【LCC大攻略2025】
今や、お得な長距離移動の選択肢のひとつとなったLCC(ローコストキャリア)。仕組みを知って上手に使えば、国内旅行も海外旅行も節約になること間違いなしなのですが、ANAやJALといったFSC(フルサービスキャリア)とは異なる注意点がいくつかあります。
そこで実際にLCCを使い、現地泊なしの日帰り台湾旅行を敢行。利用してみてわかったLCCならではの注意点をチェックしてきました。
今回初めて日帰り海外旅行をしましたが、これ案外悪くないかも。
■LCC第一関門「早朝出発便」
浜松町23:45発。終電から1本前の東京モノレールに乗車。日付が変わり0:03に羽田空港第3ターミナル駅到着。ターミナルには深夜とは思えないほど人がいます。
なぜこんな時間に羽田空港へ向かったのか。それは、超早朝便に乗るため。
目的の便は羽田5:45発のPeach「MM859」になります。Peach国際線のチェックイン時間は出発予定時刻の120~50分前なので、最終が4:55。そんな時間に公共交通機関で羽田空港に到着するのは不可能。ということで、ほぼ終電で向かったというわけです。
今回、LCC特集記事を作成するにあたりLCC各社のサイトを見ていたところ、目に留まったのがPeachの「弾丸往復運賃」でした。
いくつか行き先があるなか、台北を選びポチポチ進めていくと、あっけなく予約完了。出発8日前でしたが金額はたったの2万6740円。新幹線で東京ー大阪往復が2万7000円超なので、それよりお得な金額で海外往復できるなんて…。(※チケットの詳細は記事の最後に)
さて深夜の羽田空港第3ターミナル。ここは羽田で唯一の24時間開いているターミナルで、乗り継ぎ待ちなのか、それとも深夜着なのか、はたまた自分のように早朝発なのか、国際色豊かな人々が思い思いの場所で体を休めています。こちらもチェックイン開始となる3:45まで時間を潰さなければいけません。
ターミナル各階を徘徊しつつ、休めそうなところを探します。
横になれる肘掛けの少ないベンチは人気で、どこも埋まっています。でも、このあとのスケジュールを考えると、ちょっとでも横になりたい。そう思っていると、レストランが並ぶフロアのベンチがひとつ空いていました。硬いベンチですが、床で寝るよりはよっぽどいい。
羽田空港を発着するLCCは早朝か深夜に集中しています。実は羽田空港、この深夜早朝の時間帯(23:00~6:00)は着陸料の軽減措置があるそうです。そのため、羽田発着のLCC国際線はこぞってこの時間を利用しています。
■LCC第二関門「荷物制限」
ベンチで2時間ほど横になり、いい時間になったのでチェックインカウンターへ。
ぼちぼちカウンターがオープンしそうな雰囲気でしたが、ここで忘れてはならないのが荷物の重さです。
LCCを利用するにあたり、いくつか注意がありますが、最安料金にする場合、荷物の預け入れは不可で、機内持ち込みのみになります。さらにサイズと重さの制限もあります。航空会社によって微妙に異なりますが、だいたいが「3辺合計115cm以内」かつ「7kg以内」。サイズ115cm以内はさほど難易度が高くないのですが(容量40L以内であればほぼクリア可能)、問題は重さです。近年は旅行にもモバイルバッテリーやACアダプター、タブレット端末といったデジタルデバイスを持っていくのが当たり前になっていますが、これらは小さくても重い。
幸い(?)今回は日帰りなので、着替えは1日分のみ。ただ翌日に会社で会議があるため、約1kgのノートPCとACアダプター&ケーブル、さらに現地でのスマホの電源切れを防ぐためにモバイルバッテリーを2個を持っていました。
結果は5.5kg。直前に量って大丈夫なのは分かっていましたが、いつもこの瞬間はドキドキします。ちなみに7kgを超えてしまうと、問答無用で預け入れです。しかもカウンターで支払う場合、チケット購入時にオプションで付けるより高い金額になるので、重くなるのが分かっている人は、事前に預け入れオプションを付けておきましょう(お土産を想定して帰りの便だけというものアリかも)。
その後、ガラガラの保安検査を通り、自動化ゲートで出国審査を終え、あっという間に制限エリアへ。まったく並ばずに抜けられるのは早朝ならではですね。羽田発の国際線で5時台出発は自分が乗るPeach台北行きを含め2便だけ。6時台も2便。ガラガラなのも当然ですね。
まずは持参したカラの水筒に給水器で水を入れ、誰もいない場所でベンチに座りスマホを充電します。なぜならLCCは機内のドリンクサービスが有料です。さらにこの乗る機材の座席にはUSBポートが付いていません(エアバスA321LRという機材には付いてます)。こういう部分を簡素化することで、お得な料金が実現できているわけです。
