
コンゴとルワンダ周辺地域から産出された紛争鉱物を製品に使用したとして、Appleが米ワシントンD.C.を拠点とする非営利組織「IRAdvocates」から訴えられたことが分かりました。Appleは訴えの内容を「根拠に欠ける」と否定していますが、英ノッティンガム大学の最新の研究により、Appleとのつながりが明らかになっているとされています。
コンゴはスマホに欠かせない多くの鉱物を産出
「IRAdvocates」の訴えによれば、コンゴとルワンダ周辺地域から産出される紛争鉱物がAppleのサプライチェーンに入り込んでいるといいます。これに対してAppleは「強く反論する」と述べ、「根拠がない」と一蹴していますが、証拠として英ノッティンガム大学が2025年8月に公開した資料が挙げられています。
今回問題になっているのは、「紛争鉱物」と呼ばれる、劣悪で危険な労働環境や児童労働、武器の使用など、資源をめぐって生じるさまざまな紛争が関与する鉱物のことです。
コンゴは、モバイル機器の製造に欠かせないコバルト、スズ、タンタル、タングステンを多く産出しており、なかでもコバルトについては世界全体の約70%がコンゴ産とされるなど、重要な産出地となっていることは間違いありません。
問題となっているのは小規模の採掘
ノッティンガム大学の研究機関Rights Labが8月に公開した「血のバッテリー|コンゴ民主共和国におけるコバルト採掘の人権と環境への影響」と題された資料では、Appleやフォルクスワーゲンなどの企業がサプライヤー監査や問題解決を公約しているにもかかわらず、零細採掘場から調達されたコバルトが依然としてグローバルサプライチェーンに入り続けていると記されています。
ここで特に問題になっているのは、零細採掘(英語:Artisanal mining/アーティザナル・マイニング)と呼ばれる小規模の採掘作業です。こうした採掘は手作業や小規模な道具を使って行われ、児童労働や人権問題、労働安全衛生などのリスクが指摘されています。
零細採掘は、より大きな企業が行う採掘作業と異なり、危険を伴うものの、成果物は少人数で専有できるため、給料制で働くよりも実入りが良い場合があります。
Appleが使用している鉱物にも、こうした零細採掘によって採掘されたものが含まれている可能性がある点が、大きな問題とされているわけです。
Appleは100%リサイクル素材への切り替えを目指す
Appleは、自社製品に使用しているさまざまな鉱物を認定済み再生資源から調達することに努めており、2023年の時点では、製品に使用しているコバルトの52%がリサイクル素材であったと、2024年の環境報告書で記しています。
Appleは2025年までに、100%リサイクル素材のコバルトを自社製品のバッテリーに使用する予定だとしています。一方で、異なる特性を持つ原料を混合して製品を製造する際に、特定原料の量に応じて製品の一部にその割合を割り当てるマスバランス方式を採用しており、このやり方では紛争地域で産出された鉱物が入り込む可能性があると、前述のIRAdvocatesは主張しています。
Photo: University of Nottingham, Apple
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-599159/
- Source:iPhone Mania
- Author:lexi