【知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ】
今年の猛暑を乗り切ってくれたクルマでも多少なりとも負担をかけてしまっているはず。これからの季節、気候が穏やかになるとはいえ影響が出てきてもおかしくはありません。今回は「タイヤ館 小平店」にお邪魔してバッテリーについてあれこれ聞いてきました。思わぬバッテリー上がりで大慌て…なんて事態を防ぐべく、知識やノウハウを学んでおきましょう。
タイヤ館 小平 石川淳一店長
2001年に入社し、店長業務はおよそ10年。若い頃からクルマ好きで、自分の愛車をイジれたら…という思いからタイヤ館へ。ユーザーのニーズに寄り添うメンテナンスの提案がモットー
■今更聞けない“バッテリー”のアレコレ!
バッテリーといえば電気系統の心臓たるアイテム。クルマの主電源なのでバッテリーが作動しないとエンジンすらもかからなくなるため、重要度の高いメンテナンス箇所と言えます。また、近年では多くのカー用品が電源由来になっていることもあり、思わぬ負荷を課してしまっているケースも。ここではバッテリーの寿命や交換目安、気にするべき異変などを石川店長にお伺いしました。
Q. バッテリー上がりが多い時季はありますか?
A. 酷暑の影響もあり、ここ数年は例年よりも夏から秋にかけて多い印象です
バッテリー上がりでのお問い合わせは直接お客様が来店されるケースよりもJAFによるものがほとんど。ですが、ここ数年は今までに比べても多くなっているように感じます。最近のバッテリーは単純な温度変化では影響しない作りになっているはずなのですが、おそらく外気温が高いことでアイドリング中や停車中のエアコンや電装品(電源が必要なカーグッズなど)の使用などでバッテリーに負担をかけてしまうケースが増えていることが考えられます。
Q. バッテリーの交換時期や目安は?
A. 基本的には2年を目安に交換をおすすめしています
クルマのバッテリーの寿命は一般的に2〜3年が目安とされていますが、走行距離や使用頻度、気温の変化や電装品の使い方などで前後します。そのため、当社では2年ごとの交換をおすすめしています。ほとんどのユーザーが2年ごとに車検を受けているので、そのタイミングでの交換が管理しやすいのではないでしょうか。バッテリーは消耗品なので使用開始直後からゆっくりと性能が落ちていくもの。寿命の終わり頃には突然性能が低下してしまい、「昨日まで問題なく動いていたのに朝になったらエンジンがかからない」といったトラブルが起こる場合があります。定期的な点検と早めの交換が肝心です。
Q. 素人でも気付けるバッテリーの異変とは?
A. わかりやすい例だと“ヘッドライトの明るさ”!
最も気が付きやすいのはヘッドライト等の灯火類の明るさでしょうか。あとはエンジンがかかりにくいという点もあります。ただし、エンジンについては電気系統だけが不具合の要因ではないケースもありますので、“バッテリーの異変”としてわかりやすいのはやはりヘッドライトでしょうね。夜に「あれ、こんなに暗かったっけ?」と感じるようであればバッテリーの寿命が近付いているか、充電が足りないなどが考えられます。
もう少し踏み込むと、ボンネットを開けて実際にバッテリーを見てもらったときにバッテリーの溶剤が漏れている、なんてケースも。特に旅行などで遠くへ出かける前には確認しておいたほうが良いでしょう。単純なバッテリー交換に比べ、出先でバッテリーが上がってしまった場合は料金が高くなってしまいがちですし、大切な時間を浪費してしまいますから。