チェックイン開始直後に制限エリアに入ったので、搭乗開始まで1時間半以上。ここなら安心して寝られるから(寝過ごし注意)、早朝便でゆっくり休みたいなら早めにチェックインして制限エリアに来ちゃうが正解かもしれません。
ベンチで少々うとうとしていたら搭乗時間に。この日は台湾に台風が来ていることからキャンセルが多かったらしく、搭乗率は半分とちょっとぐらい。LCCにしては珍しい。
LCCではお決まりの遅延もなさそうです。朝だからということもありますが、実はPeach、LCCとしては定時運航率はかなりいい。
国土交通省が発表した2024年度の定時運航率を見ると、出発(予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合)が85.6%、到着(予定時刻以降15分以内に到着した便数の割合)が84.56%となっています。
(※国土交通省 令和6年度国内輸送実績 特定本邦航空運送事業者に係る情報より)
LCCというビジネスモデルは、到着から出発までの時間をできるだけ短くして飛行機を多頻度で動かすことで成り立っています。そのため、どこかで遅延が発生すると玉突きでその後の便にも遅延が拡大していきます。そう考えると、定時運航率が約85%というのはかなりの好成績。東南アジア系のLCCではちょっと考えられない数字です。
この日もしっかり定時出発してくれました。
■LCC第三関門「機内設備&サービス」
機内に乗り込むと、まず感じるのが背もたれの薄さ。でもこれって、なるべく多くの旅客を乗せつつ、ある程度の座席間隔も確保できると考えると、案外悪くないのかも。
ちなみに今回乗った飛行機のシートは「プレリクライニングシート」と呼ばれるモノで、あらかじめ少しだけ背もたれに角度が付いています。そのかわり倒れません。え? それはしんどくない? と思われるかもしれませんが、これが意外と悪くない。なぜなら前のシートが倒れてくることがないから。そもそもエコノミークラスのシートって倒れても大したことないですよね。それを考えると、ちょっぴり角度は付いているこれぐらいでも寝るには十分です。
たしかに広くはないですが、恐ろしく狭いというほどではありません。身長180cm以上の人だと少々窮屈さは感じるかもしれませんが。今回の羽田ー台北は、行きが約4時間、帰りが約3時間。隣の席が空席なら余裕、満席となるとちょっとだけしんどそうな所要時間です。
飛行機はエアバスA320-200neo。全188席の小型機になります。世界中のLCCが使っている飛行機で、ベストセラー機です。どの国のLCCに乗っても、ほぼA320シリーズとボーイングのB737という小型機になるぐらい人気の飛行機になります。
前席背面にモニターは付いていません。コンセントやUSBポートもありません。ANAやJALなどのFSC国際線に乗り慣れた人にとっては寂しく思えるかもしれませんが、FSCでも国内線ならモニターが付いていない飛行機も多いので、そこはさほど不便を感じることもないかなと。時間潰しが必要なら、あらかじめスマホやタブレットに動画や電子書籍をダウンロードしておくといいかもしれません。ちなみに機内Wi-Fiもありません。
早朝なので羽田空港は空いていて、動き出してからもスムーズ。
滑走路前でも待たされることなく、いざテイクオフ!
安定飛行に移ってからも無料のドリンクサービスなどはなく、早朝ということもあり機内はまったり。
Peachは制限エリア内で買ったペットボトルなどの持ち込みが可能です(飲食物持ち込み不可のLCCもあります)。先ほど給水器でくんだ水を飲みつつ、ポケットに入っていた飲食メニューをパラパラ。
乗ったらお腹が空いてきたという人も、この価格なら機内で購入はアリかもしれません。FSCに乗っても、時間帯によっては機内食いらないという時ありますよね。そういう意味では欲しい人だけお金を払って買うシステムは、理にかなっている気がします。ちなみに早朝便だったので、途中から爆睡…。
なのであっという間に台北桃園国際空港に到着。寝ていれば本当にすぐですね。というか台湾って近い。
預け入れ荷物もないのでサクサク進み、現地時間朝9時には無事入境です。
■短い滞在時間でも十分楽しめる
帰りの便は同日20:55発。2時間ぐらい前には空港に到着しておきたいと考えると、これから使える時間は約10時間。さすがにがっつり観光というわけにはいきませんが、買い物目的の人なら十分かな。ちなみに今回は「台湾めし」がテーマです。
桃園空港からMRTの快速で台北駅まで約35分。いざ、めし旅へ!
