【大“電動化”時代到来!特集「バッテリー」】
EV(電気自動車)と聞くと、多くの人が抱くのは「充電が面倒そう」「遠出は無理なんでしょ?」というイメージではないでしょうか。EVはどこまで実用的なのか。その答えを確かめるために、本来は街乗りが主戦場の軽EV、日産「サクラ」(Xグレード:259万9300円〜、Gグレード:308万2200円〜 ※2026年2月現在)で東京〜名古屋を、箱根の峠越えを挟みつつ往復しました。総走行距離は755km。あえて街乗りに強いEVを限界まで連れ回し、「軽EVの乗り心地や充電事情、街乗りと高速・長距離移動のリアル」を整理していきます。
■日常の足としての“走り”はどうか
何と言っても気になるのは、“EVって本当に日常の足として乗れるの?”ということ。結論から言えば、日常の移動という観点では加速や坂道走行で力不足を感じる場面などはほとんどありませんでした。
乗り心地としては、基本的には普段ガソリン車に乗っている人でも違和感は少ないと感じました。むしろ、高出力のモーターのおかげで、高速道路の合流時に必要な加速力や坂道走行時の登坂力については、むしろガソリン車よりも優れているかもしれません。
軽くアクセルを踏むだけでスーッと加速していくのは、EVならではの感覚です。しかもエンジン音がないので静音性が高く、坂道でも平坦な道でも快適です。
アクセルを戻すと自動的に減速し、そのときの力を電気に変えてバッテリーに戻す仕組み(回生ブレーキ)のおかげで、渋滞時でもアクセル操作だけで速度を調整でき、ペダルを踏み替える回数が減り、足の疲れが明らかに少ない印象。
なお、今回22時間の旅の中でも最も効果を発揮したのは、峠の長い下り坂。ほぼ回生ブレーキのみで下りきれるほどで、クルマの運転に不慣れでギア操作が苦手な人にぴったりの機能と言えます。
なので、こと“街乗り”に関してはほぼガソリン車と同様の感覚で乗れますし、ガソリン車よりも快適な場面も多かったように感じます。
■軽EVでの遠出は現実的?
一方で、高速道路を使った長距離移動となると話は変わります。走行そのものは街乗りと変わらずスムーズですが、一度に走れる距離は長くありません。実際には残量を見ながら80〜100km前後ごとに充電を挟むような運びになります。
また、ガソリン車と同じ感覚で速度を上げると、残量は想像以上の速さで減っていきます。今回は時速80kmを目安に走行しましたが、それでも片道4回、合計で約2時間の充電が必要でした。時速80kmで1時間走ると、残量はおおよそ80%から30%前後まで低下。
結果として、移動時間はガソリン車より30分から1時間ほど長くなる感覚でした。
そう考えると、EVはガソリン車よりも“毎日どれくらい走るのか、家で充電できるのか”をしっかり考えたうえで選ぶ必要があります。ガソリン車ならどの軽でもある程度は高速・長距離移動ができますが、軽EVではバッテリー容量という明確な限界があります。逆に言えば、街乗り特化として考えれば軽EVはかなり快適なクルマなので、目的をしっかり絞れば、現実的な選択肢になりそうです。
■充電を移動プランに組み込むのがマスト
走行性能の次に気になるのが充電事情。充電方法は大きく2つあり、まず自宅に設置した充電設備を利用した充電。もうひとつが街中やSA/PAで見かける充電器を利用した充電です。
そもそも自宅で充電する場合、一般家庭用のコンセントからはできません。自宅で充電する場合は専用コンセントの設置が必要。夜間に充電しておけば、翌朝には100%にできるので、戸建てであれば間違いなく便利。所有するならぜひ設置したいと今回の検証を経て思った次第です。
もう一方の充電器を利用した充電については、普通充電器(3~6kWh)と急速充電器出力20〜150kW)の2つ。ただ、普通充電器は100%になるまで6時間以上かかることもあるので、出先であれば急速充電器を探して使うのが現実的。
急速充電は原則1回30分まで。車両側のバッテリー容量や充電器の出力によりますが、その30分でおおよそ残量0%から80%前後まで回復します。途中で止めることはできますが、80%前後まで充電するためには30分は必ずかかります。なので、時間に余裕をもった移動が必要になります。
また、充電ステーションが増えてきたとは言え、まだまだガソリンスタンドと比べるとその数は多くはありません。遠出をするなら出発前に目的地まで充電なしで行けるのか、途中で充電が必要ならどこでするかなど、プランをしっかり練っておくと安心です。街乗りオンリーであれば、生活圏内のどこに急速充電器があるかを頭に入れておくと良さそう。
急速充電器の場所をマップ上で検索できるアプリを活用する以外にも、各自動車メーカーの販売店に設置されていることも多いので、困ったときには訪ねてみると◯。なお支払いについては、スマホアプリやクレジットカード、QR決済などが可能な端末や、“充電カード”と呼ばれる月額料金を払うことで割安で充電ができるサービスなど、選択肢は様々。自宅と外出時、どちらで充電する機会が多いのかで選ぶと良さそうです。
ちなみに今回地味に手間取ったのは“充電できるホテル探し”でした。予約サイトの設備欄に記載がある場合もありますが、記載がないケースも多く、その都度ホテルの公式サイトを確認したり、電話で問い合わせたりする必要があります。このあたりは今後に期待したいところです。
■メーカーに直撃:日常使いでの「お金」と「安心」
無事に旅を終えた後、日産自動車の「サクラ」マーケティング担当の石田さんに、今回の旅で感じた疑問や、「維持費」と「トラブル」について直撃しました。
── 実際に872km走ってみて電気代の安さに驚きましたが、普段使いだとどれくらいお得なんでしょうか?
「サクラのバッテリー容量は20kWhなので、自宅充電の場合、電気料金のプランや地域にもよりますが、1kWhあたり約30円と仮定すると、空の状態から満充電にしても約600円程度で済みます。 ガソリン車よりも全然リーズナブルですし、自宅で寝ている間にスマホのように充電できます。さらにEVはエンジンオイルの交換も不要なので、メンテナンス費用も含めたランニングコストは劇的に抑えられますよ」
── 自宅に充電設備がないと導入は難しいですか?
「戸建ての場合は、自宅に専用コンセントを設置されている方が多く、そのうち約8割のオーナー様が10万円未満の工事費で施工されています。一方で、マンションにお住まいで自宅充電ができない方もいますが、そうした方は“生活圏内の充電”を活用されています。 今は全国に約4万口もの充電器があり、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどにも設置されています。“買い物のついで”に継ぎ足し充電することで、ご自宅に設備がなくてもお使いいただいていますね」
── もしうっかり充電し忘れて、電欠したらどうなりますか?
「まず、バッテリー残量が0%になっても、いきなり急ブレーキがかかったようにガツンと止まるわけではありません。出力は制限されますが、路肩に寄せる程度にわずかに移動する余力は残るように設計されています。その後、ニュートラル状態で停止します。 また、オプションの純正ナビには、目的地を設定すればナビ上に充電スポットを表示する機能があります。これらの機能を活用すれば、基本的に電欠のリスクは回避できるはずです」
* * *
755kmを走ってみて分かったのは、軽EVは万能ではないという当たり前の事実と、それでも使い方が合えば十分に成立するという現実でした。長距離を頻繁に走るなら慎重に考えるべきですが、日々の移動が中心であれば、軽EVは想像以上に快適で合理的な選択肢になります。少なくとも今回の755kmは、その判断材料としては十分な距離でした。
>> 日産自動車「サクラ 」
<取材・文/山口健壱(GoodsPress Web) 協力/日産自動車>
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