Q. バッテリーを長持ちさせる裏ワザみたいなのってありますか?
A. 裏ワザではありませんが、使い方次第では長持ちさせられます!
劇的に長持ちすることはありませんが、少しでも長く良好な状態を保つために、常日頃意識したいポイントがあります。
1. “ちょい乗り”を減らす
バッテリーはエンジンをかけてある程度の距離を走行することで充電される仕組みになっています。そのため数分ほどの短距離走行を繰り返すと充電不足の状態が続き、バッテリーの性能が低下してしまいます。しっかりと充電をさせるためにも、可能であれば週に1回は30分以上の連続走行(渋滞などがなくスムーズに走行できる状態で)を心がけてみてください。
2. “電装品”の使用量を減らす
エンジンを停止した状態でのエアコンやオーディオ、ナビ、あとはスマホの充電などはバッテリーに負荷がかかってしまう原因に。アイドリング中や停車中は充電ができない状態なので電装品は極力使用を避けましょう。また、昨今のクルマはさまざまな電装アクセサリーが展開されていますが、許容以上のタコ足を使用している人も注意が必要です。
3. “バッテリー上がり”をさせない
バッテリー上がりが一度起こるとその後の性能は大きく低下します。ヘッドライトや車内灯の消し忘れ、長期間のエンジン停止などは特に注意が必要です。エンジンを切る前に灯火類や電装品のスイッチをオフにする習慣を付けておきましょう!
Q. バッテリーの交換にかかる金額や時間は?
A. 当店では工賃が550円〜。作業時間は30分〜1時間が目安となります
バッテリー交換にかかる費用は車両や選ぶバッテリーの種類によって異なります。当店では作業工賃自体は550円〜となっていて、プラスでバッテリー本体料金が加算されます。バッテリーもさまざまなメーカーや種類がありますが、基本的に当店では信頼できるメーカーのバッテリーを推奨しています。普通車の場合は2万円前後がプラスされるイメージですね。作業時間はスムーズに行けば30分ほどで終了しますが、念の為1時間ほど見ていただけたら問題ないと思います。
Q. 通販サイトなどで売っている数千円の安いバッテリーとどんな違いがあるの?
A. 金額の差は“電力の供給量”の差に大きく関わります
確かに手軽に購入できる価格帯のバッテリーもありますが、当社推奨のバッテリーとの大きな違いは電力の供給量。安いバッテリーは電力の供給量が少なかったり、キャパ(許容量)自体が小さかったりするものがほとんど。どういうことかと言うと、充電が足りずにクルマに送る電力量がずっと少ない状態にあるということです。つまり、バッテリーが上がりやすくなってしまう。もちろんクルマの使い方によっては安価なバッテリーでも問題ない場合もあるかもしれませんが、特に近年登場した車種に乗っているケースですと電気系統に異変を生じさせてしまうことも。私たちとしては信頼を置けるバッテリーを提案しています。
Q. 交換って自分でもやっていいものなの?
A. 技術や知識があればOK。ただ、プロに任せた方が安心です!
エンジン回りとは異なり、独立していることから「自分でもできそう!」と思う方も多いかと思います。しかも一、昔前であればプラス・マイナスをきちんと把握して取り外しと取り付けの順番さえ守れたら自分でやるというのが一般的でもありましたから。ですが、昨今のクルマの場合、バックアップ電源が必要な場合も多くバッテリーを交換したという情報をクルマにインプットさせないといけないんですね。そのデータがリセットしてしまう危険もあるので、特に新しい車種に乗っている方はプロにお任せするほうが安心かと思います。
【最後に】バッテリーについて伺って…
今回は「タイヤ館 小平店」にご協力いただき、バッテリーについて教えてもらいました。筆者も一度バッテリー上がりを経験したことがありますが、レッカーを手配してその場で長時間待たなければならず、かなり不便な思いをしたことを覚えています。仕事の帰り道だったことが不幸中の幸いだったのですが、これが旅行先などと考えると…二度と経験したくないものです。今まで知らなかったバッテリーを長持ちさせるテクニックや電装品の多用など筆者自身も参考となることばかり。皆さんもバッテリー上がりには十分注意して、秋の行楽シーズンを愛車と一緒に楽しみましょう!
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>> 【連載】知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ
<取材・文/小林大甫 写真/稲澤朝博 協力/タイヤ館 小平>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/702146/
- Source:&GP
- Author:&GP