【“ウォーキング”のススメ】
世の中は“大ランニング時代”、な気がしませんか? 有酸素運動の第一選択肢は当然ながらランニング。もちろんランニングもいいのですが「ランニングは体力的に…」「走るのが苦手」「もっと手軽に」といった人もいるかと思います。
そんな人にぴったりなのがウォーキング。老若男女、誰もが今すぐ始められて、体力的な負担もランニングほどではない。もちろん散歩だって立派なウォーキングです。散歩番組のように途中でお店に寄ったり、誰かと話しながらでもできる。ひとりで考える時間に充てるでもいい。
それに、ランニングのように走りやすくするためや怪我防止のためにいろいろ用具をそろえる必要もないですしね。
たしかに、ウォーキング用に何かを用意する必要はありません。普段履いている靴で、普段の格好で歩き始めても何ら問題はなし。でも聞いたことありませんか? ウォーキングシューズというものを。
そもそもこのウォーキングシューズとは何なのか。ランニングシューズとは何が違うのか。本格的にウォーキングするなら、やっぱりウォーキングシューズを使ったほうがいいのか。
あまり見かける機会、触れる機会がないかもしれないウォーキングシューズに秘められた実力を知るべく、ウォーキングシューズを手掛けるアシックス商事に聞いてきました。
■50歳頃を境に足と歩き方が変わる
「ウォーキングシューズとは“歩く動作に対して適切な設計が行われているシューズ”になります」
そう話すのは、アシックス商事でウォーキングシューズ開発に携わる蔀 雅詞(しとみ まさし)さんです。
「ランニングとウォーキングは、身体への負荷や動作が異なります。身体への負荷については、ウォーキングは体重の約1.3倍の負荷が着地時に掛かるのですが、ランニングの場合は体重の約2倍から3倍の負荷が掛かります」
また動作については、接地における違いが分かりやすいといいます。
「ウォーキングは両足同時に路面とコンタクトし、常にどちらか足が接地しているのに対して、ランニングは両足ともに路面から離れ片足で着地します。また接地時間については、ウォーキングは0.5~0.7秒なのに対し、ランニングは足を速く回転させるのでだいたい0.2~0.3秒しか着地しません。そのためウォーキングは身体にかかる負荷を両足で分散するのに対し、ランニングは片足だけ接地を交互に繰り返すため、大きな負荷がかかります」
さらに接地するかかとの角度も違うとのこと。
「ウォーキングのほうがランニングよりもかなり大きくなるんですね。そのため、ウォーキングシューズとランニングシューズではかかとの形状や角度の設計が異なります。もちろん蹴り出し時の角度も違ってきます」
これらの負荷や動作の違いを考慮してシューズは設計されているそう。だから、そもそもウォーキングシューズとランニングシューズは何もかもが違うとか。
とはいえ、いまウォーキングしている人の中にはランニングシューズを履いて歩いている人もいるかと思います。それは、よろしくないのでしょうか。
「いえいえ、ランニングシューズでは歩けないのかというとそんなことはなく、歩けちゃいますよね。ここまでお話ししたこともなかなか体感しにくいことかもしれません。ただ、ウォーキングシューズを履くことによって、パフォーマンスの発揮度という部分を感じやすくなり、より快適に歩くことができると思います」
また歩く際の歩行効率やエネルギー消費などが、ランニングシューズを履くことによって適正化されにくいとか。とはいえそれらも、体力があればあまり感じられないというところはあるといいます。ただし、年齢を重ねて筋力が衰えてきたり足や歩き方が変わってきたりした時に、このロスが感じられる方が多いのではないかと蔀さんは話します。
■ソールが硬いのはどっち?
