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これが“現代カメラ”のスタンダード。「コンデジ」がスマホ全盛期に売れまくる理由

【今こそ知りたい!最新カメラの世界】

スマホのカメラがここまで進化した今、あえてコンデジ(=コンパクトデジタルカメラ)を選ぶ人が増えています。とはいえ、「スマホで十分じゃない?」と思う人も多いかもしれません。実際、日常の記録ならスマホで困ることはほとんどありません。

それでもコンデジが支持されているのは、スマホでは表現しきれない写真が撮れるから。スマホのカメラはかなり進化しましたが、センサーサイズやレンズ性能にはやはり限界があります。背景の自然なボケや光の階調などは、専用カメラならではの魅力です。

そこで再び注目されているのがコンデジというわけです。スマホより高画質で、レンズ交換式のカメラほど大きくない。気軽に持ち歩けて、しっかり“カメラらしい写真”が撮れる。この絶妙なバランスこそが、人気を支えている理由なのだと思います。

今回は、スマホ全盛の時代に改めて注目されているコンデジの魅力を、フォトグラファーの視点から考えてみます。

監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

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【ちなみに】そもそも“コンデジ”ってなに?

コンデジとは、レンズ交換ができない「レンズ一体型」のデジタルカメラの総称です。スマホよりも大きなセンサーや高性能なレンズを搭載しながら、レンズ交換式カメラよりもコンパクトで扱いやすいのが特徴。

スマホからもう一歩踏み込んで写真を楽しみたい人にとって、最初の1台としても選ばれることが増えてきました。

■プロも納得。この1台さえあればOKな注目カメラ5選

コンデジは手軽に持ち歩けて、「撮ろうかな」と思った瞬間にすぐ構えられるのが魅力。ここからは、私が特におすすめしたいコンデジを5台紹介します。

【1台目】スナップシューターの名機が6年半ぶりに進化

RICOH(リコー)
「GR IV」(19万4800円)

GRシリーズは長年ストリートスナップの定番として愛されてきたカメラ。新しい「GR IV」も、その哲学は変わりません。新開発のGRレンズとGR ENGINE 7の搭載など、さらに磨きがかかったモデルです。

思い立った瞬間にカメラを取り出し、街の一瞬を切り取る。余計なものを削ぎ落としたシンプルさが、写真を撮ることに集中させてくれます。

GRシリーズ最大の魅力は、この薄型ボディ。ポケットに入るサイズ感なので、日々持ち歩いて「ちょっと撮りたい」と思った瞬間を逃しません。この機動力こそが、長年支持されてきた理由のひとつでしょう。

▲Photo by Mina Daimon

換算28mmという広めの画角は、目の前に広がる空気感ごと写し取るスナップにぴったり。起動やレスポンスも速く、心が動いた景色をそのまま写真として切り取ってくれます。

▲Photo by Mina Daimon

14種に増えたイメージコントロールも魅力。カメラ内だけで個性的な画作りが完成するので、スマホからのステップアップにもぴったり。

「持ち歩きたくなるカメラ」という言葉が、これほどしっくりくるモデルもなかなかありません。

>> RICOH

【2台目】思い出を動画にも残したいならこれ一択

Canon(キヤノン)
「PowerShot V1」(14万8500円)

「PowerShot V1」は動画用途で人気のカメラですが、写真用途でもかなり面白い存在。広角から標準までをカバーするズームレンズと、コンパクトなボディのバランスが絶妙で、日常のスナップからポートレートまで幅広く活躍します。

ポケットに収まるサイズ感も魅力。この小ささが、日々持ち歩くハードルをぐっと下げてくれます。さらに、大きなカメラと違って、被写体に威圧感を与えにくく、自然な表情を撮りやすいのもポイント。

▲Canon PowerShot V1 、シャッタースピード1/320秒、F4.0、ISO100

換算16〜50mm相当のズームレンズは、街歩きのスナップからポートレートまで幅広く対応。超広角では大胆な画作りも楽しめます。

動画機としての注目度が高いカメラですが、写真の画質やAF性能も十分。スマホからもう一歩踏み込んで写真や動画を楽しみたい人にはぴったりの1台です。

>> Canon

【3台目】むしろ“不便さ”が楽しい。シン・カメラ体験

FUJIFILM(富士フイルム)
「X half」(10万2300円)

