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駐車場を埋め尽くすジムニー!初のスズキ主催ジムニーイベントはマニアックなジムニーだらけだった

2018年7月にJB64型/JB74型へとフルモデルチェンジしたジムニーシリーズが大ヒット。2025年に5ドア仕様のジムニーノマドもラインナップに加わったことで、これまで以上に幅広い層から支持されるモデルになりました。

そんなジムニーのイベント『SUZUKI Jimny Day』をスズキがジムニーの生産工場がある静岡県湖西市で初開催。天候にも恵まれたこともあり、約1000台のジムニーが集まりました。

そんなイベントの模様と参加者の愛車を紹介します。

 

■“聖地”に1000台のジムニーが集合!

ラダーフレーム、3リンクリジットアクスル式サスペンション、機械式副変速機付きパートタイム4WD、ボール・ナット式ステアリングなど、クルマにとって過酷なオフロード環境で性能を発揮するための機能を初代から磨き続けてきたジムニー。山岳部や豪雪地帯などで仕事をする人たちから絶大な信頼を得るモデルとして55年以上も唯一無二のモデルであり続けています。

一方で、先代まではプロフェッショナルやオフロード競技に参加している人から選ばれるニッチなモデルでしたが、2018年7月にデビューした4代目は四角いボディと丸型ヘッドライトがもたらす“肩の力が抜けたデザイン”が評価され、広く一般の人からも選ばれる人気モデルになりました。デビューから8年近く経った現在でも長期の納車待ちが続き、中古車も高値で取引される状態が続いています。

2026年3月28日に、スズキがジムニーのためのファンイベントを開催。これまでもファンが主催するイベントは全国で行われてきましたが、メーカー主催のイベントは今回が初。ジムニーノマドも多くのファンの元へ供給され、ジムニーの裾野が広がった証と言えます。

▲静岡県警のジムニーシエラ。2021年7月に発生した熱海市伊豆山土石流災害では先陣を切って現場に入ったという

▲東京オートサロンにも展示されたモンスターハンターとコラボしたジムニーノマド

▲まだ実車に触れる機会が少ないジムニーノマドには多くの人が興味を持っていた

会場となった静岡県湖西市のボートレース浜名湖対岸駐車場には、現行モデルのジムニー&ジムニーシエラを中心に、納車間もないジムニーノマド、SJ10型やSJ30型などのクラシックジムニーなど約1000台が集結しました。

来場者の目当てはスズキ公式のジムニーオリジナルグッズ。中でもスズキのデザイナーが手掛けたイベントオリジナルTシャツが人気で、1時間以上も並ぶ列ができたほど。他にもスズキの社員食堂で提供されているインドベジタリアンカレーの試食会や浜名湖名物のうなぎ弁当の屋台に長蛇の列ができていました。

『SUZUKI Jimny Day』には鈴木俊宏社長も参加。

▲ファンに挨拶する鈴木俊宏社長。「ジムニーは乗り心地が悪いと言われることもあるけれど、昔のモデルに比べたらびっくりするほど乗りやすくなっているんですよ」と来場者を笑わせる

「僕も昔、SJ30に乗っていた。(今のジムニーは)その時に比べると本当に安定していて“普通のクルマ”になったけれど、ジムニー本来の本格4WDの機能は失われていません。大人の道具としてみなさんに選んでいただけるジムニーを作り続けたいですね。

もともとジムニーは仕事に使うクルマというポジション。ここまで一般の人に選んでもらえるようになったのはここ2代くらいです。ユーザー層が広がったのは嬉しいし、時代の変化を感じます。4代目の反響の大きさには自分自身も驚きました。女性の方が『かわいい!』と言って選んでくれるのだから。

ノマドが登場したことでファミリーにも選んでもらえるクルマになりました。初代がデビューした頃には考えられなかったこと。納車を楽しみにしていただいている方には本当に感謝申し上げたいです。これだけ多くの方に選んでいただけるようになったことは、ジムニーを作り続けてきてよかったと思います」

と、ファンに支えられていることを感謝するコメントをいただきました。

▲社長を囲んでの記念撮影。この後、多くのファンが社長とツーショット写真を撮影していた

▲ジムニーのオフロード走行の実力を味わえる同乗体験会にも長蛇の列ができていた

 

■過酷な環境で働く人たちが無事に家に帰るためのデザイン

『SUZUKI Jimny Day』では現行型ジムニーシリーズの開発者とデザイナーがステージに登壇し、普段は聞くことのできないジムニーの開発秘話を話してくれました。

▲現行型ジムニーの開発陣。左から四輪 B・C商品統括部の柳本樹良さん、商品企画本部 常務役員の藤﨑雅之さん、四輪HEV設計部の米澤宏之さん、四輪商用・クロカン商品統括本部の佐々木貴光さん

