「イタリア製スクーター」と聞くと、多くの人がピアジオ社のベスパを思い浮かべると思いますが、このベスパと人気を二分し、あるいは熱狂的なファンからはベスパ以上の評価を受けたスクーター・ブランドがイタリアにもうひとつあります。それがランブレッタです。
今日の日本では、個性的かつ優れた輸入バイクばかりを販売するモータリストがランブレッタの正規代理店となり輸入。全国各地のバイクショップにて「統一価格」による販売を行っています。
世界中のスクーターと比べてみても、デザインがとにかくカッコ良く、乗り味もマイルドで素晴らしいと評判のこの最新モデルのランブレッタの細部チェックと試乗をしに、モータリストのショールームを訪ねました。
■「モッズ」のアイコン的なスクーターとして知られるランブレッタ
まずはじめに、ランブレッタのストーリーをご紹介します。
イタリアのペーシャという街で、金属加工工場を営んでいたフェルナンド=イノチェンティ社が、1947年にスクーターの製造を開始。以降、世界中で人気を博すブランドへと成長しました。
特に有名なのが1950年代後半から1960年代中頃にかけてのイギリスの若者たちの間で大ブームとなった「モッズ」のシーンでは、ランブレッタにまたがる若者が急増。ベスパと人気を二分する格好になり、合わせて「モッズ」ムーブメントのアイコン的なスクーターとしても知られるようになります。
70年代に入り、イタリアの労働争議の嵐に巻き込まれ、ランブレッタの工場が閉鎖されますが、以降も根強い人気があったため、近年まで多くの不法モデルが出回ることにもなりました。
ランブレッタ・ブランドを保有し続けたイノチェンティ家は、しばしもどかしい時代を過ごすことになりましたが、後に世界中の類似商品の製造・名称使用の差し止めに着手。2017年には、オーストリアのバイク販売メーカー、KSRグループとの共同出資により、改めてランブレッタ有限会社を設立。同年のミラノモーターサイクルショーで正式に「ランブレッタ復活」を発表しました。
■かつての面影をうまく残したシャープなデザインが◎
ランブレッタと人気を二分したベスパも、現在は4ストロークの最新モデルが複数発売されています。いずれも先進的なデザインでカッコ良いものばかりですが、ただし、かつての「鉄スクーター」時代の面影は薄く、特に古くからのスクーターファンにとっては賛否が分かれるものにもなっています。
その点、今回触れたランブレッタV125Special Flexは1970年代までの「クラシカル感」を、最新モデルにも継承していて、結果的に現代のスクーターでは唯一無二のデザインにもなっており、特別感と伝統を強く感じさせます。
まず目を奪うのが、かつてのランブレッタに多く採用されてきた8角形のライトと、シャープに流れるようなボディラインでしょう。
このボディの構造は伝統的なスチール・モノコック形式で、他の現代のスクーターにはない高剛性を実現しています。また、足回りは、古典的なドラムブレーキのようにも見えますが、これはあくまでもデザイン的なアクセント。実際はディスクブレーキを採用していて制動性も十分です。
ここまでを見て、デザイン面ではできる限りランブレッタの伝統を守り抜きながらも、進化した現代のスクーターに負けず劣らずのモデルに進化しているという印象でした。
■機能面では、先進機能と実用性が満載
一方、ランブレッタの最新モデルは、先進機能と実用性満載なモデルでもあります。まず、シート下はメットインボックスとなっていて、このボックスをさらに外すと、電気系統やキャブレターなどがお目見え。メンテナンスなどの際に、手を入れやすい利点があります。
また、灯火類はすべてLEDを採用。スピードメーターなどはLCDディスプレイとなり、視認性も抜群。さらにグローブボックス内にはUSBチャージャーも装備しています。
もしかすると、こういった点は古い「鉄スクーター」ファンの間で賛否を呼ぶかもしれませんが、筆者的にはむしろアリ。言い換えれば、現代の交通事情や安全基準にできるだけ合わせた実用性抜群のスクーターがランブレッタの最新モデルであり、普段使いに困ることはまずないだろうと思いました。
■バイク初心者・のんびりライド派にもお勧めできる、穏やかな乗り味
さて、肝心の乗り味はどうでしょう。
ランブレッタのシャープなデザインから、さぞ「いきなり加速しそう」な先入観を抱いていた筆者ですが、これが意外にもまろやか。ジワジワと回転がついてくる印象で、中高速域ではさらに伸びがあり、実に安定した乗り味でした。
極端な話、電動バイクなどは、スロットルをひねるとすぐに「いきなりつながる」きらいがあり、運転する場合は独特のコツが必要です。もちろん電動バイクでなくても、現代のガソリンバイクにも、似たような「レスポンス良すぎ」なモデルは多くあります。
ランブレッタは、こういった“いきなりオン”的なバイクの真逆で、実に穏やかな加速性。つまり、バイク初心者やのんびりとライドを楽しみたい人にもピッタリの印象を受けました。それでいて見た目以上に小回りもきくので、街乗り用スクーターとしても十分な実用性を発揮するようにも感じました。
■最新ランブレッタも唯一無二の存在感を持つ特別なスクーターだった
筆者はランブレッタの最新モデルの「見た目」のカッコ良さにまず惹かれましたが、実際に細部をチェックし試乗してみた印象は「想像以上に乗りやすいスクーター」でした。前述の通り、全国各地に販売店があり、メインテナンスもしやすいことを考えれば購入後の修理などの不安もそうないです。
現在購入できるランブレッタは今回細部チェック+試乗をしたV125 Special Flex(税込58万円)、の他に4種のモデルがあります。V50 Special Flex(税込54万円)、V125 Special Fix(税込58万円)、V200 Special Flex (税込63万円)。日本のバイクメーカーの同等クラスのスクーターと比べれば若干割高ですが、外車であり特別な所有感があるランブレッタとして考えれば、妥当あるいはお手頃にさえ筆者は感じます。
かつて「鉄スクーター」として世界中を席巻し、紆余曲折ありながらも近年に復活。現代スクーターとして生まれ変わった最新モデルのランブレッタもまた、世界中を見渡しても唯一無二の特別なスクーターだと思いました。
<取材・文/松田義人(deco)>
松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数
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