では具体的にランニングシューズとウォーキングシューズではどこが違うのでしょうか。
「すべてではありませんが、大きな違いとしてクッション性があります。ランニングシューズの場合、概ね体重の約2~3倍の負荷が掛かった時に適したクッション性と反発性を生み出す設計になっています。反発性を生む設計はウォーキングシューズも同じなのですが、こちらの場合は概ね体重の約1.2~1.3倍の負荷を想定して設計されています。そのため、ランニングシューズを履いてウォーキングをすると、本来のパフォーマンスが発揮されない。過度なクッションや補強で歩きにくくなったりするなどがあります。逆にウォーキングシューズでランニングをすると、走るのに必要なクッションや補強が不足し、故障につながりやすくなってしまいます」
実はソールの硬さは概ね、ランニングシューズのほうがウォーキングシューズよりやわらかくなっています。そのため、履いてみるとランニングシューズは気持ちがいい。厚さもランニングシューズのほうがウォーキングシューズより厚いことが多いかと思います。だから履いた瞬間はランニングシューズのほうがフィーリングがいいなと感じるかもしれません。
しかし蔀さんは「中長時間や中長距離を歩けば歩くほど、過度にやわらかいソールの場合はバランスを取ろうとする力が働き、体にムダな力が入ってしまいます」と話します。
「ウォーキングシューズは歩く動作や負担に適したソールのため、足で地面をしっかり踏みしめることができます。だからこそ安定感が生まれて余分なブレが起きないようになっているんです」
体力や筋力のある若い世代でも、歩くことを考えた場合はウォーキングシューズのほうが効率が良く、足や身体にやさしい設計になっていて、いつもより快適に歩けるそうです。
■ランニングシューズのソールは歩く動作にはオーバースペックかも
かつてはウォーキングシューズといえば、シニア層が履く少し地味めのデザインというイメージがありましたが、近年はシニア層を始め中高年も感度が高くなってきていて、デザイン性も重要になってきているといいます。
また若年層にも選びやすいスニーカーライクなデザインのモデルも増えてきています。
例えば、長距離・長時間ウォーキング向けのトップモデルとなるアシックスウォーキングの「GEL-RIDEWALK 2(ゲルライドウォーク 2)」(1万7600円)は、まるでランニングシューズのような雰囲気。
「このゲルライドウォーク 2をはじめとしたライドウォークシリーズは、エナジーセービングといいう機能が搭載されています。これはコロンと転がるようなソールが足首関節のエネルギー消費を抑え、歩行効率を高める機能となります。元々ランニングシューズ用として作られた機能ですが、それをウォーキング用に適正化したものになります」
「エナジーセービング機能を搭載したランニングシューズは走る動作、スピードに合わせてエネルギーをセーブし効率良く前に進むために機能設計されているので、それを履いて歩こうとすると前に転がり過ぎて前につんのめってしまう。逆に無駄なエネルギーを使ってしまうことになります。その点、ゲルライドウォーク 2なら歩行の動作、スピードに適した転がりが生まれるようになっている。アシックスウォーキングでは、このような優れたランニングテクノロジーをウォーキング用へ適応させています」
また最近のランニングシューズはソールがとにかく厚く、かつやわらかい設計のものが多くなっていますが、その点については「体への負荷が大きいため、基本的に必要な設計だと思います」と蔀さんは言います。ただ、そのスペックは、歩く場合に関してはオーバースペックになってしまうこともあります。だからこそ、歩くことをしっかり科学し設計されたウオーキングシューズが最適ということになります。
「コロナ後は、年配層より若年層、とくに30代を中心にウォーキングする人が増えたというデータもあります。コロナでの外出自粛で運動不足を感じて、外に出られるようになったら手軽に始められるウォーキングが習慣化されているのだと思います」
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意外だったのが、ウォーキングシューズとランニングシューズがまったく別物だったということです。たしかにやわらかいソールは履いた瞬間、気持ち良く感じ「これで歩けば疲れなさそうだしラクかも」と思わせられます。
でもそのやわらかさは、歩くという動きにとっては負荷になることもあるわけです。
アシックスのスポーツモデルといえば、世界的なアスリートも愛用する最新技術の塊です。そこで培った身体の動きを分析する開発力がしっかりウォーキング用にも生かされている。もしこれから、ちゃんとウォーキングしてみようかなと思ったら、一度ウォーキングシューズを使ってみるのはアリかもしれません。ランニングシューズとは異なる設計思想を、歩けば歩くほど感じられるはずです。
>> アシックスウォーキング
<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web) 写真/高橋 絵里奈>
円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジアのローカル料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得
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- Original:https://www.goodspress.jp/columns/713769/
- Source:GoodsPress Web
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