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ベトナム生産開始時のエピソードからも伝わる「EVERGOODS」のモノ作りの極意

2026年1月31日、アメリカ・モンタナ州発の新進気鋭バッグブランド「EVERGOODS(エバーグッズ)」の総代理店、サンウエストのストアに、創業者でありデザイナーのケビン・ディー、COOのローガン、ホールセール担当コーディが立つ、ファンとの交流イベントが開かれました。

これに先立ち、プロダクト製作の背景を聞きました。

 

■構造を理解するため100日間のミシントレーニング

EVERGOODSはふたりで立ち上げた会社ですが、EVERGOODSの製品に興味を持ってくれる人が増え、スタッフも10人を超えました。いったいどんな人たちが製作に携わっているのでしょう。

▲EVERGOODS創業者のひとり、ケビン・ディー

「EVERGOODSの製品に対して興味を持ってくれる人、評価している人たちぞろいです。経歴もさまざま。プロダクトチームに限っては、新しく参加する人に100日間の縫製トレーニングを受けてもらっています。ミシンを使ってEVERGOODSのサンプルを作るというもので、どのようなデザインの製品が、どのように組み立てられているのかを理解してもらわないと製品開発ははじまりません」

プロダクトチームの責任者であるケビンは、彫刻から独学で縫製技術を身につけ、アウトドアブランドの技術開発チームに籍を置いた異色の経歴を持ちます。そんな彼だからこそ、構造を知ることの重要性を熟知しているのでしょう。

▲「CIVIC ACCESS POUCH 2L」は全開閉が基本なので、ワンアクションですむようにあえてファスナーをシングルに。「ダブルのほうが使いやすいと思っていたけど理由を聞いて納得しました」とGoodsPress Web編集部・エンドウ

製品開発にあたり、アウトドアや旅が好きという人のほうが新しいアイデアが出そうですが、ケビンによると必ずしもアウトドアや旅が好きという人ではなくてもいいとのこと。

「製品はチーム全員で作り上げるものなので、チームがデザインディレクターの考えに理解を示し、使い方や機能を作り込めばいいんです。だからハイキングや旅行が趣味である必要性はなく、それよりも素材、縫製に興味がある、好きということのほうが重要なんです」(ケビン)

▲コードを引っ張ることで無理なく圧縮できる仕分け用ポーチ「TRANSIT PACKING CUBE 10L」。斬新なアイデアで旅をサポートする

 

■工場選びでは製造ラインが大きな決め手

プロダクトチームはパックを理解するために徹底的に縫製を学びますが、店頭に並ぶ製品はベトナムの工場で作られています。

近年は、バックパックやウエア、テントといったアウトドア製品からインテリア雑貨に至るまで、ファブリック製品の多くがメイド・イン・ベトナムに。繊維産業の世界的な拠点となっています。

「ベトナムは縫製技術がすばらしく、職人の賃金は上がってきていますが、それでもまだコスト的な競争力がある国です。また、ひとつのバックパックを作るにためには生地や糸だけでなくいろんなパーツ、部品が必要です。サプライヤーが工場のすぐそばにあるなど環境が整っているんです」(ケビン)

現在、EVERGOODSの製造を担当している工場は、ケビンが知人に紹介してもらった工場のひとつ。

「いろいろな人におすすめ工場を聞いてまわり、リストアップ。最終的に6社に絞り、縫製技術や工程と検査、仕上がりを自分の目で確認してから現在の工場と契約しました」(ケビン)

▲「CIVIC PANEL LOADER 24L」

縫製技術を確認するにあたり、ファーストプロダクトとなったCIVIC PANEL LOADER 24Lのサンプルをパーツごとに分解したものを6つの工場に送付したそう。

「縫って組み立てれば完成するというものを送りました。これをどういうオペレーションで作るか、生産ラインのレイアウトはどうなっているのかを確認するためです。ミシンや品質検査の配置は非常に重要で、製品ができてからチェックするのは当たり前。

現在契約している工場では、全行程の中でパーツができるたびに品質を確認しています。そうやってきちんと作られたパーツを組み立てて、最後に製品全体の品質を確認する。このマメな品質検査が決め手。モノ作りに真摯に取り組んでいることが伝わりました」とケビンは満足げ。

品質の検査に関しては、工場側と素早くコミュニケーションをとれるよう、EVERGOODSスタッフがベトナムに在住しているとも。徹底しています。

▲ホールセール担当のコーディ(左)とCOOのローガン(右)

ローガンによると、アメリカでは旅行用のバッグとしてどんな要素が必要かを考えるけれど、日本のユーザーはデザイン重視でチープに見えない質感の良さを求めているとか。

プロダクトチームが吟味した素材を使い、技術力の高い工場で製造されているとなれば、日本でEVERGOODSが受け入れられつつあるのも納得です。

 

■既存製品のアップデートを重ね、じっくり新作に取り組む

▲街歩きに便利なスリングとヒップパック

ふたつのバックパックからスタートしたEVERGOODSですが、ヒップパックやダッフルバッグ、スリングなどタイプ違いのバッグがラインナップされるようになりました。アクセサリーもバッグ内の仕分けに便利なポーチがズラリ。

ラインナップの拡充は今後も続くのでしょうか。

「EVERGOODSでは市場にあるモノから課題を見つけて改善して、より使いやすく完成度の高いモノを作り込んでいます。この姿勢はEVERGOODSファンもよくわかっていて、いろいろなリクエストが届くんですよ」とローガン。

「EVERGOODS、まだこういうのは作ってないよね。作ってほしいね」「他社の製品を使っているけど、EVERGOODSにはもっといいものを作ってほしい」なんて声が届くそう。

こうした声はケビンも理解を示していますが、やたらめったら新製品を開発するつもりはないと言います。

「新しいモノも作るけれど、同時に今ある製品をよりよいものにアップデートして完成度を高めることも重要。製品にはそれぞれ個性があるので、それを念頭に置いた上で、何を増やしていくか慎重に考えないとね」(ケビン)

シーズンごとに新製品を投入してラインナップを拡充させるブランドがあります。商品選びの楽しさはありますが、膨大な商品から自分にあったバッグを選ぶのはかなり悩ましい側面も。

「EVERGOODSの製品は、旅行のため、通勤のためなど目的をもって選んでほしいと考えています。ラインナップが増えすぎると選びにくくなるし、品質を維持できなくなる危険も高まります。だからラインナップを拡充するにしてもゆっくり、ゆっくり。アップデートを中心に、じっくり増やしていきたいですね」(ケビン)

(グローバル展開についての考えやバックパックの設計思想などが語られる前編も公開中です)

>> EVERGOODS

>> サンウエスト

<取材・文/大森弘恵 写真/逢坂 聡>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X

 

 

 

 

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