【大人のご褒美ギフト】
ギフトの定番として真っ先に思い浮かぶアイテムのひとつが「財布」です。キャッシュレス化が進み、その存在意義を問われる場面も増えましたが、日常的に財布を手放す人は、まだ多くないのが実情ではないでしょうか。
むしろ最近は、腕時計のように、自分の価値観やスタイルをさりげなく表す存在として捉え直す動きも見られます。
そこで今回訪れたのが、ランドセルや革小物を作り続けて60年の老舗ブランド、TSUCHIYA KABAN。六本木店の前田和英さんに話を聞きながら、いまのライフスタイルに合った財布選びの考え方や、素材の個性、日常での付き合い方など、さまざまな角度から財布の魅力を整理していきます。
前田和英(まえだ・かずひで)さん|2025年に土屋鞄製造所へ入社し、同年からTSUCHIYA KABAN六本木店の店長として勤務。財布やバッグなど革小物を中心に、素材やケアまで含めた提案を行っている
【アイテム1】手のひらサイズで使い勝手◎。“現代財布”の最適解
「ディアリオ ハンディLファスナー」(1万7600円)
TSUCHIYA KABAN前田さん(以下前田さん) まずおすすめしたいのが、お客様からの人気も非常に高い、小型のL字ファスナー財布です。
GoodsPress Web(以下GPW) やっぱり、いまはこのサイズ感が主流なんですね。
前田さん そうですね。最近はキャッシュレス派の方が増えてきていて、必要最小限のものをどうスマートに持つか、という考え方にシフトしています。
GPW なるほど。そう考えると、このL字ファスナーの形はかなり合理的ですね。
前田さん はい。ただ、必要最低限とはいっても現金が必要な場面はまだありますので、小型でも小銭やお札をきちんと収納できることは大事なポイントです。見た目以上に収納力があり、薄くてコンパクトなのでポケットにも収まりやすいですね。
GPW 確かに、これなら持ち歩きのストレスも少なそうです。
前田さん ちなみに「ディアリオ」は、イタリア語で“日記”を意味しています。タンニンなめしの牛革にオイルを含ませていて、使うほどに色艶が深まり、持ち主の時間が刻まれていくシリーズです。
GPW 革の色も、どこか独特な雰囲気がありますね。
前田さん こちらは数量限定のカーキです。ブラウンやブラックといった定番色を選ばれる方にも、意外とすっと馴染む色合いですね。
GPW 価格は1万7600円。革財布として考えると、かなり現実的だなと感じました。
前田さん コンパクトで気負わず使えて、それでいて革の魅力もしっかり楽しめる。いまのライフスタイルに合った、入り口として選びやすいモデルだと思います。
【アイテム2】手にした瞬間に違いがわかる。コードバンという素材の品格
写真左:「コードバン 長財布(縦型)002」(8万8000円)
写真右:「コードバン 二折財布 002」(6万8200円)
前田さん 次にご覧いただきたいのが、こちらのコードバンシリーズです。革のダイヤモンドと称される、希少な素材を使った財布になります。
GPW じっと見ていると、吸い込まれそうなくらい革の密度が高くて美しいです。
前田さん こちらは“水染め”によるコードバンで、革の表面に色(染料)を重ね、磨きと熱、ワックスで上品な艶に仕上げています。そのため、奥行きのある透明感と、澄んだ艶が生まれるんです。
GPW 耐久性という点ではどうなんでしょう。見た目がきれいな分、繊細な印象もあります。
前田さん 光沢感があるので、傷が目立ちやすいという側面はあります。ただ、革自体の強度は非常に高く、長くご愛用いただける素材なんです。それに、革製品の傷や色の変化って、必ずしも劣化ではないと考えておりまして、店頭ではよく「履歴」みたいなものだとお伝えしています。
GPW と、言いますと?
