【大人のご褒美ギフト】
年が明け、新しい年のリズムにも少しずつ慣れてくるこの時期。自分自身を発起させる意味も込めて、何かひとつ、身の回りのものを新調したくなる人も多いのではないでしょうか。ちょっとしたご褒美として選ぶのはもちろん、親しい人やパートナーへのプレゼントとしても成立する。そんなアイテムを改めて見直してみるのも悪くありません。
全6回でお届けするギフト特集。今回のテーマは「腕時計」です。ファッション小物の中でも、時計はやはり特別な存在。実用性がありながら、身に着ける人の価値観やスタンスがにじむ。大人たるもの、ここは外せない嗜みのひとつと言えるでしょう。
とはいえ、時計選びは思っている以上に選択肢が多く、価格帯も幅広い。勢いで選ぶには少しハードルが高いのも正直なところです。だからこそ今回は、「ちゃんとした1本」を無理なく選ぶための整理として、アンダー10万円から狙える本格時計に注目しました。
取材で訪れたのは、国産から海外、さらにはヴィンテージまで幅広く揃う時計店、TiCTAC 池袋パルコ店。今回は、同店のセールスプロモーションを務める増田 憲さんに話を聞きながら、自分用としても、相手に贈る1本としても成立するモデルを、価格帯別にピックアップしていきます。
増田 憲(ますだ・けん)|株式会社NEUVE A TiCTAC セールスプロモーション。入社以来、時計一筋でキャリアを重ね、店舗勤務を経て現職。池袋パルコ店をはじめ、現場での接客経験も豊富で、国産から海外ブランド、ヴィンテージまで幅広い知識を持つ
【1本目】無骨なミリタリーデザインに上品なゴールドカラーが映える
KUOE(クオ)
「tt-os90002-gd-iv-large-nato-bk-khaki」(6万900円)
TiCTAC増田さん(以下増田さん) まずご紹介したいのが、京都発のKUOE(クオ)です。ここ数年で一気に認知が広がったブランドで、京都の直営店はインバウンドの影響もあり、現地でもなかなか買えない状況が続いているそうです。
GoodsPress Web(以下GPW) 最近、名前を耳にする機会が増えましたよね。改めて、クオってどんなブランドなんですか?
増田さん クオは2020年に京都で誕生した、日本製の時計ブランドです。自社工房で組み立てや品質管理を行っていて、デザインから企画、製造、販売までを一貫して手がけています。その背景もあって、品質に対して価格がお手頃なのもポイントです。
GPW 今回ピックアップしていただいたモデルは、シンプルな3針で、ベゼルがゴールドカラー。上品だけど嫌味がなくて、どんなシーンでも着けられそう。
増田さん こちらは「OLD SMITH」というシリーズで、1940〜70年代のイギリス軍ミリタリーウォッチをベースにしたモデルです。イエローゴールドカラーのケースは、実はTiCTACの別注仕様。既存モデルにはない色で、ありがたいことにご高評いただいてます。
GPW サイズ感も小ぶりでいいですね。パートナーとシェアできそう。
増田さん ケース径は38mmと程よいサイズ感です。そのうえで、太めのアラビアインデックスやオレンジがかった蓄光塗料を採用することで、ミリタリーウォッチらしい高い視認性はしっかり確保。一方で、ケースはポリッシュ仕上げにしているので、全体としては上品な印象にまとまっています。
GPW 私は普段ハミルトンのカーキを愛用しているのですが、NATOベルトって腕なじみがいいんですよね。
増田さん ちなみに、バンドはブラックとカーキの2本が付属します。どちらも工具なしで簡単に付け替えられる仕様なので、服装や気分に合わせて表情を変えられるのも魅力です。
GPW それはうれしい。そういえばムーブメントは機械式でしょうか。
増田さん はい。日本製ムーブメントのCal.NH38Aを搭載した自動巻き(手巻き付き)です。10気圧防水も備わっているので、日常使いでも安心です。
GPW 6万円台でこの内容なら、はじめての機械式時計としても選びやすいですね。
【2本目】セイコーの機械式を“TiCTAC流”にまとめたニュークラシックウオッチ
SEIKO×TiCTAC(セイコー×チックタック)
「SZSB036」(5万5000円)
増田さん 次にご紹介するモデルも別注なのですが、こちらはTiCTACが35周年を迎えた2019年に、記念モデルとして誕生したシリーズの新色です。初代はブラックダイヤルで、想像以上に反響が大きく、長く支持されてきました。その流れを受けて登場したのが、このブリティッシュグリーンです。定番の延長線上にありながら、今の気分をうまく取り入れたカラーですね。
GPW セイコーでグリーンダイヤルというと、個人的にはアルピニスト(SBEJ005)が思い浮かびますが、こちらはより深みのある色合いですね。
増田さん 派手すぎず、それでいてブラックやネイビーとは違う存在感がありますよね。ファッションのアクセントとしても取り入れやすいと思います。
GPW そういえば別注って、カラーだけ変えているケースも多い印象ですが、こちらはどうなんでしょう。