ジムニーはスズキの魂とも言えるクルマなので、上層部の思い入れもかなり強いモデル。そのため開発は一筋縄ではいかなかったそう。

最初にデザイナーがデザインスケッチを描いたのですが、すべて却下されたと言います。理由は開発初期のジムニーのスタイルが力強さを強調したものになっていたから。たとえばBピラーやCピラーが太く屈強なイメージだった。そのスケッチを見て藤崎さんは「これはジムニーではない」と言ったそうです。

「確かにそのスケッチは、見た目は強そうでした。でもジムニーに必要なのは見た目じゃない強さ。たとえば林業の人はジムニーで山の中に入っていきます。そういう時に見切りが悪いと崖から落ちてしまう。そういうクルマはダメだ。クルマの四隅が分かるように、タイヤの位置がわかるようにするにはどうやって作ればいいかを考えて欲しいと伝えました。そしてデザイナーたちにクルマを渡して実際に山の中などを走らせました。その結果、今のジムニーの原型が生まれたんです」(藤崎さん)

▲現行型ジムニーのデザイナーたち。左2番目から四輪デザイン部モデル製作課の中安基幸さん、四輪デザイン部インテリア課の林田崇さん、四輪デザイン部CMFデザイン課の伊藤仁美さん。3人ともジムニーシリーズのオーナーでもある

チーフデザイナーの中安さんはイベントに参加しているクルマを見て「みなさんが自分たちで楽しくカスタマイズしているのを見て胸が熱くなりました」と言います。中安さんは開発の藤崎さんからスケッチのダメ出しをされた本人。ダメ出しされた後、日本の森林組合の方々や海外のハンターなど仕事でジムニーを使う人たちのところに市場調査に行ったそう。

「林業の方は山中の見切りの悪いところで何度も切り返しをしていて、『やっぱり山の中を走るのは怖いですよ。いつも無事に帰りたいと思う』という話を聞きました。そういう人たちの無事に家族の元に帰すためにデザインで何ができるか。それを考えて、『機能に徹した、かざらない潔さ』というデザインの狙いにたどり着きました」

 

■思い思いにジムニーを楽しむオーナーたち

ここからは現行型を中心に、会場で目立っていたジムニーたちを紹介します。

 

▼コンセプトは雑貨屋さん。ファンシーなジムニーを楽しむ女性オーナー

AZUKIさんが乗るシフォンアイボリーメタリックのJB64はファンシーな仕様に。足まわりやホイールはノーマルですが、グリル、ミラーカバー、ドアノブなどをウッド調に。温かみのある雰囲気がJB64の力が抜けたデザインにマッチしています。

▲アイボリーと木目でソフトな雰囲気に仕上がっている

▲バックドアのタグも個性的

「子育ても無事に終わったから、これからは好きなクルマを楽しもうと思って。実は免許を取った時に発売されたパジェロミニから、こういう形のクルマに憧れていたんです。街中でジムニーを見るたびに私もほしいなと思っていました。去年の秋にやっと納車されたんです」

圧巻なのはインテリア。シートカバーやメーター回り、シフトレバー部分は木目のイメージと共通するブラウンで揃え、フェイクの観葉植物や手作りのぬいぐるみなどでデコレーション。雑貨屋さんのようなイメージに仕上げたそうです。

▲好きなものをたくさん並べたインテリアは圧巻!

▲サイドのドアやバックドアはステッカーでカスタム

「ジムニーって同じクルマなのにオーナーによって全然違う雰囲気で乗れるからおもしろいですね。好きな空間に仕上げた自分のクルマに乗っていると落ち着くし、人のクルマを見ていると楽しい気分になります」

 

▼パッと見はノーマル。でもよく見るとどこか違う

このブルーイッシュブラックパールのジムニーを後ろから見た時、ホイールは変わっているけれどノーマルで楽しんでいるのかなと思いました。でもよくよく見ると、何かが違う。オーナーのうえぽんさんに話を聞くと、「ノーマルのようでノーマルではない。そんなさりげないカスタムを目指した」とのことでした。

▲フロントは吊り目にして力強さを強調。バンパーはよく見るとノーマルとはデザインが異なるのがわかる

▲リアスタイルはLEDのテールランプが組み込まれたバンパーをチョイス。SUZUKIのロゴもブラックにしてある

インチアップも1インチに抑えてノーマルらしさを残し、パイプバンパーではなく樹脂バンパーをチョイスして「よく見ると違う!」感を演出しています。

▲運転席にはレカロシートを装着

「正直、ジムニーは不便なクルマ。でもジムニーでしか味わえない楽しさがあるから抜けられないんですよね。イベントで人のクルマを見るともっといじりたくなる。今は一通り完成していますが、早くも2周目のカスタムを考えています。まずは車高を2インチ上げるところから始めたいですね」