いやー食べました。さすがに4食はやりすぎましたが(笑)。途中、地下鉄に乗ったりもしつつ、基本は歩いて腹ごなし。台湾ってごはんおいしいですよね。しかも少量のものあるので、食べ歩きにはもってこいの場所だと思います。街なかのところどころに公園があり、休憩もしやすいし。暑い季節ならカフェに入るのもアリ。異国感はありつつ、日本のように安心して歩けて、地下鉄やバスがたくさん走っているのでタクシーを使わずとも移動は簡単。日本人の旅行先として人気なのも頷けます。
そんなこんなしていたら、あっという間に夕方に。そろそろ桃園国際空港に戻りましょう。
復路は夜の時間帯。しかも台風が来ているので欠航が心配でしたが、どうやら飛んでくれるようです。空港に到着した頃には、強い風雨になっていました。昼間は奇跡的な天気だったのかも。
チェックイン開始時にはカウンター前には行列が。
帰りはどうやら満席に近い模様。今回はオプションで座席指定をしなかったので、どこになるかと思っていたら通路側でした。夜だから外を見てもあまり意味がないので、ちょうどいいかも。トイレ行きやすいし。
保安検査、イミグレを通り、ラウンジエリアにある無料休憩所でシャワーを浴びて休憩&充電&ちょっぴり仕事していたら定刻通り搭乗開始になりました。
羽田到着は日付が変わって定刻の0:50。さてここからどうするか…。
■LCC第四関門「深夜帰国」
約1日前にいたところに戻ってきました。海外に行っていたとは思えない感覚です。
さて問題はここからどうするか。事前に調べたところ、選択肢は3つ。
ひとつめが近くのホテル泊。第3ターミナル近くにはいくつかホテルがあり、タクシーでもさほど負担ではない距離にもあります。ただ最近は本当にホテル代が高い。どこも1万円超えは当たり前。せっかく航空券が安く済んだのに、ここで出費が嵩むのはなんだか本末転倒な気がします。
ふたつめが深夜バスで都心に移動。羽田空港第3ターミナルからは、深夜0時以降、0:20、1:00、1:40、2:20と4本のバスが出ています。行き先はバスタ新宿経由池袋駅東口行き。これで移動してネットカフェで朝まで過ごすもアリなんですが、ただしバス代が深夜料金になるので2800円。ネットカフェの料金も考えるとトータルで5000円超えになります。
最後の選択肢が「天然温泉 平和島」になります。羽田からバスで15分ほど離れた場所にある温泉施設で、ここにはなんと「羽田空港 深夜・早朝 無料送迎バス付きプラン」というのがあるんです。到着後の人向けの「Welcomeコース」と早朝発の人向けの「Flightコース」があり、どちらも5000円で館内着とタオルセット、朝食付き。「Welcomeコース」は14時まで滞在可能で、予約すれば迎えのバスが来てくれて第3ターミナル発が0:40、1:40、2:40。
ということで、今夜のお宿は事前に予約していた「天然温泉 平和島」。ひとっ風呂浴びて、リラックスルームで寝て、朝にも風呂に入り、無事会社へ向かいました。
■チケットを購入するときの注意点
今回利用した航空券はPeachの「往復弾丸運賃」です。設定路線は決まっていて、利用する便もあらかじめ決められています。現在は成田、羽田、関西、中部、福岡、那覇発のいくつかの便があり、国内線がメインになります(国際線は羽田ー台北(桃園)、中部ーソウル(金浦)、那覇ー台北(桃園))。今のところ2026年1月28日までは発売されることが決まっていますが、その後は未定です。
そしてこれはLCCあるあるなんですが、パッと見の金額に踊らされないよう注意が必要です。
なぜなら、今回の羽田ー台北(桃園)の場合、「運賃は」9500円なんですが、これに加えて発券手数料や諸税、空港施設使用料がかかります。さらに座席指定もすると、さらにプラスになります。
ただしPeachは、燃油サーチャージという原油相場に合わせて上下する料金を徴収していないのはありがたいですね。
さらに座席指定や荷物の預け入れをするのであれば追加料金が必要になります。
これらのオプションを一切付けなければ2万7000円を切る金額で台北往復ができるというわけです。でも例えば預け入れ荷物は帰りだけ購入しておいて、折りたためるバッグを持っていけば、現地でたくさんお土産を買っても安心だし、帰りだけは疲れているから別途料金を払ってでも広い座席を確保しておくなど、要は上手く使えばいいわけです。
往復弾丸運賃は国内線も多数設定されているし、路線によっては日帰りではないものもあります(名古屋(中部)ーソウル(金浦))。また路線ごとに設定日も限られてはいますが、もし「あ~どこかに行きたい」みたいに思った時は、まずはチェックしてみるといいかもしれませんよ。
今回、LCCを利用してみて痛感したのが、海外旅行を国内旅行感覚にさせてくれる存在だということでした。もちろん片道チケットを取りやすいので、国内旅行も国内移動も選択肢としてアリだと思います。もしまだ利用したことがないという人は、何かの際はまずチェックしてみてはいかがでしょうか。
>> Peach
<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web)>
円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジアのローカル料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得
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