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バッテリーシティ“深セン”で見た「ポータブル電源」製造現場と気になる安全性

2026年4月。トップクラスの世界シェアを誇るポータブル電源メーカー「Jackery(ジャクリ)」の製造現場を見るべく、中国・深センに向かいました。

そこで知ったのは、日本人が中国メーカーと聞いて抱くイメージとは大きく異なる、人の目と手を惜しみなく注ぎ込んだ安全性の追求でした。

深センの地に足を踏み入れたのは8年ぶり。

▲2018年、深センの巨大電脳街「華強北路」にあった腸粉屋台

前回訪れた2018年8月は、タクシーがBYD製のEVばかりだったことや屋台でもQRコード決済が使えたことに驚いた記憶があります(日本でPayPayがサービス開始したのは同年10月)。当時、中国ではすでに配車アプリ「DiDi」が普及していて我々も利用しました。その際、クルマにナビが付いているのにスマホアプリを使っていたことに違和感を覚え、同行者になぜか聞いてもらったところ、ドライバーは「新しい道がたくさんできるから、すぐに更新されるアプリのほうがいいんだ」と話してくれたことを覚えています。それだけ深センは日々アップデートを繰り返している街でした。

▲2026年の深センは拡大が進み、以前は郊外だった場所にも多くのマンションやオフィスビルが立ち並ぶ

中国全土から人が集まり、2018年の段階ですでに凄まじいスピードで変化を続けていた深セン。同行者である中国の方から「この街で40代はもうお年寄りですよ」と言われた日から8年が経った2026年の深センは、さらに進化を遂げ、おそらく世界的にも稀なバッテリーだらけの街になっていました。

その際たる存在が、歩道を爆走する電動バイクです。

▲歩道にひしめく電動バイク。ナンバーが付いているモノは免許が必要なタイプ。電動自転車区分の車両も含めると、老若男女が日本での自転車のように日常のアシとして使っていることがわかる

どうも中国では、最高時速25km以下でペダル付きの車両は電動自転車扱。免許は不要でヘルメット着用は努力義務。歩道は時速15km以下で走行できるとのことですが、正直どれが電動自転車区分の車両なのかも分からず、とにかくそこら中の歩道を電動バイクが走りまくっている印象。中国はどこでもそうなのかと思いきや、どうやら深センはかなり多いとのこと。おちおちよそ見して歩くこともできません。

▲配達料が日本と比べて格安なことから、フードデリバリーサービスの利用はもはや日常風景

そして高くそびえ立つオフィスビルの前や1階ロビーには、小さなコインロッカー状のモノが設置されているのも印象的でした。そこに、電動バイクに乗った人が飲食店からピックアップしてきた料理などを入れていきます。

オフィスビルの高層化により、休み時間に近隣まで食事に行くには時間がかかるため、多くの人が昼食にフードデリバリーを利用しているとのこと。そこら中が電動バイクなのも頷けます。

車道に目を移すとEV(電気自動車)だらけ。

ナンバープレートの緑はEV、青はエンジン車なのですぐに分かります。トラックなど商用車にはエンジン車も多いのですが、乗用車やバス、タクシーはほとんどEVといった感じ。おかげでとにかく空気がキレイ。排気ガスが大気汚染の要因となっているであろうことを痛感します(因果関係はわかりません。あくまで個人の体感値です)。

さらに空に目を向けると、高層ビルの合間を縫うようにドローンが飛び回っています。そう、宅配ドローンです。規制が厳しい日本では考えられない光景です。

もちろん支払いは、ほとんどの店でQRコード決済(AlipayかWeChatPay)可。現金なんて一度も見ることはありませんでした。

スマホも電動バイクも電気自動車もドローンも、どれもバッテリーで動いています。今や深センは、バッテリーだらけの街になっていました。

そこで気になるのが、バッテリーの事故。日本ではモバイルバッテリーの発火事故が相次いだことから、飛行機での利用の厳格化が進むなど、安全性が注目されるようになっています。では中国ではどうなのか。

宿泊したホテルのエレベーター横に、こんなポスターが貼ってありました。

Googleレンズで翻訳してみると「電動自転車を建物や住宅に持ち込むことは、時限爆弾を仕掛けるようなものだ」と書いてあることがわかりました。やはり中国でも、バッテリー起因の火災は起こっていることが想像できます。

 

■各国の安全基準を上回るテストを行うラボ

さてここからが本題。

今回、見学させてもらったのは、ポータブル電源メーカー「ジャクリ(Jackery)」の研究開発施設と工場です。

2011年に創業したジャクリ。黒とオレンジのポータブル電源といえばピンとくる人も多いのではないでしょうか。2025年末の段階で世界販売台数が700万台を超え、ポタ電界のリーディングブランドといえるメーカーです。ちなみに日本市場では現在まで7年連続で販売台数、売り上げともにナンバー1とのこと。