FUJIFILMの「X half」は、フィルムカメラの体験を現代的に再解釈したユニークなカメラです。

撮影後すぐに写真を確認できないフィルムモードなど、あえて不便な仕様が特徴。効率重視のデジタルカメラとは真逆の設計ですが、その余白こそが写真を楽しむ感覚を呼び覚ましてくれます。

▲FUJIFILM X halfで撮影

縦構図を基本としたハーフサイズスタイルは、スマホ時代のSNS文化とも相性抜群。

さらに特徴的なのが「2-in-1」機能。1枚撮影してからフレーム切り替えレバーを引くことで、2枚1組の写真を撮影できます。組み合わせ次第で表現の幅が広がり、遊び心のある写真が楽しめます。

フィルムモードでは、設定した枚数を撮り終えるまで写真を確認できません。結果が分からないまま撮り進める時間は、フィルム時代のワクワク感を思い出させてくれるでしょう。

>> FUJIFILM

【4台目】上質な素材感と高い描写力を誇るプレミアムコンデジ

Leica(ライカ)
「ライカ Q3 43」(122万1000円)

コンデジの中でも特別な存在なのがライカのQシリーズ。ライカ Q3 43は6030万画素のフルサイズセンサーと高性能レンズを搭載したカメラで、価格は100万円を超えます。非常に高級なカメラですが、手にした瞬間に「良いモノだ」と感じさせる魅力があります。

金属ボディの質感や操作感など、触れるたびに道具としての完成度の高さが伝わってくるよう。本機は所有する喜びまで含めて楽しめるカメラです。

▲ライカQ3 43、シャッタースピード1/1250秒、F2.0、ISO100

また、43mmという自然な画角と高性能レンズが生み出す描写は圧巻。シャープさと自然なボケを兼ね備え、風景からポートレートまで幅広く対応します。

▲ライカQ3 43、シャッタースピード1/800秒、F2.8、ISO100

さらに、JPEGでも魅力的な色が出る「Leica Looks」など、撮って出しの写真がそのままSNSでも映えるのも現代的なポイント。なお、スマホアプリも使いやすく、撮った写真をすぐ共有できるなど、使い勝手も申し分ありません。

>> Leica

【5台目】6100万画素のフルサイズセンサー搭載したコンデジの域を越える1台

SONY(ソニー)
「RX1R III」(65万8900円)

約6100万画素のフルサイズセンサーと35mm単焦点レンズを搭載した「RX1R III」。コンパクトながら、αシリーズと同等のAF性能も備えています。

この画質と機能をここまでコンパクトに持ち出せるのは驚異的。日常の中で気軽にフルサイズの描写を楽しめる贅沢なコンデジです。

高画素センサーとZEISSレンズの組み合わせが生む描写力は圧巻の一言。細部まで解像する写真は、コンパクトカメラとは思えないレベルです。

ジャケットのポケットや小さなバッグに収まるサイズ感も魅力。大きなカメラを持ち出さない日でも、自然にフルサイズを持ち歩けます。

▲ SONY RX1R III、シャッタースピード1/2000秒、F4.0、ISO160

起動やAFのレスポンスはかなり速く、カメラとしての性能は折り紙付き。散歩や日常のスナップでも、ふとした風景を撮りたくなります。

>> SONY

*  *  *

スマホで写真を撮るのが当たり前になった今だからこそ、あえてカメラを持つという選択が、新しい楽しみ方として広がっている。そんな空気を感じます。

今回紹介したカメラは、どれも写真を撮る時間そのものを少し豊かにしてくれる存在。気軽に持ち歩けるコンデジは、これからのカメラのスタンダードになっていくのかもしれません。

>> 今こそ知りたい!最新カメラの世界

<取材・文/田中利幸>

 

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