車中泊が新たな旅のスタイルとして認知が広がっているのに合わせて人気が高まっているキャンピングカー。近年は災害時の備えとしての可能性も注目されるようになっています。実際に地震などの被災地ではキャンピングカーの利活用が進んでいます。特に2024年1月の能登半島地震では、多くのキャンピングカーが現地に持ち込まれ活躍したとのこと。どれくらいの数のキャンピングカーが、どのような使われ方をしたのか? 実際に現地で活動してきた人たちに聞きました。
■被災地で多くのキャンピングカーが活躍
「能登半島地震では約150台のキャンピングカーが被災地で活用されていました」と話すのは、キャンピングカーのシェアリングサービスなどを展開するCarstayの広報を担当する中川生馬さん。自身も石川県の穴水町に住んでいて被災や復興の現場を直に見てきた人でもあります。
Carstayで手配したキャンピングカーは延べ30台。日本RV協会も約60台のキャンピングカーを現地に派遣したと発表しています。「それ以外にもメディアや復興に関わる企業などが独自に手配したキャンピングカーもあちこちで見かけました。かなり多くのキャンピングカーが活躍していた印象です」(中川さん)
では、実際にどんなシーンでキャンピングカーは使われていたのでしょうか?
「我々はNGO・NPOや復興関連の事業者を中心に貸し出しをしていました。RV協会のものは自治体向けに貸し出され、主に職員さん、特に県外から派遣されてきた人たちの宿泊に使われたと聞いています」と話してくれたのはCarstayでCSO(最高営業責任者)を務める野瀬勇一郎さんです。2020年の熊本県人吉市での洪水災害や、コロナ禍での医療関係者へのキャンピングカー提供など、キャンピングカーを使った災害支援をしてきた人でもあります。
Carstayが一番にキャンピングカーを貸し出したのは、災害時の子ども支援を行っているカタリバというNPOでした。
「災害の際に子どもの居場所作りなどを行っているNPOです。支援をするスタッフの宿泊場所として使ってもらいました。当時は能登の宿泊施設はほとんど利用できない状態でしたが、避難所に泊まるわけにもいきません。キャンピングカーでしたら避難所の近くに泊まれます。配車したのは1月8日のことでした」(野瀬さん)
このとき貸し出されたキャンピングカーの中では、特にトイレ付きの車両が好評だったとのこと。被災地ではトイレについて衛生面や安全性などが問題になることも少なくありませんが、キャンピングカーの中であればこうした問題を解決できます。スタッフには女性もいたため、特に評価が高かったようです。
次に貸し出したのはNPO法人ピースウィンズ・ジャパンの災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」でした。災害時にヘリコプターや航空機、船などで現地に駆け付け、医療支援を行う医師や看護師のチームで、東日本大震災以降、ほぼ全ての国内大災害に出動しています。
「発生から2週間ほど経過した時期でしたが、それまでは大型テントで過ごしていたとのことでした。ただ、大型テントですとプライバシーもありませんし、疲れもたまります。継続的に支援を提供するためにキャンピングカーを使いたいとのお話でした」(野瀬さん)
ピースウィンズ・ジャパンはヘリコプターや船などは所有していますが、キャンピングカーは持っていなかったとのことでCarstayに声が掛かりました。災害現場を移動しながら、宿泊・食事・トイレ・暖房などを自己完結できるのがキャンピングカーのメリット。寒い時期だったため、エンジンを停止したままでも使えるFFヒーター付きの車両が重宝されたようです。
■移動できる生活空間が災害時に役立つ
この頃から、災害復興に取り組む事業者や団体からも声が掛かるようになります。
「当初は金沢に泊まって現地に通っていたようですが、それだと移動に4〜5時間かかってしまい、現地での作業時間が3〜4時間しか取れないような状況でした。現地に近い場所に宿泊できる拠点を作りたいとのことで、10台のキャンピングカーを貸し出しました」(中川さん)。
当時は電気も復旧していなかったため、ヤマハ発動機から発電機も借りて一緒に貸し出したとのこと。コンビニエンスストアの駐車場だった場所に設置して、災害支援活動の拠点となりました。車内では宿泊や休憩のほか、事務仕事なども行えるため事務所のような機能を果たしていたとのことです。
ちなみに、貸し出された車両は基本的にシェアリングサービスで利用されているもので、貸し出しに当たってはオーナーさんの許可を取って配車したとか。台数が多くなったため、現地への配車もオーナーさんなどの手を借りて行ったということでした。
災害時におけるキャンピングカーのメリットは「衛生面やプライバシーが守れて、電源が確保できること。そして生活空間となり移動ができること」だと野瀬さんは力を込めます。能登の震災においては、支援者向けの貸し出しでしたが、自分でキャンピングカーを所有していれば、避難所は利用する必要がありませんし、被災地から移動することも可能です。
「熊本の災害の際もそうでしたが、高齢者や乳幼児連れの方など弱者にあたる人ほど避難所を利用しづらかったりします。そのため車中泊をしていてエコノミークラス症候群になったという話もありましたが、キャンピングカーがあればそういった心配もしなくて済みます」(野瀬さん)
車内でテレビを見られれば情報も得られるし、子どもや高齢者には安心感にもつながります。冷蔵庫や電子レンジなどを備えているだけでも、食事についての心配も軽減されそう。近年はソーラーパネルの性能も上がっているため、エアコン以外の電力は太陽光でまかなうことが可能なモデルも多くなっています。
「実際に被災すると、家の中がめちゃくちゃになるので防災グッズをまとめておいても持ち出せなかったという話も聞きます。玄関にまとめて置いておけと言われますが、キャンピングカーの中に入れておけば、それこそ動く防災バッグのように機能します」(中川さん)
本格的なキャンピングカーの導入は難しくても、車中泊のできるクルマに防災グッズとポータブル電源を積んでおくだけでも災害時の安心感は向上しそうです。ちなみにトイレについては「ラップポン」という製品がおすすめだとか。使用後に凝固剤を入れてボタンを押せば1回ずつ強固な袋に収納できるため、汚れや臭いが出ることもなく、燃えるゴミとして出すことも可能。「私のキャンピングカーにも積んでいますが、少し大きめのクルマなら積んでおけると思います」(野瀬さん)。
「キャンピングカーを購入したら、ぜひCarstayのシェアリングサービスにも登録してください。使わないときは貸し出して収入を得ることもできます」と中川さんは話します。聞けばキャンピングカーオーナーが実際に利用するのは平均で年間20日程度なのだとか。使用しないときは貸し出せれば、維持管理費用などに当てられます。もちろん、災害時に被災地に貸し出して使ってもらうことも可能です。
日本はいわずと知れた地震の多い国で、台風や豪雨などの災害も増加傾向です。災害への備えとして、キャンピングカーの導入を考えてもいいのかもしれません。
>> Carstay
<取材・文/増谷茂樹>
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