り付けます。マントルや熱いジェネレーター、バーナーチューブに触れないよう十分注意しましょう。

 

■普段の手入れに必要なのは潤滑油と燃料抜き取りポンプ

▲タンク裏の刻印に注目

コールマンのガソリンランタンは、タンク裏に製造年月が印されていて、サンプルには「21」年「11」月の刻印がありました。

これを100年先まで使うには何をしておけばいいのでしょう?

▲「残ガソリン抜き取りポンプ」はマストアイテム

タンク内に燃料が残ったら、結露によるさびを防ぐためにもガソリンを抜きます。燃料キャップに取り付ける専用ポンプなら逆さまにしなくても加圧することできれいに抜き取れるのでめちゃ便利。

▲リュブリカントを2〜3滴

ポンプノブの動きが渋いときは先端のカップが乾燥しはじめているのが原因です。定期的に専用オイル(リュブリカント)を注入して乾燥を予防。

また、消火前に燃料バルブの「ON」と「OFF」を何度か往復させるとジェネレーター内のクリーニングロッドが働き、詰まりを予防できます。あとは点火前にマントルに穴が空いてないことを確認するくらい。日常的な手入れはたったこれだけです。

専用のホワイトガソリンは不純物がほとんどなく、そう頻繁にジェネレーターが詰まることはありませんが、長く使っていると写真みたいに真っ黒に。こうなったら交換です。

▲「スーパーレンチ」があるとジェネレーター交換もできる

ジェネレーターやポンプカップといった消耗品を交換するにも、ちょっとしたゆるみを直すにも専用レンチやチェックバルブレンチがあると作業がはかどるのでオーナー必携アイテム。

「ワンマントルランタン」の明るさは約130W相当で、スイッチひとつで点火や調光ができるわけではありません。けれども燃焼音とともに広がる光は癒やし度大で、キャンプだなぁ…と実感。ガシガシ使うことで味わいが出るのも楽しみです。

>> コールマン

>> [連載]アウトドア銘品図鑑

<取材・文/大森弘恵 撮影協力/コールマン(ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社)>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X

 

 

 

 

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