前田さん 傷は使ってきた証ですし、色の変化もその財布と一緒に過ごしてきた時間の積み重ね。革だからこそ、そういう変化を味として受け止められるんですよね。
GPW なるほど。「履歴」と聞くと、見え方が変わりますね。なんだか人生みたい。
前田さん ちなみに、今回のシリーズは昨年リニューアルしておりまして、コードバンらしい存在感はそのままに、厚みを抑えてスマートに持てる設計になっています。
GPW 色もいいですね。特に長財布のグリーンが気になります。
前田さん こちらはボトルグリーンという色で、光の当たり方によって表情が変わるのが特徴です。二つ折りはハバナブラウンで、コードバンらしい艶をしっかり楽しめる定番カラーですね。
GPW どちらも簡単に買える金額ではないですが、革の背景を聞くと納得感があります。
前田さん 実際にお客様からも、同じようなお声をいただくことが多いです。納得して選ばれる分、結果的に長くご愛用される方が多い印象ですね。
【アイテム3】堅牢さと品格を両立。ブライドルレザーの王道ロングウォレット
「ブライドル ファスナーロングパース」(5万8300円)
GPW GoodsPress Webでも財布は人気のジャンルなんですが、読者の反応を見ていると、長財布の根強い人気を日々実感するんですよね。ちなみに、長財布でおすすめはありますか?
前田さん それでしたら、「ブライドル ファスナーロングパース」は、ぜひご覧いただきたいですね。
GPW 見た目からして、かなり雰囲気があります。
前田さん こちらは英国の老舗タンナー、J&E セジュウィック社のブライドルレザーを使っています。牛革に蝋を何度も擦り込んで仕上げた革で、表面に少し白い粉のようなものが浮き出ているのが特徴です。
GPW この白っぽいのは、どういった意味合いがあるんですか。
前田さん いわゆる「ブルーム」と呼ばれるもので、革を守るために含ませた蝋が表面に現れたものです。革を乾燥や劣化、汗や雨などの水分から守るために、油分や蝋をたっぷり含ませています。使い始めは高い撥水性を備え、使い込むにつれて、風合いの変化を楽しめます。
GPW 使っていくと、革はどのように変わっていくのでしょうか。
前田さん 使い込むうちに自然と落ち着いて、艶が出てきます。そして、時間をかけて磨かれていくことで透明感のある光沢が増していきます。その変化もブライドルレザーの魅力ですね。
GPW 収納力も非常に充実していますね。
前田さん ファスナータイプなので安心感がありますし、札入れ、小銭入れ、カードポケットをしっかり備えています。カードは12枚収納できますし、領収書やチケットを入れられるフリーポケットも用意しています。
GPW 長財布派の人が求める条件は、しっかり押さえてますね。
前田さん そうですね。収納力とセキュリティ、その両方を重視したい方には特におすすめです。
GPW このダークグリーンの色味もいいですね。ちなみにグリーン系は人気なんですか?
前田さん ありがとうございます。定番色に比べると数は多くありませんが、グリーン系は根強い人気があります。深みがあって、使い込むほどに表情が増していく色ですね。
【アイテム4】本革の王道を日常に。タフさと品を備えたヌメ革二折財布
「ヌメ 二折財布」(3万9600円)
前田さん 再度、二つ折りの財布に戻りますが、土屋鞄を代表する素材のひとつでもある「ヌメ革」を使ったモデルをご紹介させてください。
GPW そもそも「ヌメ革」って、どういう革なんでしたっけ。
前田さん ヌメ革は、植物由来のタンニンなどを用いた素朴な仕上げの牛革です。表面加工をほとんど施していないので、革本来の質感や表情がそのまま残っています。
GPW いわゆる、「革らしい革」という感じですね。
前田さん そうですね。シンプルで自然なものが好きな方や、飽きのこないデザインを探されている方に選ばれることが多いです。それでいて革自体は非常に丈夫なので、丁寧に使っていただければ10年、20年と使える素材でもあります。
GPW 正直な話、さっきのコードバンはちょっと気を使いそうだなと思ったんですが、これはもう少し気負わず使えそうな印象があります。
前田さん まさに、そこがこの財布の魅力ですね。ガシガシ使いながら、自分のものに育てていく感覚を楽しめる革です。
GPW 中のつくりも、かなりオーソドックスで使いやすそうですね。
前田さん はい。王道の構成で、札入れ、小銭入れ、カードポケットをバランスよく配置しています。札入れには仕切りが付いていて、領収書などを分けて収納できるのもポイントです。
GPW 内装の縁の処理は…これ、どうなっているんですか?