 

▼老舗ならではのこだわりを感じるコンプリートカー

えむ&えむさんはもともとスポーツカーが好きで、S660を楽しんでいたと言います。ただ、ドライブを楽しむ中で車高が低いオープンモデルだと走れない道が意外と多いことをストレスに感じるようになったそう。

▲昨年8月に納車されたジムニーは、老舗ジムニーショップであるショウワガレージのコンプリートカー。パイプバンパーの端を丸くするなど手の込んだカスタムに惚れたという

▲車高は2インチ挙げていて、タイヤは225/75R16を履いている

「そんなことを考えた時にたまたま同僚がジムニーに乗るようになって。その時に『そういえばジムニー』という選択肢もあるなと思ったんです。実際に乗ってみたら、めちゃめちゃ楽しくて驚きました。本当にどこでも入っていけるし、意外とキビキビ走ることができるんですよ。私はキャンプが趣味なのですが、ジムニーに乗ってからキャンプ自体も楽しくなりました」

▲ビンテージ感あるシートカバーで車内は大人っぽい雰囲気に

しばらく今の状態を楽しんだ後は、ラッピングで雰囲気をガラッと変えるつもりだといいます。色はまだ決めていませんが、マットカラーにしようと考えているそうです。

▲CPUとオイルクーラーを換えてハイオク仕様にしている。このチューニングで走りが元気になった

「私は小さいのに尖ったクルマが好きなのですが、日本の軽自動車は本当にすごい。小さなボディに驚くほどの性能が詰め込まれているのですから。S660も手元にあるので、性格がまったく違う2台のクルマを今後とも楽しんでいこうと思います」

 

▼ボディと同色に塗ったグリルがオシャレなノマド

ジムニーノマドだけに設定されているシズリングレッドメタリック ブラック2トーンルーフ。オーナーの中島さんは、カタログを見て「一発でノマドだとわかるこの色しかない!」と思ったそうです。

▲車高は1インチアップしているが、ボディが大きくなっている分注意してみないと気付かない。このさりげないカスタムがいい!

▲中島さんのこだわりがフロントグリル。純正のグリルを純正色であるシズリングレッドメタリックで塗装し、ボディに違和感なく馴染ませている

「以前はJB23やJB64にも乗っていたのですが、完全に趣味のクルマでした。でも5ドアになったことで家族が乗ってくれるようになり、今までとは違う形で楽しんでいます。先日もノマドで家族で伊豆旅行を楽しんできました」

▲ホイールはRAYSをチョイス。「本当はスペアタイヤもこのホイールにしたかったのですが廃盤になってしまい4本しか手に入らず、背面は純正のカバーにデカールを貼っています」

ジムニーシリーズは乗って楽しいし、カスタムも楽しい。ジムニーに乗っている時間は自分らしくいられる瞬間だと言います。ノマドになったことで楽しみを家族と共有できるはずです。

 

▼古いからこそ今のクルマにはない楽しさがある!

マットカラーのJA11のオーナーはてつ子さん。昨年10月に“諸事情”でJB64から乗り換えたと言います。購入時の走行距離は13万3000km。そして半年で14万km近くまで走行距離が増えました。

▲スポーツカー好きのてつ子さんがジムニーに乗った感想は「遅い……」。でもどこでも自由に走れる感覚がとても楽しいと感じている

▲オフロードにも行くのでタイヤはジオランダーのM/Tをチョイス

「私は『頭文字D』をきっかけにクルマが好きになったのですが、親から『スポーツカーは危ないからダメ!』って反対されちゃって…。SNSでたまたまジムニーを見て、軽自動車っぽくなくてかわいいと思って選んじゃいました」

▲定番のパイプバンパーは購入後に装着

JA11は「とにかく安く手に入るジムニー」を探していてたどり着いたもの。うるさいし、夏は熱いし、壊れるし、大変だよと言われたけれど、とにかくジムニーに乗りたかったので迷わず購入を決意。

▲JB64がATだったので、MTというだけで楽しいそう

「言われていたことは全部当てはまりますが(笑)、電子制御がない分“自分でクルマを動かしている感覚”がものすごくあって、楽しいです。古いクルマだけれどこれを選んでよかったって思っています」

*  *  *

今なお人気のジムニー。思い思いに楽しむオーナーさんたちの話を聞いていると、待ってでも欲しくなるクルマだということが伝わってきます。まだまだ納期は長いですが、気になる人はぜひ一度ディーラーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

>> スズキ「ジムニー」

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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