たこ焼きを家で焼くと、どうしても“惜しい仕上がり”になることがあります。表面は焼けているのに中は緩い、四隅だけ火が通らない、焦げ付いて返せない、生地があふれて慌てる。味は悪くないのに、あと一歩うまくできればもっと楽しいのに、と感じる場面が何度もありませんか。
焼き網や鍋を前にすると“奉行”モードになる人がいるように、筆者の場合はたこ焼き“奉行”。食べるのも好きですが、焼いているあの時間がいちばん好きです。きれいに返せた瞬間の快感や、まんまるに焼き上げる過程がたまらない。だからこそ、仕上がりだけでなく“焼きやすさ”や“返しやすさ”が変わる道具には自然と目が留まります。
たこ焼きづくりで厄介なのは焦げ付きです。鉄板に生地を流し込んだ瞬間に温度が下がると張り付きやすく、返そうとしても動かず、無理に回せば形が崩れてしまいます。仕上がりは後から整えられるとしても、その時点で気分が削がれる。だからこそ、しっかり熱を蓄えて温度変化に強い鋳鉄は頼れる素材です。
さらに、鋳鉄には“育つ”楽しさがあります。使うほど油が馴染み、錆びにくくなり、生地の滑りも良くなる。長く使い続けるほど焦げ付きにくい状態へ育っていくのを実感できるのも楽しみのひとつ。串で返しても傷みにくく、輻射熱で中までじっくり火が通る点も、鋳鉄ならではの強みです。
こうした“焼きやすさの差”に真正面から応えようとしているのが、南部鉄器の老舗・及源鋳造(OIGEN)が発売する新作「てつだこ」(9680円)です。家庭で専門店のような“外カリ・中とろ”を目指すたこ焼き器で、カセットコンロで使うことを前提に設計されています。
厚みのある南部鉄の鋳鉄が熱をしっかり蓄え、生地投入時の温度低下を抑えることで張り付きを防ぎつつ、一気に焼き上げられる印象です。直火だけでなく輻射熱も加わるため、大玉でも芯まで火が通りやすく、細かな火力調整に気を取られずに済みそう。
形づくりの工夫も丁寧です。穴の立ち上がり角度が計算されていて、生地がスッと抜けやすく、串が引っかかりにくい形状になっています。返すときに「くるん」と軽やかに回るあの感触を支えているのが、フチの高さと溝のライン。あふれた生地を区切って戻しやすく、大玉・まんまるに仕上げる動きと相性が良さそうです。鉄製なので千枚通しで返しても傷つきにくく、高温でも歪みにくいタフさも魅力です。
カセットコンロの五徳にしっかり置ける安定感も、家庭では大きな安心材料。底面の形状はここを意識して設計されていて、しかも、四隅の穴まで火が回りやすいよう鋳物の厚みを部分的に調整しているとのこと。たこ焼き器で最後まで焼けないのが四隅、という経験にきちんと応えていると感じます。
ラインナップは本体単品に加え、千枚通しと油引きがセットになったものもあり、届いた日からすぐにたこ焼きパーティーが始められます。冊子「てつだこ ENJOY BOOK」には、王道レシピから岩手らしい具材のアレンジ、焼き方のコツまで掲載されているとのこと。年末年始の食卓や仲間内のタコパを、少し“本気の遊び”にしたくなる内容です。
家庭用たこ焼き器の選択肢は数多くありますが、南部鉄器が真正面から“誰でも専門店レベル”を取りにきた姿勢に惹かれました。高品質な鋳物のたこ焼き鉄板、欲しかったんですよね。たこ焼きを食べるのが好きな人にも、焼く過程が何よりのご褒美という人にも、手元でしっかり応えてくれる1台。5枚目の鉄板としてお迎えしようか本気で悩んでいます。
ちなみに個人的にベストなふわトロたこ焼きは、たこ焼き粉:100g、卵:1個、水:350ml、白だし:50mlがベストな配分。ポイントは、ひっくり返す前に4分の1だけ回して生地を追加すること。こうすることで、“ふわトロ”でもまん丸なたこ焼きに仕上がってくれるんです。ご参考まで。
>> OIGEN
<文/山口健壱(GoodsPress Web)>
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