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ボケ感も取り回しやすさも一級品。キヤノン「EOS R6 Mark III」にふさわしいレンズを見つけた

【趣味カメラの世界 #35】

前回まで「EOS R6 Mark III」(42万9000円 ※ボディのみ)をさまざまな角度から紹介してきましたが、最終回となる今回はレンズとの組み合わせに注目。「RF45mm F1.2 STM」(6万6000円)を装着し、どのような写真に仕上がるのかを、フォトグラファーの田中さんに試してもらいました。

監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

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「RF45mm F1.2 STM」は、スペックだけでは語れない魅力を持った、少し不思議なレンズです。コンパクトで軽量、それでいて開放F1.2という大口径。価格もF1.2レンズとしては比較的手に取りやすく、これまでのキヤノンRFレンズとは少し違う立ち位置にあると感じました。

実際に使ってみると、このレンズは「性能で圧倒する」というよりも、撮る側の気分や感覚に寄り添ってくるタイプ。なんとなくカメラを手に取りたくなる、そんな感覚があります。

どんな撮影にも対応できる「EOS R6 Mark III」に付けっぱなしにして、何気ない日常をそのまま切り取りたくなる。そんな使い方がしっくりくるレンズだと思いました。

■“たった5mm”の違いが生む、被写体とのちょうどいい距離感

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/4000秒、F1.4、ISO100

50mmの標準レンズとの差はたった5mm。それでもファインダーを覗いてみると、そのわずかな違いがしっかりと画角の広がりとして感じられます。

50mmと比べてほんの少しだけ広いこの画角は、室内でも屋外でも扱いやすく、スナップからポートレートまで幅広く対応できます。

F1.2というスペックに目が行きがちですが、この画角の心地よさこそが、RF45mm F1.2 STMの大きな魅力のひとつだと感じました。

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/400秒、F1.2、ISO640

45mmは、ポートレートの定番とされる85mmのような中望遠と比べると、少し広めの画角になります。そのぶん、寄って撮ると85mmとは違ったパースが出てくるのが面白いところです。

個人的な好みではありますが、このくらいの標準域で撮るポートレートは、中望遠の“教科書どおり”とは少し違った雰囲気が出せると感じています。モデルとの距離も自然と近くなり、その分だけ、緊張感と親密さが同居したような表情を引き出しやすいのも魅力です。

■開放F1.2で撮ると、シャープさよりもやわらかく空気感のある描写に

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/320秒、F1.2、ISO200

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/320秒、F1.2、ISO200

描写傾向は、いわゆる現代的なレンズのように、開放から隅々までシャープというタイプではありません。開放付近ではやや甘さがあり、画質面で気になる人もいるかもしれません。

ただ、ピントが合っている部分はしっかりと解像していて、そこからなだらかに溶けていく描写はポートレートではむしろ心地よい印象です。F1.2ということもあって、引きで撮っても十分に大きなボケが得られます。

少し柔らかく、ふわっとした空気感が出るのもこのレンズの特徴で、被写体を優しく包み込むような写りになります。

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/160秒、F2.5、ISO100

反面、少し絞ると印象は大きく変わってきます。描写もグッと引き締まり、この変化を楽しめるのもこのレンズの面白いところです。

■「RF24-105mm」との比較で見えたボケ表現の違い

今回は、R6 Mark IIIのキットレンズでもある「RF24-105mm F4 L IS USM」の望遠端と比較してみました。撮影距離を調整し、顔の大きさがほぼ同じになるようにそろえて撮影しています。

どちらのレンズも絞り開放で撮影しています。F1.2とF4の差は大きく、ボケ表現という点ではF1.2の効果がしっかりと出ているのが分かります。さらに、焦点距離による写りの違いもあり、モデルのパース感は個人的には45mmの方が自然で好みです。

この作例では、あえてサボテンの植木鉢が目立つように構図を取っています。モデルとサボテンの位置関係は同じですが、画角による圧縮効果の違いがはっきりと表れています。

F1.2では肩あたりからなだらかにボケ始め、周辺のボケも大きくなるため、自然と被写体に視線が集まります。この空気感は大口径レンズならではのもの。高価になりがちな明るいレンズを、比較的手に取りやすい価格で楽しめる点も、RF45mm F1.2 STMの魅力だと感じました。

■安心感のあるAFと取り回しやすさもポイント

AFは決して爆速というわけではありませんが、ポートレートやスナップで使う分には十分に快適です。精度も安定していて、日常的な撮影でストレスを感じる場面はほとんどありませんでした。

実際にモデルにくるくると回ってもらっても、サーボAFがしっかりと追従し、安定した合焦を維持してくれます。全体として、安心して任せられるAFだと感じました。

軽量でコンパクトなので取り回しが良く、EOS R6 Mark IIIとのバランスも自然です。長時間の撮影でも負担になりにくく、女性の手でもしっかり握れるサイズ感だと感じました。

F1.2という大口径でありながら、気負わず持ち出せる。この気軽さは、このレンズの大きな魅力だと思います。

■人物も風景も心地よく切り取る「RF45mm F1.2 STM」

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/500秒、F1.4、ISO125

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/6400秒、F1.4、ISO1000

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/500秒、F1.4、ISO100

R6 Mark IIIとの組み合わせは軽量でコンパクト。持ち歩きながらの散歩でも軽快に使えます。開放付近のやわらかな写りはどこかノスタルジックで、見慣れた風景にも少し懐かしさを感じさせてくれます。

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/320秒、F1.2、ISO200

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/400秒、F1.2、ISO500

▲ Canon EOS R6 Mark III+RF45mm F1.2 STM、シャッタースピード1/250秒、F2.5、ISO200

F1.2の明るいレンズは大きくなりがちですが、「RF45mm F1.2 STM」はかなりコンパクト。そのため、ポートレート撮影でも被写体に威圧感を与えにくく、自然な表情を引き出しやすい印象です。

開放でのふんわりとした写りから、少し絞ったときのキリッとした描写まで、一つのレンズで幅広い表現が楽しめます。

■軽量コンパクトで扱いやすい。スペック以上の好バランスレンズ

RF45mm F1.2 STMは、仕事の撮影で使うためのレンズというよりも、日常を楽しむための一本だと感じました。最新レンズのように隅々まで完璧なシャープさを求める人には向かないかもしれませんが、オールドレンズのように描写の味や雰囲気を楽しみたい人にはおすすめしたいレンズです。

AFも安定していて、R6 Mark IIIとの組み合わせならピントはカメラに任せられる安心感があります。

軽くてコンパクトなうえ、F1.2が使えて描写にもきちんと個性があります。まさに、カメラに付けっぱなしにして、何気ない日常や大切な人との時間をそのまま残しておきたくなるようなレンズでした。

>> Canon「EOS R6 Mark III」

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<取材・文・写真/田中利幸 モデル/えま>

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