前田さん 内装は、革を折り込んで仕上げる「縁返し」という仕様になっています。見えにくい部分ですが、こうした細部の仕上げにも手間をかけているのが、土屋鞄らしいところですね。
GPW 手が込んでいますね。
前田さん 派手さはありませんが、長く使うほどに良さがわかる財布だと思います。日常使いの相棒として、じっくり付き合っていただけたらうれしいですね。
【アイテム5】60年の歩みを体現する「TSUCHIYA Class」
「TSUCHIYA Class レベーヌ フォールディングウォレット」(6万500円)
前田さん 次にご覧いただきたいのが、こちらの「TSUCHIYA Class」ラインの財布です。土屋鞄が60周年を迎えたタイミングでスタートした、新しいコレクションですね。
GPW なるほど。これまでの土屋鞄とは、少し雰囲気が違いますね。
前田さん 素材や仕立て、デザインすべてにおいて、よりエレガントさを意識しています。こちらの「レベーヌ」シリーズは、フランス語で“黒檀(コクタン)”を意味する名前が付けられていて、重厚さと品の良さを併せ持つ佇まいをイメージしています。
GPW このグレーの色味もそうですし革の質感もすごく上品ですね。
前田さん メイン素材には、イタリアの老舗タンナー、ILCEA社のイタリアンボックスカーフを使っています。きめが非常に細かく、光を受けたときの陰影が美しいのが特徴ですね。
GPW コードバンの財布を見たときと同じように、見た瞬間、質の良さが伝わってきます。
前田さん そうですね。この革は、しっかりとしたハリとコシがありつつ、なめらかさも兼ね備えています。あえて装飾を抑えたデザインにすることで、素材そのものの美しさが際立つようにしています。
GPW がま口の金具も、控えめで大人っぽいですね。
前田さん 四角い形状のつまみを採用していて、可愛らしさよりも品の良さを意識しています。シルバー系の金具なので、甘くなりすぎないのもポイントですね。
GPW 「TSUCHIYA KABAN」のロゴもさりげない。ちなみに、このグレーカラーは使っていくとどのように変化していくんですか?
前田さん こちらは革の自然な風合いを残しながら、薄くコーティングを施すことで、使いやすさも両立した仕上げです。そのため、色や表情を育てるというよりは、今の美しさを長く保ちながら使っていただく革ですね。
GPW なるほど。変化を楽しむというより、完成された状態を楽しむ。
前田さん そうですね。きれいなまま、品よく使い続けたい方には、非常に相性のいい財布だと思います。
【ちなみに】難しく考えなくてOK。革財布のお手入れの基本
GPW 革財布って、長く使えるのは魅力ですけど、お手入れが大変そうという声も正直ありますよね。
前田さん そうですね。でも、実は一番簡単なお手入れは「拭く」だけなんです。柔らかいクロスで、日常的にさっと表面を拭いていただくだけでも十分違います。
GPW それなら、かなりハードル低いですね。
前田さん はい。ホコリを落とすだけでも革にはいいですし、軽く摩擦をかけることで、革に含まれている油分が表に出て艶につながります。もう一歩やるなら、馬毛のブラシで軽くブラッシングするのもおすすめですね。
GPW クロスで拭いて、ブラシでサッと、という感じですか。
前田さん もちろんどちらか一方だけで大丈夫です。お財布や小物ならクロスが扱いやすいですし、バッグなど大きいものはブラシが向いています。
GPW クリームは、どれくらいの頻度で使うものなんでしょう。
前田さん 目安としては、革に乾燥を感じたときですね。だいたい2〜3か月に一度くらい。量も本当に少しで、米粒くらいを薄く伸ばす程度で十分です。塗りすぎてしまうと、ムラになったり白く浮いてしまうので注意が必要です。
GPW 防水スプレーは使っても大丈夫ですか?
前田さん はい。ただ、種類によって相性があるので、なるべく革に合ったものを使うのがおすすめです。使い方としては、一ヵ所に集中してかけず、全体にふんわりですね。
GPW なるほど…。とはいえ、自分でやるのはちょっと不安、という人もいそうです。
前田さん TSUCHIYA KABANの製品でしたら、店頭での無料お手入れサポートも行っています。予約不要で、何度でもご相談いただけますよ。
GPW それは心強いですね。お手入れまで含めて、長く付き合えるという感じがします。
* * *
さて、いかがでしたでしょうか。気になるものがあれば、実際にお店で革の質感やサイズ感を確かめてみることをおすすめします。
そして何より、新しい年を迎えた今、財布を見直すには絶好のタイミング。ぜひ自分にぴったりな一品を探してみてください。
<取材・文/若澤 創 写真/田中利幸>
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