ソフトバンクが4月24日に「Natural AI Phone」というスマートフォンを発売しました。アメリカのBrain Technologiesというスタートアップが開発したAIを搭載するスマホで、チャットの感覚で気になることを素早く調べたり、ユーザーの嗜好を学習して、おすすめの製品を提案してくれたり、それを購入したりできるというもの。
価格は9万3600円。ただし、ものすごく安く入手する方法があります。48回の分割払いで購入する場合、1〜24回目の支払い額が1円、25〜48回目の支払い額が3899円に設定されています。「新トクするサポート+」を利用し、2年使って端末を返却する場合、実質負担金は1円×24回+特典利用料(2万2000円)=2万2024円に抑えることが可能。さらに、端末を返却する際、ソフトバンクの対象機種に買い替えると特典利用料が免除され、実質負担額は24円だけで済みます。AIに興味がある人はもちろん、端末購入費を抑えたい人にとっても気になる1台となることでしょう。
■AIがユーザーの意図を理解し、次の行動を提案してくれる
Natural AIとは、Brain Technologiesが開発したエージェント型AIで、AIがユーザーの意図を理解し、ユーザーに最適化したサポートや提案を行うことを特徴としています。
Natural AI Phoneは、そのNatural AIを素早く起動できるように設計されています。右側面に搭載されたAIボタンを押すと、その時にスクリーンに表示されている情報について質問したり、相談したりできます。たとえば、Instagramで気になる料理を見つけた時にAIボタンを押すと、それを食べられる店が検索され、予約に導いてくれたりもします。予約した日時を「カレンダー」に登録したり、予約した情報を「Gmail」や「LINE」で友人と共有することも可能。それぞれのアプリを起動することなく、複数のアプリをまたがってシームレスに操作できるわけです。
最初から調べたいことがある場合は、ブラウザを起動しなくても、ホーム画面をスワイプするとエージェント画面が表示されます。プロンプトを入力するか話しかけるだけで操作を開始できます。例えば、目的地を伝えると、旅行の計画を立ててくれたり、「TOEICで800点を取る」などの目標を設定すると、学習プランを作成してくれたりもします。
Natural AIの特徴として「Understanding System」があります。これはAIがユーザーの使用履歴を学習し、パーソナライズされた提案を行なってくれるというもの。例えばレストランを予約する際、一般的に人気が高い店が自分に合っているとは限りません。Natural AIを使い続けていると、自分好みの店が優先的に提案されるようになり、検索時間の短縮につながるとのこと。
なお、発売時点でNatural AIに対応しているアプリは「Gmail」「Google マップ」「Google カレンダー」「YouTube」「LINE」「食べログ」「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の9つ。正直な感想として、物足りなさは否めませんが、今後順次増やしていくそうなので、期待しましょう。
■フツーのAndroidスマホとしての機能も十分
Natural AI Phoneはアプリを起動しなくても、AIが先回りして情報を取り出し、整理し、目的を素早く完遂してくれることがメリット。しかし、まだ対応アプリが限定であり、AIだけで何でもできるわけではありません。ホーム画面からアプリを起動するといった通常の操作が必要になることも多々あります。
Natural AI Phoneは、一般的なAndroidスマホとしての機能ももれなく備えています。5G対応で、Googleの各種サービスを利用可能。プロセッサーはSnapdragon 7s Gen 3(最大2.5GHz)で、RAMは12GB。ミッドレンジ上位の仕様です。ディスプレイは約6.7インチで、5000万画素をメインとするトリプルカメラを搭載。防塵・防水はIP54とやや低めですが、おサイフケータイにもしっかり対応しています。
フツーのスマホと同じように使いつつ、検索、商品の購入、飲食店などの予約、スケジュール管理、プラン作成などは、Natural AIに頼って、簡単スピーディーに行えるわけです。
■Natural AI PhoneはAIビギナー向き?
今やAIはスマホに欠かせない機能になっています。iPhoneには「Apple Intelligence」が搭載され、Androidの多くの機種はグーグルのAI「Gemini」をプリイン。サムスン、Xiaomi、モトローラ、シャープなどの各社も、スマホをより便利に使うためのAIの開発に注力しています。しかも開発のスピードが早く、新しい機種がリリースされるたびに、新しい機能が追加されます。
Natural AI Phoneの特徴の1つとなっている複数のアプリをまたがって行動を提案してくれる機能は、Google Pixel 10シリーズから搭載された「マジックサジェスト」やGalaxy S26シリーズに搭載された「Now Nudge」に近いものと言えなくもありません。素早くAIを起動できるAIボタンも特段珍しいものではありません。そもそもAndroidのスマホでは電源ボタンを長押しするだけでGeminiが起動するように初期設定されており、Geminiを頻繁に活用しているユーザーも少なくないでしょう。
ChatGPT、Claude、Perplexity、Microsoft Copilotなど、スマホで使えるAIアプリは多数あります。用途によって便利なアプリが異なるので、いくつかのアプリを試してみて、自分が本当に有益と思えるものを選ぶのが賢明でしょう。すでに、お気に入りのAIアプリがある場合は、Natural AI Phoneを購入したとしても、Natural AIをそんなに使わないことになるかもしれません。
Natural AI Phoneは、AIに関する知識がなくても、直感的に使いこなせる操作性が魅力。データは日本国内のクラウドで保存され、ユーザーデータをAIモデルの学習に使わないことも明言されているので、プライバシーの面での安心感もあります。また、Natural AIの利用に料金がかからないことも大きな利点。
Natural AI Phoneという製品名から先進的なデバイスという印象を受けるかもしれませんが、実は「AIに興味があるが、使いこなす自信がない」というAIビギナー向けのスマホと言えそうです。
AIによってスマホの在り方が大きく変わる可能性があることは、スマホ開発にかかわる多くの人が指摘しています。Natural AI PhoneのようにOSベースでAIが組み込まれ、話すだけで多くの用途を達成できるようにする端末は、これから続々と登場するでしょう。むしろ、全てのスマホがそうなっていく可能性もあります。Natural AI Phoneはスマホの新しい操作性をいち早く体験できるデバイスとも言えるでしょう。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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