持続可能なエネルギーが身近になる社会を目指し、あらゆる場所であらゆる人が電気を使える環境にしたいという思いから創業し、ポータブル電源とソーラーパネルを販売してきたブランドです。

中国国内はもちろんですが、グローバルの展開先として北米、ヨーロッパ、そして日本が主な市場(ちなみに中国でのブランド名は「电小二」)。それぞれ市場によってニーズが異なり、日本ではコロナ禍でのキャンプ需要から始まり、近年では防災用としてのニーズも高まっているそう。防災用というニーズは日本ならではのようで、いかに日本が自然災害が多いか、そして備えに対して意識が高いかがわかります。

とはいえ、日本人の自分が言うのもなんですが、日本は面倒なマーケットではないかという気がします。そんな日本でも支持されている理由のひとつが、やはりサポート体制がしっかりしていることかもしれません。

日本法人(株式会社Jackery Japan)を設立し、日本でもカスタマーサポートを実施。電話対応などは日本で行い、さらに修理センターも設置しています。

深センの本社にもかなりの規模の日本部署を設置していることからも、ジャクリにとって日本が重要なマーケットだということが伝わります。

そんなジャクリがブランド初のポータブル電源を開発したのは2016年。そして2018年にはソーラーパネルを開発し、市場に送り出してきました。今や多くの人が知る存在となったリチウムイオンバッテリー搭載のポタ電ですが、登場して10年ほどしか経っていないというのは意外です。

そしてジャクリは、予想以上に厳しい基準でポータブル電源やソーラーパネルの安全性に関するテストを行っていることも分かりました。

▲深センにあるテストラボ

深センには本社だけでなく組立工場やテストラボがあり、さまざまな環境下でポータブル電源がどのように動くかがテストされています。

▼ジャクリの厳しいテストや製造現場についてはこちらの動画にて

ジャクリのポータブル電源に使われているバッテリーセル(蓄電する部分)は自社製造ではありません。しかし全体を制御するBMS(バッテリーマネジメントシステム)はジャクリが開発しており、例えば高温になった時や高圧が掛かった時、落下時などにバッテリーセルが発火などを起こさないよう電源を遮断できるかはBMSにかかっています。

さらに自社工場だからこそ実現できる、丁寧な作業。人の手をかけることを惜しまず、最後はしっかり人の目でチェックする。これらの工程を経て完成するポータブル電源は、現在まで自社原因によるリコール事故ゼロを継続しています。

日本の家電メーカーの工場を何度も取材してきた身からすると、それとなんら変わらない丁寧な組立やチェック工程、そして整頓されたクリーンな施設というのが取材した率直な感想です。

ジャクリのポータブル電源やソーラーパネルは、日本のPSE(電気用品安全法)を始め、アメリカや中国、ヨーロッパにある同様の安全基準を上回る基準を設け、それをクリアしたものを製品として世に送り出す。だからこそ実現した高い信頼性と言えるのかもしれません。

バッテリーの安全性について騒がれている昨今。モバイルバッテリーはもちろんのこと、ポータブル電源でもデザインやスペックに目が行きがちではあります。しかし、最も重要なのは安全性ということは言うまでもありません。

ジャクリはそこに、最も人の手や手間や時間を掛けている。

ソーラーパネルで発電し、ポータブル電源で蓄電しておけば、どこでも誰でも電化製品を使えるようになる。そんな世界を目指して創業したジャクリだからこそ、世界中の誰もが安全に便利な環境を享受できることを目指していることが分かります。

バッテリーの安全性は日本だけの問題ではなく、いまや世界的な問題です。そんな中、世界でも最先端のバッテリーシティに拠点を構えるジャクリが挑む、安全安心なバッテリーの供給。その現場を垣間見た数日間でした。

*  *  *

事故を発生させないためには、安全に取り扱うというユーザーひとりひとりの意識も重要です。リチウムイオンバッテリーが誕生し、商品化され、すでに30年以上。三元系リチウムイオンバッテリーが開発されてポータブル電源が生まれ、さらに現在主流となっているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが登場し、より安全で長寿命化が実現しました。以前よりバッテリー自体の安全性は高くなっているとはいえ、そこはやはり扱い方とメーカーの安全への取り組み方次第という部分はあります。

これからポータブル電源を購入しようと思っている人は、まずは検討しているメーカーの安全性のチェックから始めてみてください。

>> ジャクリ

<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web)>

 

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