増田さん 実はデザインを我々でイチから作ったモデルなんです。いってしまえばTiCTACオリジナルですね。もちろんさまざまなアーカイブは参考にしていますが、ケースや時分針のデザインなどはTiCTACが手がけています。
GPW それだけ手が込んでいて5万5000円という価格帯はなかなかのもの。
増田さん ありがとうございます。5万円台で、なおかつセイコーの機械式が選べるという点も、このモデルが支持されている理由のひとつです。裏蓋もシースルー仕様なので、所有欲という意味でも満足感は高いと思います。
【3本目】時計好きの間で人気上昇中のマイクロウォッチブランド
Brew Watch Co.(ブリューウォッチ)
「Metric Japan Limited Model MTRC-JPN-EDN」(7万4800円)
増田さん 次は少し毛色を変えて、ブリューウォッチをご紹介します。国内で実際に手に取って見られる場所はまだ限られているのですが、実はここチックタック池袋パルコ店が、世界初の常設展開店舗なんです。
GPW ブリューウォッチは個人的にも気になっていたブランドなので、実物を見られるのはうれしいですね。スクエア型のケースがなんともレトロで、おしゃれです。
増田さん 70年代のテレビ画面を思わせるクッション型ケースに、レトロな配色を組み合わせたデザインが特徴です。クラシックとモダンをうまく融合させていて、日常のスタイルをさりげなく引き立ててくれます。まだ日本では知る人ぞ知る存在なので、そこに魅力を感じる方も多いですね。
GPW 改めてですが、ブリューウォッチってどんなブランドなんですか?
増田さん ブリューウォッチはニューヨークを拠点とするブランドで、創業者であるデザイナーのジョナサン・フェラーが手がけています。コーヒーを淹れる時間や、待つ時間といった日常の「間」をテーマにしていて、時計そのものが会話のきっかけになるようなデザインを大切にしています。
GPW リューズにコーヒー豆のマークが入っているんですね。
増田さん そうなんです。コーヒー文化への愛情が細部にまで表れているだけでなく、時計好きにも刺さる意匠ですよね。今回ピックアップしているのは、ブリューウォッチの定番型である「Metric」シリーズ。その中でも、こちらは日本限定仕様のモデルです。
GPW インデックスの一部だけオレンジ色になっていますね。
増田さん ブラックダイヤルをベースに、コーヒーを美味しく抽出する目安とされる「25〜35秒」のインデックスだけをオレンジで強調しています。主張しすぎないですが、ブリューらしい遊び心がしっかり感じられるポイントですね。
GPW さりげないけど、ちゃんと語れるポイントがある。時計好きが惹かれる理由がよく分かります。
【4本目】世界初の発想から生まれた、ブローバの革新を象徴する1本
BULOVA(ブローバ)
「CURV 96A205」(14万3000円)
増田さん 次にご紹介したいのが、ブローバの「カーブ」です。これはデザインだけでなく、構造そのものがかなり特殊なモデルですね。
GPW 見た目からして、他の時計とは明らかに違いますよね。ケースが腕に沿うようにカーブしている。
増田さん はい。ブローバの「カーブ」は、世界で初めてムーブメント自体をカーブさせたクロノグラフを搭載しています。ケースだけでなく、中のムーブメントごと湾曲しているというのが最大の特徴です。
GPW ムーブメントごと、というのはすごいですね。普通はなかなか思いつかない発想です。
増田さん ブローバは、腕時計を「腕に装着するウェアラブルツール」として捉え直しました。そこから、より腕にフィットする形を追求した結果、ムーブメントを曲げるという結論に至ったそうです。ただ、曲げることのできないパーツの配置を見直したり、針が風防に触れないよう0.1mm単位で設計を詰めたりと、実際、開発には2年もの時間がかかっています。
GPW 途方もない道のりですね…。それでいて、この内容で価格が10万円台前半に収まっているのも、正直すごいなと思います。
増田さん そうですね。構造や技術の話だけを聞くと、もっと高くなっても不思議じゃないモデルだと思います。
GPW やっぱりこの時計を選ばれる方も、この構造に惚れる人が多いんですかね。
増田さん これだけすごいムーブメントを搭載しているんですが、実際は見た目で選ばれることが多いですね(笑)。時計の中でもブルーダイヤルは定番として人気が高いですし、若い世代の方からの支持も強いです。
GPW そしてムーブメントは…ハイプレシジョンクォーツですね。精度が高いやつだ。
増田さん はい。ブローバ独自の262KHzで振動する高精度ムーブメントを搭載しています。月差±5秒という精度も、このモデルの大きな魅力ですね。
GPW ブローバ自体、150年以上の長い歴史がありますし、時計そのものだけでなく、ブランドとしての厚みも感じます。
増田さん 性能やデザインだけでなく、その背景や積み重ねまで含めて選べるという点も、このモデルの魅力だと思います。
【5本目】セイコーが“究極の実用時計”として提示するひとつの答え
SEIKO ASTRON (セイコー アストロン)
