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飲む、買う、繋がる。現代の「角打ち」は大人の遊び場!クラフトビールを知って楽しむ鎌倉の『バナバサ』へ

【食はエンターテインメントだ!】

かつて、仕事帰りのサラリーマンが酒屋の店先でコップ酒を煽っていた「角打ち」。その光景は今、単なる“喉を潤す場”を超えた体験型エンターテインメントへと進化を遂げています。

特に今、熱い視線を集めているのが、自動販売機やショーケースから、自らの一本を選び取るセルフスタイルの店。ずらりと並ぶクラフトビールのラベルを眺め、その裏側にあるストーリーを読み解く時間は、まるでギャラリーでアートを鑑賞するよう。そして、「プシュッ」と栓を抜く瞬間の音は、極上のショーの始まり!

そんな「現代の角打ち」の面白さを体現し、鎌倉の街で新たな「遊び」を提案しているのが、今回ご紹介する『バナバサ ビール+ギャラリー(VANAVASA BEER + GALLERY)』です。

◾️気づいたら、ビール屋になっていた(笑)

▲生ビールを注ぐ店主の井伊乃士(いい だいし)さん。後ろには70〜80種類のクラフトビールが並ぶショーケースが置かれている

鎌倉の御成通りを路地に入った場所に、半分は酒販店、もう半分はギャラリーという独特の佇まいを見せる『バナバサ』があります。ここを営むのは、かつてアウトドアメーカーで経験を積み、現在はビール用の水筒「グラウラー」の最高峰『Drinktanks®』の日本総輸入代理店を務める店主の井伊乃士(いい だいし)さんです。

「もともとは、アウトドアの道具が好きで輸入代理店を始めたのがきっかけなんです。その流れでビール用のグラウラーを扱うようになり、気づいたら自分もビール屋になっていました(笑)」(井伊さん、以下同)

 

▲店内で販売している「グラウラー」黒は7,480円、その他13,750円。人気の醸造所とのコラボデザインのものがあったり、デザインもカラーも様々。一つ持っているとさまざまなクラフトビールのタップから注いでもらい、持ち帰ることができる

2019年、コロナ禍の足音が聞こえ始める直前にオープンしたこの店は、今年で7年目を迎えます。一見、洗練されたセレクトショップのようですが、その根底にあるのは、日本の古き良き酒屋が持っていた「気軽さ」へのリスペクトです。

 

◾️現代版・角打ちで「計り売り」を広めたい

▲フレッシュなクラフトビールはお店で味わうこともできるほか、計り売りもしている。手にするのは地元・鎌倉のの人気ブルワリー・ヨロッコビールの「TOBIUO Saison」ハーフ 900円から。計り売りは0,9ℓ 2,600円から

「この店を酒販店という形にしたのは、ビールの『計り売り』をもっと広めたかったからなんです。法律的なルールを守りつつ、飲食店のような仰々しさなしに、開栓したての旨さをグラウラーで持ち帰ってもらう。あるいは、その場でパッと一杯だけ飲んで帰る。昔の酒屋さんで、買ってすぐに開けて飲んでいたあの気楽な感じ。それをクラフトビールという現代の形でやりたいんですよね」

 

ちなみに常時4つのタップがあり、「ヨロッコビール」定番の一杯をはじめ、本場アメリカのIPA「Trap Door Brewing」、クリーンでフルーティな飲み口のカナダ発「JELLY KING」のDRY HOPPEP SOUR、さらには発酵ドリンクとして注目を浴びる「大泉工場」のKOMBUCHAまで揃い、飲み比べしたくなるラインナップになっています。

店内のショーケースには、厳選された国内外のクラフトビールが70〜80種類、整然と並んでいます。クラフトビールだけにカラフルでパッケージデザインが秀逸! 見ているだけでも心が躍ります。「気に入ったビールをパッと買って帰れるし、料理が出るまで待つ必要もない。待ち合わせの合間に一人でふらっと寄って、さっと喉を潤していく。そんな風に喜んでもらえるのが一番嬉しいんですよね」

 

◾️作り手の「過程」を味わう楽しみ

▲おすすめのクラフトビール。左からトロピカルなグァバの果実味を感じるフルーツサワーエール「GUAVA Gose」1,170円。ヨロッコビールの定番の一つ、逗子・小坪漁港で水揚げされた天然ワカメを使ったセゾン「SUBMARINE FOREST」640円。茅ヶ崎・パシフィックブルーイング発、ホップの柑橘系の香りとしっかりとした苦味を感じるIPA「FOND OF BONE」1,130円。山形のGAIRO BREWINGのビール「Omission」830円

店主が選ぶラインナップは、オレゴンやカリフォルニアなど、アメリカ西海岸からカナダのブリティッシュコロンビアにかけての「コースト系」を中心に、昨今、美味しいクラフトビールが生まれている国産ものも。クリアなIPAや、ハーブの香りが心地よいファームハウスエールなどが並びますが、そのセレクションには必ず「物語」が介在します。

「やっぱり、作り手の顔が見えるビールがどんどん美味しくなっていく、その過程を見ているのが一番楽しいんです」

そう言って紹介してくれた一つは、地元・鎌倉の『ヨロッコビール』で修行した方が山形で立ち上げたGAIRO BREWINGのオミッション(OMISSION)』。 「これは食中に楽しむためのビールなんです。熟成された木と一緒に煮出しているので、木の香りがふわりと漂う。本当に美味しいし、面白いですよね」

 

◾️ギャラリーという、人が交差する仕掛け

▲この日行われていたカメラマン・内藤啓介さんのポップアップ。コラボグッズなども販売

バナバサの面白さは、ビールの鮮度だけではありません。店内の半分を占めるギャラリースペースでは、写真や雑貨のポップアップイベントが頻繁に開催されています。

「ポップアップをやると、いろんな人が新しい風を運んできてくれる。それがこの店の面白さですね。開催ごとに、うちのロゴを入れたコラボアイテムを作ったりもするんですよ。ただ、困ったことに事務所のすぐ隣にこれだけ旨いビールが並んでいるから、つい仕事中も『次はどれを飲もうかな』って考えちゃって(笑)」

▲取材中にふらりとビールを飲みにやってきて、日を浴びながらおいしそうに味わう姿も

Drinktanks®のグラウラーを手に、新鮮なタップビールを注いでもらう。あるいは、まだ見ぬ土地のブルワリーの一本をその場で開ける。

バナバサが提供しているのは、単なるお酒ではありません。「次はどの土地のビールを手にして旅気分を味わおうか」「このアートにはどのビールが合うだろうか」――そんな想像を膨らませる、自由でクリエイティブな「時間」そのもの。

鎌倉の散策ついでに、ふらりと立ち寄ってみてください。そこには、現代にアップデートされた「最高に自由な角打ち体験」が待っています。

 

VANAVASA BEER+GALLERY
住所:神奈川県鎌倉市御成町2-8-1B
鎌倉駅より徒歩3分
営業時間:12:00〜20:00
>>@ vanavasa_kamakura
<取材・文/草地麻巳 写真/猪俣博史>

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