「Nexter SBXC175」(35万2000円)
増田さん 次にご紹介するのが、セイコー アストロンのNexterシリーズです。アストロンの中でも、デザインと機能のバランスを高い次元でまとめたハイエンドなラインですね。
GPW アストロンというと、いわゆる“クオーツショック”のイメージが強いですが、新生アストロンは「GPSソーラームーブメント」を搭載しているのが特徴ですよね。
増田さん そうですね。GPS衛星電波修正によって、世界中どこにいても正確な時刻に自動で合わせられますし、そこにソーラー駆動を組み合わせているので、日常使いで時刻合わせや充電を気にする、といったストレスがほとんどありません。
GPW 実用時計としては、まさに完成形ですね。
増田さん はい。その中でもNexterは、スポーティさと上質感のバランスを意識したデザインになっています。
GPW たしかに。ベゼルまわりの質感がかなり印象的ですよね。
増田さん サファイアガラスを採用していて、光の入り方や透明感が特徴です。フラットな印刷ベゼルとは違って、見た目の高級感がグッと上がります。
GPW そして持ってみると、サイズのわりにかなり軽い。
増田さん ケースとブレスレットに純チタンを使っているので、見た目以上に軽く、腕なじみもいいですね。毎日着けることを前提にすると、この軽さは大きなメリットだと思います。
GPW スーツにも合うスタイリッシュなデザインですし、ビジネスマンからの支持率も高そうです。
増田さん 実際、アストロンはビジネス用途で選ばれる方が非常に多いです。海外出張がある方や、移動が多い方には特に支持されていますね。
GPW 精度、機能、装着感、デザインまで含めて考えると、むしろ30万円台に収まっているのが地味にすごいのかも。
増田さん おっしゃるとおりで、実用性を突き詰めた結果の価格帯だと思います。セイコーの技術力を象徴するモデルですね。
【6本目】一生モノの時計を現実的にする、“ヴィンテージ”という選択肢
IWC(アイ・ダブリュー・シー)
「ポルトギーゼ・クロノグラフ Ref. IW371445」(66万円 ※ヴィンテージ価格)
GPW そういえば、TiCTACさんはヴィンテージ品も扱っているみたいですね。
増田さん はい、一点モノにはなりますので、売り切れ次第終了、という点はご了承ください。最近入荷したものでGPWの読者さんにきっと喜んでいただけそうなのが、このIWCの「ポルトギーゼ・クロノグラフ」ではないでしょうか。
GPW IWCの中でも、特にエポックメイキングな存在ですよね。かっこいい。
増田さん おっしゃるとおりで、ポルトギーゼはIWCを象徴するロングセラーモデルです。クロノグラフを搭載しているにもかかわらず、ケースが薄く、全体としてとても端正なバランスにまとまっています。
GPW これはほしい。おっとヨダレが…
増田さん アラビア数字のインデックスと、すらっと伸びたリーフ針。この組み合わせは視認性も高く、デザインとしても完成されています。発売から長い時間が経っていますが、いま見ても古さを感じさせません。
GPW このモデルは金針ですが、青針もいいんですよねぇ…。
増田さん そこで迷われる方、多いですね。青針は爽やかさがありますし、金針はより落ち着いた印象になります。
GPW 今回の個体はヴィンテージ扱いですが、どのくらいの年代なんですか。
増田さん 2000年代のモデルですね。当時の純正ボックスと保証書が揃っている個体です。ヴィンテージ市場では、こうした付属品が残っているものは意外と少ないんです。
GPW そう考えると、66万円という価格も、かなり現実的に思えます。
増田さん 現行モデルは価格も上がっていますし、円安ということも相まって、なかなか手が出せないですよね。
GPW ちなみに保証やメンテナンス面も、ちゃんと対応してもらえるんですかね。
増田さん はい、TiCTACではヴィンテージにも6カ月の内部保証を付けていますし、保証終了後のオーバーホールや修理も対応しています。有料で保証期間を延ばすことも可能です。
GPW それなら、初めてヴィンテージに挑戦する人でも安心ですね。
増田さん 一点物なので出会いのタイミングは大切ですが、「最後の1本」として選ぶには、これ以上ないモデルだと思います。
* * *
今回はTiCTAC池袋パルコ店を訪れ、アンダー10万円から50万円を超えるヴィンテージまで、価格帯やキャラクターの異なる珠玉の腕時計を紹介してきました。
自分へのご褒美として、あるいは節目の1本として。実物を手に取り、プロの話を聞きながら選ぶ。そんな時間も含めて、時計選びの楽しさなのかもしれません。気になる1本があれば、ぜひ店頭で確かめてみてください。
>> TiCTAC
<取材・文/若澤 創 写真/田中利幸>
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- Source:GoodsPress Web
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